"ビジネスにウェブ環境を活かす" という点は、もっとシビァに見つめられて良いと思われる。
"ウェブ環境" の何が見つめられるべきかはいろいろな視点がありそうだ。だが、単刀直入に言って、 "コスト面的事実" が持つインパクトは常に注目されていいように思われる。
つまり、 "ウェブ環境" が果たす役割というものはいろいろとあろうが、否定できない明瞭な事実の一つは、需要と供給の結びつき方における "中間流通部分の割愛" 、生産者(ベンダー)とユーザーとの短絡的、効率的な遭遇、という点なのかもしれない。要するに、 "ウェブ環境" によって、 "通販的" な "脱・中間マージン価格" での取引が、ドラスティックに進展した、という事実ではなかろうか。
この点の持つ意味は決して小さくはないし、今後もこの傾向が益々強まるだろうし、また、浸透するジャンルや業種もさらに広がって行くに違いなかろう。
とにかく "ウェブ環境" というような手軽な "情報公開的環境" が登場するまでは、消費者やユーザーにとって、第一次生産の現場(産地)での "コスト面的事実" やいわゆる "原価" というようなものは未知数でしかあり得なかったはずだ。 "中間流通業者" が、一定の "アリバイ的役割" を果たすことと引き換えに、しっかりとそれに "霞" をかけていたと言えるのかもしれない。
ところで、この "中間流通業者" の "アリバイ的役割" とでも言うべきものをどう理解するかについては、多少議論が分かれそうである。ある者は、 "中間流通業者" の管理的役割とその工数は十分に意味のあるものだと主張するであろうし、また別の者は、それはまさに "中間マージン" を取るための "アリバイ的役割" でしかないので、存在理由はないに等しいと言うのかもしれない。
しかし、やはり "ウェブ環境" の社会的な浸透は、あらゆる業種から "中間流通業" 的クッションを消し去る機能を果たしつつあるのではなかろうか。これは、企業などの組織において、 "ネット環境" が "中間管理職層" を排除する機能を果たして行ったのとアナロジカルな関係がありそうに思える。
今現在、ビジネス界で展開している大きな動向の一つは、まさにこうした "中間流通業" 的クッションはずしの展開だとは言えないであろうか。既に、電気製品などの規格品販売を中心にした "通販" スタイルはすっかり定番化したようであり、また、農産物などの "産地直送販売" もいよいよ活況を帯びつつあるようである。後者に関しては、 "中間" はずしの意義というものが、価格面でのメリットを生むだけではなく、新鮮さなどの品質的メリットのあることをも示唆していそうだ。
多分、次のステップでは、いわゆる "多重下請構造" が顕著であり続けた経済ジャンル(ex.ソフトウェア開発業etc.)において、存在意義が薄いと見なされた "中間請負階層(企業)" が次第に侵食されていくのではなかろうか。既に、グローバリズム経済は、国内の "多重下請" どころか、中国・インドなど海外の低コスト技術力を駆使しているわけである。そして、現在の低成長の景気状況は、 "ウェブ環境" の進展と相俟ってこの傾向をさらに増幅させ、 "供給" と "需要" との距離を否応なく縮めていくに違いなかろう。
ただ、生産技術 "供給" 側にとって、いわば "エンドユーザー訴求的(直訴的)" とも言えそうな環境には、少なくない課題が残されていることも事実のようである。とりわけ、 "ウェブ環境" の最大限の活用によって、潜在的ユーザーへの説得力をもった営業プレゼンテーションをどう展開するかは、緊急かつ重要な課題だと思われる...... (2008.04.27)
コメントする