"神頼み" なんぞするような了見違いをしていてはまずかろうぞ ......

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 いつものように、川崎大師から "重い荷" をみやげにして帰って来た。例年のことであるが、 "久寿餅(くずもち)" を数箱運ぶのはラクではない。しかし、もらう人は大抵みな喜ぶし、初詣のみやげということで、この時期になると "あて" にしてもいるようなので、もはや後に引けなくなって例年どおりに繰り返している。
 いつも何かとお世話になるご近所の家にも差し上げ、結構喜ばれてもいる。また、おふくろは昔からこれが大好物であり、そのおふくろは去年の年末年始は入院をしてこのみやげをパスせざるを得なかっただけに、今年は首を長くして待っていたりする。
 そんなわけで、川崎大師から戻ると、さほど日持ちの良くないものだけに、おみやげの配達作業も迅速に行わなければならない。そんなわけで、否が応でも "久寿餅" のみやげに囚われることになっているのである。

 もとより、みやげを受け取る人はみなそうなのだろうが、川崎大師と言えば "お大師さん" のその "ありがたさ" がどうこうというよりも、とにかく旨い "久寿餅" のおみやげということであろう。
 当初、自分の川崎大師初詣とは、家の宗派が真言宗だということもあり、文字通り "お大師さん" を年初に詣で、一年の無事を祈願すること以外ではなかった。当然のことである。しかし昨今では、 "久寿餅" のおみやげを買いに行くといった "ウェート" が増している感が無きにしもあらずである。端から質量的には "ウェート" のあるものが、じわじわと存在感を主張し始めてきたと言えようか......。

 ありがたい "お大師さん" のご威光をさておいて "久寿餅" がどうのこうのとは、失礼千万な話であろう。失礼ついでにもうひとつ昨今の不届き者の印象を書いてしまおう。
 どうも最近の川崎大師初詣は、どこか、よんどころなく役所へ出向くといった風情が打ち消せないでいるのである。
 つまり、年に一度、御札を "更新" しに行くような感触であり、正直言ってそれは最寄の警察署に "免許更新手続き" に行くような趣きを無しとはしないのである。不謹慎なことを言っているようだが、事実そうした実感がないではない。
 別に詣でることや護摩焚きを軽んじているわけではない。が、失礼ながら、毎年同じことを経験していると今ひとつ新鮮さに欠けるような受けとめ方となり、次第に "更新" 事務手続きめいた部分のみがクローズアップされてくるような気がするわけなのである。
 特に、今日のような "大混雑" となると、これを交通整理するお寺側のスタイルがますますもって "脱" 宗教的対処と感じられ、事務的となり、限りなく "役所っぽく" なっているかのように思われ、いつの間にか警察署で "免許書換" の手続きのために並んでいる印象と混同させられそうになったりするのである。
 もともと、護摩焚きの御札を申し込んだり、手渡される窓口そのものや、その背後で応対している寺側の職員方は、明らかに "役所" をモデルとしているようではないか。宝くじ売り場のおばさんのような愛嬌もなく、どこか "ここは、お大師さんのお寺なんだかんね。逆らうとご利益をあげませんよ!" と無言の圧力でも掛けるような雰囲気が否定できない。
 これが、 "役所っぽい" と言ってみたい理由なのであるが、それでいて "商売っ気" の方もしっかりとしているから困惑させられるのだ。御札の大きさをS、M、L、LLと区分けしてそれぞれ価格が異なり、またそれに応じて護摩焚きの座席も "優遇" されたり "冷遇" されたりするのである。自分は以前、LとかLLの御札を頼み、護摩焚きの座席も "優遇" 指定席としていた。が、ある時からSやMに切り替え、凡庸な衆生にふさわしくギュウギュウ詰めの座席へと移ることにしたものだ。 "格差づけ" されているかのようなこのシステムがどこか居心地悪く感じたからかもしれない。今日も、衆生たちの座席はすし詰めであったが、その向こう側の "優遇" 指定席は広い空席を作っていたのが印象に残った。

 ところで、川崎大師平間寺の大本山は、浮世の衆生たちの不安や苦痛の増大を癒すべくなのか、ますます立派な佇まいとなっているようだ。また、仲見世通りのみやげ物屋も小さくない "ご利益" を受けているかのようである。
 しかし、そんな隆盛の周囲に、浮世の過酷な市場主義競争にさらされて日の目を見なくなったみやげ物屋もありそうだ。
 遅ればせながら今日確認することができたのだが、手作り "久寿餅" の老舗の "小倉屋さん" は、すでに店仕舞をしていたのである。
 自分も年に一度の "買い物" であるため、去年もその前もどうしたのかと思うだけで済ませていたのだが、今日、その近辺のみやげ物屋の人に訊ねてみたところ、
「ああ、 "小倉屋さん" のことね。やめちゃったのはもうだいぶ前のことじゃない」
という味気ない返事が返ってきたものだった。
 いつであったか、地元の人から、手作り "久寿餅" の老舗の "小倉屋さん" が一番美味しい、と聞いてご贔屓にしていたのであったが、今流の "時流" に沿い切れなかったというのが実情なのであろうか。
 ふと思ったものであった。 "お大師さん" の目は節穴なんですかい? 山門の間際で、客が列をなす店のことしか目に入らないということなんですかい? 手塩に掛けて手作りの伝統を守るみやげ物屋をこそ身の立つように計らってやるのが "お大師さん" らしいと思うんだけどね......、と。

  "お大師さん" のご威光でも何ともしがたいほどの市場主義経済の嵐が吹き荒れる中で、ひょっとしたら "お大師さん" は初詣客にこう諭していたのかもしれない。
「 "神頼み" なんぞするような了見違いをしていてはまずかろうぞ。私は何もしてあげられぬ。時を惜しんで、自身の眼で世間の動きをしっかりと見つめるのじゃ。しかる後に、自身が気を張って動くこと、それ以外に救いを期待しても詮無きことじゃ」
...... (2008.01.05)













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