グローバリズム経済という "戦車軍団" が轟音を立てて突き進んでいる。とても拍手を送る気になれるものではない。 "戦車" のキャタピラの下に踏み固められて行く累々とした名も無き "歩兵" たちの姿がとても他人事とは思えないからであろうか......。
できれば、 "コンバット" や "ギャラントメン" 、いやちょっと古過ぎるなら、アフガンを舞台とした "ランボー" でもいいが、そんなヒーローよろしく、 "歩兵" としてのあらん限りの意地を見せ、火炎瓶(またまた古風となってしまった)なり、対戦車砲なりで前線の流れを変えられないか......、とまあ過激な話になってしまった。
あくまでも現代の現時点での世界経済の "心象像" なのである。
当面、このグローバリズム経済が怒涛のうねりのごとく進行する趨勢については誰も否定することができない(かのようである)。特に、 "蛇に睨まれた蛙" のような構図に嵌まり込んだこの国、日本にとっては、個人的な思いとは別に、この "歴然たる" 事実を踏まえずしては何も始まらないのだろう。
そして、悠長なことだとの見方もあるだろうが、この "歴然たる" 事実を事実として、その全体像を凝視し、一刻も早くその正体、ないしは本質(可能性と限界)を体得してしまうことが、とりあえずこんな時代に遭遇することとなってしまった現代人たちの差し迫った課題なのであろうか。
ところで、マス・メディアを嫌悪し続けている自分ではあるが、同時にまた "TVオヤジ" としての性向が抜けきらない自分は、何だかんだと言いながら、TVを観ている。
と言っても、観るものは限定されており、ますます "ドキュメンタリー" が大半となっている昨今である。
中でも、 "NHKスペシャル" という番組は、かなり "波長が合う" ようでよく観ることになっている。だから、この日誌でもしばしばその感想を書いたりしている。
もちろん、 "マス・メディア嫌悪派" を隠さない自分は、この番組、 "NHKスペシャル" といえども、あえて "批判的" に、 "距離" を置いて観るよう心がけている。それは、別に相手がNHKだからということよりも、メディアに対して "批判的" 姿勢で接することは、 "メディア・リテラシー" の "いろは" だからである。
"NHKスペシャル" という番組のこのところの視点は、やはり、じわじわとこの国の国民に迫ってきている "グローバリズム" ( "構造改革" 路線問題を含む)という "怪物" に焦点を合わせているような感触を持つ。それは、マス・メディアとしてはかなり "的確" なアクションのような気がしている。
まあ、この辺の事情を別な角度から言えば、視聴者である国民自体が、ますますこの "グローバリズム" の正体を知りたがっていることへの "呼応" なのだと言ってもいいはずである。
昨晩も、この "NHKスペシャル" を興味深く観てしまった。
この間、『日本と米国』というテーマで3回シリーズが放送されている。まさに、 "グローバリズム" の趨勢の "要" に位置する問題のはずだと思われる。昨晩は、<第3回 日本野球は"宝の山"~大リーグ経営革命の秘密~>(ちなみに、<第1回 深まる日米同盟><第2回 ジャパン・パッシング "日本離れ"との闘い>であった)ということで、日本人選手獲得に蠢くレッドソックス経営陣の動向が密着取材されていた。
これは、日本のプロ野球界の変わり映えのしない動向に対して、これぞ "グローバリズム" の経営手法なのだと言わぬばかりのレッドソックス経営の凄みが溢れていて、何がしかを考えさせられるに足る映像であった。
例えば、マーケティングや球場改修による観客動員作戦や、日本人選手獲得戦略は非常に "なるほど感" が刺激されたものであった。特に、松坂大輔選手のような看板スターの巨額な契約金を賄うためにも、割安な契約金で実質的にチーム貢献度が高いであろう選手を掘り出すことに注力し、そのために新たな "実力評価計算式" を採用するという合理的な貪欲さなどは、頭が下がる思いにさせられたものであった。
この "NHKスペシャル" という番組ではかつて、 "ワーキング・プア" (格差問題!)といういわば "グローバリズム" 経済の "闇" の側面に対して手厳しい視線を向ける番組が報じられ、多方面から共感の声が寄せられたと聞く。自分自身も、その番組構成を大いに評価したものであった。
それが、 "グローバリズム" 経済の影響による国内の "闇" を照らし出したとするならば、今回のシリーズ『日本と米国』は、対外的な関係における実態解明への一石という意味合いを強く感じた。そして、ここでは、先ずは米国が主導する "グローバリズム" というもの推進のされ方をリアルに認識しようとするような意図が読み取れた。
もちろん "したたかさ" に貫かれた戦略戦術に満ちており、こうした事実を踏まえなければ "有効性" のある対応ができないのではなかろうか、と感じさせられたのである...... (2008.02.04)
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