鼻風邪の方は、どうやら封じ込めることができたようだ。昨夜は市販の風邪薬を飲んで、無理やり早寝をし、今朝も無理をしないで朝寝をさせてもらった甲斐があったかのようである。大げさではあるが、 "早期発見、早期対処" が奏功したということになる。
考えてみれば、何事によらず、この "早期発見、早期対処" というのが物事を上手く進めるための基本なのだろうとは考えている。しかし、現実は、風邪の引きはじめのような単純なことばかりではない。風邪の引きはじめにしたところが、自分のように振る舞えるのは幸せなのであって、こんな状態ではあっても十分な睡眠がとれなかったり、無理を継続しなければならないことだってままあるはずであろう。現実とはそうしたものであり、 "原理・原則" を何のてらいもなく口にできるのは、売れない評論家くらいのものではなかろうか。
ただ、 "原理・原則" も、無責任に口にするだけという当世流行の振る舞いではなく、しっかりと行動で示すとなると、それは人を動かすに足る力となりそうである。これが少なくなった時代だと痛感する日々ではあるが......。
今日、些細なことではあるが、 "原理・原則" を身をもって示すケースに出会った。商売人のサービス精神の手本とでも言うべきケースである。
それは、馴染みとなっている自動車整備工場のサービスなのであった。毎回の "車検" 更新や、日常的なクルマ整備においてはもう10年以上お世話になってきた業者なのである。もともとが、商売っ気が薄いような "良心的" な業者であった。元のオヤジさんの姿はよく覚えてはいないのであるが、その息子さん兄弟二人がともに実直な人柄であり、今までもその工賃が高いと感じさせられたことは一度としてなかった。また、クルマ整備の技術や経験にも遜色がない上に、顧客側の負担が少なくなるようなアドバイスを提供してくれるのも好感が持てた。だから、何かあると安心してクルマをお任せできたのである。
で、今日、先ほど車検整備が上がったクルマを引き取りに出向いたのだが、その際、何とも恐縮するようなサービスをしてくれていたのである。ボディの "手洗い洗車" をしてくれていたのであった。
自分は、日頃クルマをピカピカに磨いておく方ではない。いや、夏場は "水遊び" がてらに自前で洗車をすることもないではないが、こんな時季にはそんなこととて考えにも及ばない。また、ガソリン・スタンドの自動洗車にしても、待つ時間が鬱陶しいためほとんど拒絶している。
となると、クルマの見てくれがどうなるかは言わずと知れた惨憺たるものである。並みの汚れ方に加えて、外猫たちが寒さ凌ぎにボンネットに泥足で乗るは、野鳥が飛来してはフンを落としていくはで、見るも無残な汚れ方となる。ホワイト系パール色のボディはグレーとなってしまう。
今回、いくらなんでもこれでは整備業者も "手が汚れる" ようなので、GSで自動洗車をしてから持ち込もうかと思ってはいたのだ。が、その機会を逃してしまっていた。
「石鹸つけて洗っときましたよ。やり始めたら、汚れが落ちないから途中で止めるに止められず、こんなことになっちゃった......」
と、その業者は自分の顔を見るなり言ったのであった。自分は、心底、礼を言うだけではなく、そんなに汚れを放置し続けてきたことが恥ずかしい気がしたものであった。きっと、 "結構、ズボラな人なんだね......" とかという会話が作業をしながらの兄弟の間で交わされたに違いないと想像させられたのであった。
また、何ヶ月も洗車をしないクルマの汚れが落ちにくいことも知っているだけに、大変な重労働となったのだろうと想像したものであった。
が、ここまで "サービス精神" をしっかりと形にされてしまうと、もう、顧客としては二の句が継げない。この先、クルマに乗り続ける限りは、自分のクルマはこの兄弟の整備工場に出し続けるに違いない、と確信めいて感じていたのである...... (2008.01.29)
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