がんの大半が "遺伝子複製ミス" を原因として発生しており、またこの点については避けようがない、という米研究グループの研究については、やはり、衆目を集め続けている。
◆ 参照 当誌過去の "遺伝子複製ミス" 関連記事
(1) "がんの3分の2はDNAの複製ミス" によって起きている!(米研究グループ) 防げない?!/当誌 2017.03.26
(2) がん6割、遺伝子複製ミスが主因!細胞分裂の際に誰にでも起きる複製ミスが主な原因!/当誌 2017.03.25
今回注目する下記引用サイト記事 : がんの遺伝子変異、大半がDNAの「ランダムなミス」 研究/JIJI . COM/2017.03.24 - 11:25 は、 <【マイアミAFP=時事】 がんの原因は何か──。23日に発表された研究論文は、遺伝および環境要因ではなく、細胞分裂時に生じるランダムなミスが、腫瘍の遺伝子変異の大半を占めていることを示唆している。 論文は米科学誌「サイエンス」に掲載された。研究論文を執筆した研究チームは、2015年1月に発表された研究で、ランダムなDNA変異、つまり「不運」が、がんの原因となる場合が多いと指摘し、賛否両論を巻き起こした。 研究チームは今回、独自に開発したDNA配列と疫学のデータに基づく数理モデルを、世界69か国に拡張した> と報じている。
<......論文の共同執筆者で、米ジョンズ・ホプキンス大学シドニー・キンメル総合がんセンターの「ルードウィクがん遺伝学・治療学センター」共同所長、バート・ボーゲルスタイン氏は、記者会見で「がんで発生する変異の3分の2は、細胞が分裂する際に起こすミスに起因している」と語った。 論文によると、がんの変異の29%は環境が要因となっており、遺伝要因は全体の5%だという。 ボーゲルスタイン氏は、「正常な細胞が分裂するたびに、いくつかのミスを起こす。これが変異だ」と説明。「たいていの場合、これらの変異は何の害も及ぼさない」と続けた。 しかし、「これは通常の状況。つまりは『幸運』ということだ。だが時にこれが、がん誘発遺伝子で起きることがある。これが『不運』なのだ」と指摘した。 今回の研究の目的は、この種の変異に関する理解を向上させ、がんを早期に発見する方法の確立につなげることだった。 研究はまた、何ら問題の無い環境においても、がんが発症することを浮き彫りにしている。これによって、一部の患者が診断を受ける際に直面する罪悪感が和らぐ可能性がある。
ただ、研究者らは、喫煙や過度の日光に当たることなど、がんに関する既知のリスク要因を避けることはこれまでと同様に強く求められるとしている。 今回の研究は「がんの42%は防ぐことができるという疫学的な推計と完全に一致しており、このようながん予防ガイドラインを誰もが忠実に守るべきだ」とボーゲルスタイン氏は強調した。 ■ 加熱する議論 研究チームが米国の患者に基づいて行った2015年の研究は、科学界に大きな議論を巻き起こした。 当時の研究をめぐっては、がんが不可避で予防できないケースがそれほど多いのなら、食事に気を配ったり日光から身を守ったりする必要はないと考える人が出てくる恐れがあるとして、批判する声が上がった。 2015年12月には、がんの症例の大半が、ランダムな変異ではなく、喫煙や紫外線への暴露などの環境要因によって引き起こされるとする、チームの研究に反論する論文も発表された。 一連の流れについて、英オープン大学のケビン・マッコンウェイ名誉教授(応用統計学)は、「今回の論文が、この問題に最終的な結論を下すには至っていないことは確かだ」とコメントしている。同名誉教授は今回の研究には参加していない。 一般の人にとって、今回の研究から学び取れる内容は、多くのがん性変異は避けることができないが、多くのがん症例は予防が可能ということだ。 「変異の生成にランダムな複製成分が関与するかに関係なく、環境的原因や遺伝的原因を取り除くことで、多くのがん発症リスクを大きく低減させることは可能」とマッコンウェイ名誉教授は話した> とある。
がんの遺伝子変異、大半がDNAの「ランダムなミス」 研究/JIJI . COM/2017.03.24 - 11:25
