顧客が一体何を知りたがっているのかへの "感度" が鈍くては、商売がうまくゆくわけがなかろう。しかし、この店の経営者は一体何を考えているのだろう、一体何を感じ取っているのだろうと訝しく思う店は少なくない。
このところ、原材料物資の高騰から、あらゆる商品の "値上げ" が続いている。店側もしたくてしている "値上げ" ではないため、かなり辛いことだろうとは推測する。
そんな状況での留意点は、少なくとも、いかにして "顧客側との一体感" を壊さないかということではないだろうか。販売店側と顧客側との立場関係は、確かに "相反する" ものとなりがちではあるが、そこは感情の動物としての人間同士である。事情をどう説明して、環境をどう共有するのかという手続き的な部分を割愛し、「しょうがないんですよ、このご時世では......」と開き直った対応をしまっては、まさに身も蓋もないということになろう。
確かに、 "値上げ" の客観的根拠としては "しわ寄せ" 以外ではなく、 "しょうがない" ことは否定し難い。だが、それを口にしてしまっては、身も蓋もなかろう。また、商売人としての "個性" がなく、ただただ販売店 "一般" を誇張しているようなものだ。
詳細は省かざるを得ないが、自分は唖然としたことがあった。これは "値上げ" ですとは一言も表明せず、屁理屈を並べ立てていたのであった。思わず、なぜ率直に、素直に "値上げ" でございますと表明して、 "まことに心苦しゅうございます" くらいの世辞の一言がいえないの、と感じた次第なのだ。
咄嗟に思ったのは、浅はかでたちの悪い経営コンサルタントか、会計事務所かなんぞが裏で画策していそうだという点であった。こうしたケースで結局は立ち行かなくなった店舗を思い出さざるを得なかったからである。経営建て直しと称して売り込むコンサルタントの中には、かなりの "机上の空論" をいけしゃあしゃあと推し進めたりする輩がいたりする。
どちらかと言えば、長年、地元の顧客と対面してきた経営者ならば、その体感からあまり空々しい対応は避けるところだと思えるが、 "頭でっかち、尻すぼみ" の "自称" スペシャリストの中には、存外、こうしたコンサルタントがいそうである。
自分は、極めて不謹慎なことではあるかもしれないが、もうこの店には、 "閉店感謝デー" までは二度と顔を出すまいと思ったものだった...... (2008.08.12)
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