"一方的な上下関係" や単純な "指示・指令(支配)関係" ではなく ......

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  "脳" と "身体" との密接な "相互関係" という問題には以前から関心を寄せていた。つまり、両者の関係は "一方的な上下関係" や単純な "指示・指令(支配)関係" ではなく、未知の部分をも含めると、 "相互関係" とか "ネットワーク関係" と呼ばれるものではなかろうか、と推定したりしていた。
  "脳" が "自律的" であり、他の "身体" 部分が "脳" に対して一方的な "依存的" 関係にあるのではなくて、 "脳" も他の "身体" 部分をコントロールし切れない側面を持っているはずだし、他の "身体" 部分も "自律的" に機能する側面を持っていそうだ、という視点なのである。
 これは、 "脳" というものを、 "身体" 全体の "支配者" (?)だとも思い込みがちな見解に対する疑問から発しているのだが、現に、 "脳" 、とりわけ意識や意思では何ともし難い側面がいろいろと思い当たってみると、 "脳" が "身体" 全体を司っていると考えるのはかなり無理がありそうだと思うわけなのである。
 人間の意識にしたところが、脳の中枢とも言える "意識層" とその周辺部の "無意識層" とがあるわけだし、 "身体" には、脳の意識的活動とは区別された "自律神経系" が重要な働きをしていたりもするわけだ。
 しかも、 "脳" を代表するかのような "意識層" の "意識" 、言語的思考の機能は、 "感情" などという "こころ" のあり方に、どう考えても大きな影響を被っていそうである。
 確かに、人間の生命や生活にとって、 "意識" のあり方や、 "意思" のあり方が重要な役割を果たしていることは否定しようがない。しかし、その部分にだけスポット・ライトを当てて対処しようとするのは、やはり大きな間違いではないかと思わざるを得ない。
 こうしたことにこだわるのは、確かに、 "脳" の機能と構造にとめどもない興味と関心を抱くからだと言えるが、それ以外に、さまざまな現象(自然現象、社会現象 etc.)が、この "相互関係" という視点によってこそ妥当に説明されそうに思えるからなのである。人間が織り成す社会現象、政治現象などは、とくに "相互関係" の視点がフィットしており、とにかく "一方的な関係" という視点は破綻しつつあるとさえ思えたりする。

 さて、前置きが長過ぎてしまった。
 こんなことを書き始めたきっかけは、昨晩、録画しておいたTV番組を観たことなのである。それは、<闘うリハビリ 第1回 あなたはここまで再生できる ~脳がもつ可能性~>( NHK 2008年2月10日[日] 午後9時00分~10時14分 総合テレビ )というドキュメンタリーなのであった。
 高齢化する現代にあっては、脳溢血や脳梗塞という脳損傷がめずらしくなくなっている。そして、それらに対する治療法も隔世の感があるほどに発展している。そんな状況下で、 "リハビリテーション" の持つ意義が注目されているのは実に自然なことのようである。
 番組では、このテーマに関しては、あの、知らない者がいないほどに有名になった "長島元巨人軍監督" の "リハビリ" の実態が象徴とされていた。それは、現在の "リハビリ" が、まさに "闘うリハビリ" なのだと称される実情を見事に照らし出していたかに思えた。
 長島氏は、インタビューに答えて、 "自己との闘い" だと述べていたものだが、確かに、辛さや惰性やその他諸々の点で現状を許してしまう、そんな自己を振り切ってトレーニングをしなければ効果が現れないという点では、まさに "自己との闘い" 以外の何ものでもなさそうである。
 ただ、今一歩踏み込んで考えると、もっとより崇高な "闘い" であるように自分には感じられた。と言うのは、不幸にも脳損傷に遭遇してしまった人間の脳とその身体は、一方では、再び元の状態を取り戻そうとする内在的な自己修復・復旧力とその傾向を持ち、他方では、より安逸な現状維持へと向かう傾向という両方を持っているらしいからなのである。前者は果敢な生命力の方向であり、後者は臆病とは言わないまでも安逸な生命力の方向となるのであろう。そして、もちろん、前者は、生命体自体にとっても、安定化へと流れ込む別な傾向と対峙した激しい "闘い" 以外の何ものでもなさそうなのである。だから、当人は、この "闘い" に加わるのかどうかということになりそうで、長島氏が述べた "自己との闘い" の実相とは、実はそうしたことなのだと思えたのである。

 これらの紹介が極めて "感動的" であった別の理由は、次の点にあったと思われる。

<リハビリは、これまで、身体の運動機能を回復させるものだと捉えられてきたが、実は、リハビリが、損傷した脳内の回路を再構築したり、脳に再学習を促していることが解明されたのだ>(NHKオンラインより)

 つまり、手足などを動かすという "身体の運動" 自体が、 "損傷した脳内の(神経)回路を再構築したり、脳に再学習を促している" という、いわば "逆方向" の作用が脳内で展開しているということなのだそうである。これこそが、 "脳" というものの驚くべき "自律性" だと言うべきである。また、それを促すのが、末端の "身体の運動" による神経を伝わって行く刺激信号だというのだから、眼から鱗が落ちる事実である。
 生命体、それも神によって造られたとさえ言われるほどの人間の身体というのは、何と素晴らしいパワーを秘めているものなのかと、ただただ驚嘆したわけなのである。
 自分は、コンピュータ・システムでの "ネットワーキング・システム" に至るコンピュータ技術の変遷やら、あるいはまた唐突ではあるが、地方自治体と中央政府との関係という世知辛い問題をも思い浮かべたりもしていた。
 これが、冒頭の< "一方的な上下関係" や単純な "指示・指令(支配)関係" ではなく...... "相互関係" とか "ネットワーク関係">という思いであったわけだ...... (2008.02.15)













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