今回注目する下記引用サイト記事 : がん免疫薬 安く代替、小さな分子で成果相次ぐ/日本経済新聞/2018.07.21 - 06:30 は、 <体内の免疫の攻撃力を高める高価ながん免疫薬「免疫チェックポイント阻害剤」の働きを、10分の1のコストで実現しようとする研究で成果が相次いでいる。千葉県がんセンター研究所や東北大学は、作りやすい小さな化合物で同じ働きをするものを開発した。高額薬の普及で懸念される医療財政の悪化を回避するのに役立つと期待を集めている> と報じている。
<......免疫チェックポイント阻害剤は、従来の抗がん剤が効かない患者も治せる薬として注目を集める。悪性黒色腫や肺がん、胃がんの一種の治療などに利用されている。細胞を培養して作るたんぱく質「抗体」からなり、作るのに手間がかかるので高価。薬代は年1000万円を超える。 千葉県がんセンター研究所の永瀬浩喜研究所長らは、がんへの免疫の働きを高める小さな化合物を開発した。バイオ医薬の高い薬効と、従来型の安い製造コストの双方を兼ね備えた「中分子医薬」というもので、製薬会社が有望と期待するタイプの一つだ。 免疫チェックポイント阻害剤が結合する免疫細胞やがん細胞の表面にある分子などができるのを妨げ、免疫細胞の働きが弱まるのを防ぐ。マウスの実験では大腸がんが消え、生存期間は6倍の1年以上に延びた。製薬企業と協力し、大腸がんやすい臓がん向けで3~5年後の臨床試験(治験)開始を目指す。 東京工業大学の近藤科江教授や門之園哲哉助教は、免疫チェックポイント阻害剤よりも小さい化合物で、同じように働くものを開発した。肺がんや胃がんなど向けに5~10年後の治験を目指す。 東北大学の菊地晴久准教授と扶桑薬品工業はより小さい低分子の化合物で、免疫のブレーキにかかわる分子を約8割減らすことに成功した。「サンシュユ」と呼ばれる漢方薬原料の抽出物をもとに作る。動物実験で効果を確かめ、悪性黒色腫や肺がんの一種などで5~6年後の治験を目指す。 これらの小さな化合物の新薬候補は、抗体に比べて製造しやすく低コストになる。これらの中から免疫チェックポイント阻害剤を代替できる薬が実現できれば、薬代を10分の1に抑えられる可能性があるという。 免疫チェックポイント阻害剤で効果が出るのは患者全体の2~3割といわれる。製薬会社は治療効果を高めて普及を促すため、併用する治療法の開発を急いでいる。小野薬品工業などは5月、免疫チェックポイント阻害剤である「オプジーボ」と「ヤーボイ」を併用する治療法で国内初の承認を得た。欧米でも実用化が進む。 高額薬の併用が広がれば、医療財政の一層の負担になる。オプジーボの価格は2度の引き下げを経て約6割下がったが、今でも年1000万円を超える。 がんは日本人の半数がかかる病気だ。高齢化にともない、国の医療費の増大が予想されており、高額薬を代替できる安価な治療法が求められている。 ―― 以下略 ――> とある。
がん免疫薬 安く代替、小さな分子で成果相次ぐ/日本経済新聞/2018.07.21 - 06:30
体内の免疫の攻撃力を高める高価ながん免疫薬「免疫チェックポイント阻害剤」の働きを、10分の1のコストで実現しようとする研究で成果が相次いでいる。千葉県がんセンター研究所や東北大学は、作りやすい小さな化合物で同じ働きをするものを開発した。高額薬の普及で懸念される医療財政の悪化を回避するのに役立つと期待を集めている。
免疫チェックポイント阻害剤は、従来の抗がん剤が効かない患者も治せる薬として注目を集める。悪性黒色腫や肺がん、胃がんの一種の治療などに利用されている。細胞を培養して作るたんぱく質「抗体」からなり、作るのに手間がかかるので高価。薬代は年1000万円を超える。
千葉県がんセンター研究所の永瀬浩喜研究所長らは、がんへの免疫の働きを高める小さな化合物を開発した。バイオ医薬の高い薬効と、従来型の安い製造コストの双方を兼ね備えた「中分子医薬」というもので、製薬会社が有望と期待するタイプの一つだ。
免疫チェックポイント阻害剤が結合する免疫細胞やがん細胞の表面にある分子などができるのを妨げ、免疫細胞の働きが弱まるのを防ぐ。マウスの実験では大腸がんが消え、生存期間は6倍の1年以上に延びた。製薬企業と協力し、大腸がんやすい臓がん向けで3~5年後の臨床試験(治験)開始を目指す。
東京工業大学の近藤科江教授や門之園哲哉助教は、免疫チェックポイント阻害剤よりも小さい化合物で、同じように働くものを開発した。肺がんや胃がんなど向けに5~10年後の治験を目指す。
東北大学の菊地晴久准教授と扶桑薬品工業はより小さい低分子の化合物で、免疫のブレーキにかかわる分子を約8割減らすことに成功した。「サンシュユ」と呼ばれる漢方薬原料の抽出物をもとに作る。動物実験で効果を確かめ、悪性黒色腫や肺がんの一種などで5~6年後の治験を目指す。
これらの小さな化合物の新薬候補は、抗体に比べて製造しやすく低コストになる。これらの中から免疫チェックポイント阻害剤を代替できる薬が実現できれば、薬代を10分の1に抑えられる可能性があるという。
免疫チェックポイント阻害剤で効果が出るのは患者全体の2~3割といわれる。製薬会社は治療効果を高めて普及を促すため、併用する治療法の開発を急いでいる。小野薬品工業などは5月、免疫チェックポイント阻害剤である「オプジーボ」と「ヤーボイ」を併用する治療法で国内初の承認を得た。欧米でも実用化が進む。
高額薬の併用が広がれば、医療財政の一層の負担になる。オプジーボの価格は2度の引き下げを経て約6割下がったが、今でも年1000万円を超える。
がんは日本人の半数がかかる病気だ。高齢化にともない、国の医療費の増大が予想されており、高額薬を代替できる安価な治療法が求められている。
▼ 免疫チェックポイント阻害剤 がん細胞などによってブレーキのかかった免疫の攻撃力を回復させる新しいタイプの薬。がんを攻撃する免疫細胞の表面にある分子「PD―1」と、がん細胞表面の分子「PD―L1」が結合することなどによってブレーキがかかるので、それを邪魔する働きをする。
2014年に小野薬品工業が発売した「オプジーボ」が代表格。製薬会社による開発は盛んで、数種類が実用化した。PD―1を突き止めた京都大学の本庶佑特別教授はノーベル賞の有力候補といわれる。
注目され続けている「オプジーボ」などの "がん免疫薬" は、"免疫チェックポイント阻害剤" という仕組み( がん細胞に対する免疫細胞の自前の攻撃力が弱まることを阻害する )によって、"抗がん的な免疫力" を発揮する。 ただし、<細胞を培養して作るたんぱく質「抗体」からなり、作るのに手間がかかるので高価。薬代は年1000万円を超える> 難点を持つ。 この価格的難点を <安く代替> するのが、<がんへの免疫の働きを高める小さな化合物......バイオ医薬の高い薬効と、従来型の安い製造コストの双方を兼ね備えた「中分子医薬」というもの> だという。
免疫機能に関わるだけに、副作用回避への慎重な取り組みが求められるが、速やかな "代替" が期待される...... (2018.07.22)
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