【マイアミAFP=時事】 がんの原因は何か──。23日に発表された研究論文は、遺伝および環境要因ではなく、細胞分裂時に生じるランダムなミスが、腫瘍の遺伝子変異の大半を占めていることを示唆している。(写真は資料写真)
論文は米科学誌「サイエンス」に掲載された。研究論文を執筆した研究チームは、2015年1月に発表された研究で、ランダムなDNA変異、つまり「不運」が、がんの原因となる場合が多いと指摘し、賛否両論を巻き起こした。
研究チームは今回、独自に開発したDNA配列と疫学のデータに基づく数理モデルを、世界69か国に拡張した。論文の共同執筆者で、米ジョンズ・ホプキンス大学シドニー・キンメル総合がんセンターの「ルードウィクがん遺伝学・治療学センター」共同所長、バート・ボーゲルスタイン氏は、記者会見で「がんで発生する変異の3分の2は、細胞が分裂する際に起こすミスに起因している」と語った。
論文によると、がんの変異の29%は環境が要因となっており、遺伝要因は全体の5%だという。ボーゲルスタイン氏は、「正常な細胞が分裂するたびに、いくつかのミスを起こす。これが変異だ」と説明。「たいていの場合、これらの変異は何の害も及ぼさない」と続けた。
しかし、「これは通常の状況。つまりは『幸運』ということだ。だが時にこれが、がん誘発遺伝子で起きることがある。これが『不運』なのだ」と指摘した。今回の研究の目的は、この種の変異に関する理解を向上させ、がんを早期に発見する方法の確立につなげることだった。
研究はまた、何ら問題の無い環境においても、がんが発症することを浮き彫りにしている。これによって、一部の患者が診断を受ける際に直面する罪悪感が和らぐ可能性がある。
ただ、研究者らは、喫煙や過度の日光に当たることなど、がんに関する既知のリスク要因を避けることはこれまでと同様に強く求められるとしている。
今回の研究は「がんの42%は防ぐことができるという疫学的な推計と完全に一致しており、このようながん予防ガイドラインを誰もが忠実に守るべきだ」とボーゲルスタイン氏は強調した。■ 加熱する議論
研究チームが米国の患者に基づいて行った2015年の研究は、科学界に大きな議論を巻き起こした。
当時の研究をめぐっては、がんが不可避で予防できないケースがそれほど多いのなら、食事に気を配ったり日光から身を守ったりする必要はないと考える人が出てくる恐れがあるとして、批判する声が上がった。
2015年12月には、がんの症例の大半が、ランダムな変異ではなく、喫煙や紫外線への暴露などの環境要因によって引き起こされるとする、チームの研究に反論する論文も発表された。一連の流れについて、英オープン大学のケビン・マッコンウェイ名誉教授(応用統計学)は、「今回の論文が、この問題に最終的な結論を下すには至っていないことは確かだ」とコメントしている。同名誉教授は今回の研究には参加していない。
一般の人にとって、今回の研究から学び取れる内容は、多くのがん性変異は避けることができないが、多くのがん症例は予防が可能ということだ。
【翻訳編集AFPBBNews】
「変異の生成にランダムな複製成分が関与するかに関係なく、環境的原因や遺伝的原因を取り除くことで、多くのがん発症リスクを大きく低減させることは可能」とマッコンウェイ名誉教授は話した。
〔AFP=時事〕(2017/03/24-11:25)
この記事の英文はこちら【英文時事コム】
今回の、件の論文に関心が集まるのは、<がんが不可避で予防できないケースがそれほど多いのなら、食事に気を配ったり日光から身を守ったりする必要はない> のではないか、という自然な声が否定できないからなのであろう。
<一般の人にとって、今回の研究から学び取れる内容は、多くのがん性変異は避けることができないが、多くのがん症例は予防が可能> と補足されはするものの、今ひとつ釈然とない......。 関心の焦点は、上記記事中の <だが時にこれが、がん誘発遺伝子で起きることがある。これが『不運』なのだ> の内実が解析されることであるに違いない。 もし、この推移までが "ランダム" だとされるならば、"がん予防医学" はスッ飛んで、"呼ぼう医学" だけが居座ることに...... (2017.03.27)
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