"iPS細胞(人工多能性幹細胞)" という名称自体は、存分に聞き慣れてはいるものの、この掴みどころの無い "存在と概念" の深さについては、分かったつもりではいても、凡人の理解力からはかけ離れていると言わざるを得ない。
昨日は、この "iPS細胞" の作製時における、"とある事実の新発見" という興味深い記事に注目した。
◆ 参照
"iPS細胞"作製時における"組み込み遺伝子"の作用解明!"iPS細胞を作る新方法"の開発?!/当誌 2014.08.06
ところがである、一見、"同一ニュース" だとは合点しにくい "記事"(ただし、どうも "同一対象" の記事のようである ) に遭遇し、結局、改めて "iPS細胞" という "存在と概念" の懐の深さに当惑させられている。もちろん、各々の記事の記者の視点云々という側面の事情もあるにはあるが......。
とにかく、今回注目する下記引用サイト記事 : ヒト祖先に感染ウイルス遺伝子がiPSの質左右/yomiDr. ヨミドクター/2014.08.05 に目を向けてみる。
<人類の祖先に感染し、細胞内に定着したウイルスの遺伝子が、iPS細胞(人工多能性幹細胞)の質に大きな影響を与えることを突き止めたと、京都大iPS細胞研究所の山中伸弥教授と高橋和利講師らのチームが発表した/ 質の高いiPS細胞を効率よく作製する技術につながるという。5日の米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載される/ iPS細胞は、基本的には皮膚細胞など通常の細胞に4種類の遺伝子を入れて作る。できたiPS細胞の中には、筋肉や神経など様々な細胞に変化する性質が弱いなど、質の悪い細胞もあるが、その詳しい原因は不明だった/ 発表によると、チームは通常の細胞からiPS細胞を作製する際、「LTR7」と呼ばれる遺伝子が活発に働くことを発見した。この遺伝子の働きは、正常なiPS細胞では、ある時点を境に弱まるが、質の悪いiPS細胞では活発に働き続けており、iPS細胞から通常細胞を作る際の妨げとなることがわかった/ LTR7は、大昔、人類の祖先に感染した、レトロウイルスという種類のウイルスの遺伝子が、人類の遺伝子として取り込まれたもので、害はない。山中教授は「レトロウイルス由来の遺伝子の一部がiPS細胞にとって大事なのは予想外だった。iPS細胞の謎の一端が解明された」と話す> とある。
ヒト祖先に感染ウイルス遺伝子がiPSの質左右/yomiDr. ヨミドクター/2014.08.05
人類の祖先に感染し、細胞内に定着したウイルスの遺伝子が、iPS細胞(人工多能性幹細胞)の質に大きな影響を与えることを突き止めたと、京都大iPS細胞研究所の山中伸弥教授と高橋和利講師らのチームが発表した。
質の高いiPS細胞を効率よく作製する技術につながるという。5日の米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載される。
iPS細胞は、基本的には皮膚細胞など通常の細胞に4種類の遺伝子を入れて作る。できたiPS細胞の中には、筋肉や神経など様々な細胞に変化する性質が弱いなど、質の悪い細胞もあるが、その詳しい原因は不明だった。
発表によると、チームは通常の細胞からiPS細胞を作製する際、「LTR7」と呼ばれる遺伝子が活発に働くことを発見した。この遺伝子の働きは、正常なiPS細胞では、ある時点を境に弱まるが、質の悪いiPS細胞では活発に働き続けており、iPS細胞から通常細胞を作る際の妨げとなることがわかった。
LTR7は、大昔、人類の祖先に感染した、レトロウイルスという種類のウイルスの遺伝子が、人類の遺伝子として取り込まれたもので、害はない。山中教授は「レトロウイルス由来の遺伝子の一部がiPS細胞にとって大事なのは予想外だった。iPS細胞の謎の一端が解明された」と話す。
昨日、今回の両・引用記事の叙述関係だけでは、どうも判然としないのは、以下の各 "遺伝子" が何を指しているか、そして "「HERV-H」" と "「LTR7」" との関係如何だということになりそうだ......。
<そこで研究グループは、組み込んだ遺伝子が、細胞の「ゲノム」と呼ばれる遺伝情報のうちどの部分に作用しているか、分析しました。その結果、遺伝子は「HERV-H」という特定の配列に結合し、この部分の働きが一時的に活発になることが分かりました。>( 昨日の記事 )
<発表によると、チームは通常の細胞からiPS細胞を作製する際、「LTR7」と呼ばれる遺伝子が活発に働くことを発見した。......質の悪いiPS細胞では活発に働き続けており、iPS細胞から通常細胞を作る際の妨げとなることがわかった。 LTR7は、大昔、人類の祖先に感染した、レトロウイルスという種類のウイルスの遺伝子......>( 今回の記事 ) ...... (2014.08.07)
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