"コンプライアンス(法令遵守)" は有効か? ......

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 横断歩道をスタスタと渡っていると、
「赤だよ~!」
とこちらを向き、信号を指差して諭すオッサンがいた。どうも自分に向かっているようだと気づいたが、素知らぬ顔を決め込んで通り過ぎた。
『何をとんちんかんなことを言ってるんだ。クルマの影や子どもの姿なんぞ、とんと見えないじゃないか。しっかりと "コンプライアンス(法令遵守)" をしてるがいいよ......』
と、腹の中では思っていた。多少偽悪ぶった心境があったかもしれない。
 最近の "歩行者としての" 自分は、完璧に "自己責任者" ふうの振る舞いをしている。もちろん、ハンドルを握ったら、まさに "遵法精神" のかたまりで処している。これから書くことも、あくまでも "歩行者として" の話であることを強調しておく。
 自分は "歩行者として" は、人通りやクルマの往来がない場所では、信号なんぞは無きがごとく、自分の眼で確認した状況で判断して行動している。また、逆に、信号が "青" の時でさえ、バカなクルマが突っ込んで来たりしやしないかと注意を払うことにしている。特に、交差点では左折・右折をしてくるクルマは実に構造的に危険であり、決して信用しないことにしているのである。

 ただ、こうした "歩行者としての" 自分の振る舞いも、近辺に "お子さん" がいる場合はこの限りではない。 "真似" をさせてはいけないという認識が働いているからだ。子どもたちに "自立性" を要求しても始まるまい。それに対して、クルマの影なんぞ何百メートル先にもないにもかかわらず、マヌケ顔をしてボーッと突っ立っている大人がいたら、そんな人にかまうことなく渡ってしまう。
 ちょっとした感想だが、そうした行動に対して、女性、ご婦人たちはどちらかというと柔軟に対処して、『そうね、こういう場合はいいわけね......』と言わぬばかりに、わたしの後をついてお渡りになる。
 が、マヌケなのは、中高年の男性のようである。『いや、やはり "コンプライアンス(法令遵守)" でなければいかん! だって自分はこの姿勢で苦節何十年をやってきたのだから。他人がどうであれ、自分はこの姿勢を貫かねばならん』とばかりに、ほとんど化石となったように固まっているのだ。そんなふうにしているおマヌケさんを見ると、まあ、そこで日が暮れるまでジッとしているといいよ、と "嘲りたく" もなってしまうのだ。

  "嘲る" というのは過激でありそうだが、自分のセンスの中には、別の事柄も一緒くたになっているのである。つまり、 "歩行者の信号待ち状況" という事柄は、何かにつけての "自立性" そのものを表しているように感じているのである。
 先ず、歩行者というのは、こんな "クルマ横暴社会" にあっては、自身の身は自身で守るという勘所を押さえていなければならないと確信している。自分の命を守るのに、何々は絶対的に安全だ、なぞと信用・信頼なんぞをしてはならないのである。
 信号表示が信頼に足るとするならば、その大前提は、ドライバーたちが絶対に "信号無視" をしない、あるいは運転ミスをしないという、言ってみればきわめて "非現実的な" 事実ではなかろうか。信号無視どころか、大人しく道路際を歩いている登下校の児童たちの列に殺人鬼さながらに襲い掛かるのが現在のクルマである。
 つまり、世の中には、バカも多ければ、心ここにあらずのドライバーも少なくないのだ。それらを無くせと叫んでも意味はないだろう。自分側が "守りの姿勢" を徹する以外に方策はないと言うべきなのである。
 こんな状況で絶対に必要な条件とは、 "臨機応変な状況認識" と、そしてそれを叶える "自立性" 以外にはないことになりはしないだろうか。

  "自立性" にこだわるのは、何も "交通マナー" の話だけではない。いやむしろ、 "交通マナー" にはその片鱗を見るだけのことであって、社会行動や政治行動全般において、この "自立性" や "自立的判断" というものが人の世を住み良くしていく第一歩だと感じているのである。
 また、ここまで "グローバリズム" の風潮が生活の身辺まで押し寄せている時に、個人としての "自立性" から頓挫しているようでは、この国は壊滅する以外にないのではなかろうか。さらに、時の権力というものが、常に、 "非・自立的" で "従順" な者たちをダシに使って権勢維持を図っていることにも眼を向けるべきなのではなかろうか。
 あの "年金問題" にしたところが、 "青信号" (政府の振る舞い?)は絶対に安全だと勝手に思い込んで来たところにドンデン返しがあったわけであり、その上、もし国民が "日が暮れるまでジッとしている" 姿勢を続けるならば、どうなって行くかはわかったものではないだろう。

 かつて、 "赤信号、みんなで渡れば怖くない" というギャグがあったが、ギャグにおいても "つるんで" 動こうとする "非・自立的" な根性が醜く感じたものである。
 ギクシャクした世相を生み出しているのは、多様な "自立的個人" たちなんぞではなくて、むしろ無責任で "非・自立的" な烏合の衆なのだと言ったら怒られるだろうか...... (2008.01.10)













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