結局、ブッシュの緊急記者会見も "G7" も不安で慄く市場の動きを沈静化させることはできなかったようだ。昨日のNYダウの終値は、前日比128ドル安という8営業日続けた反落で反応したようだ。
いずれも、 "公的資金" を使った、銀行などへの資本注入についての行動計画を表明するものであったが、市場はそのレベルでは納得できなかったようである。
言ってみれば、出火でパニックとなっている者にとって、通報をしたら、消防署が "了解、消防車を出動させます" という返事をしたということレベルなのかもしれない。どのくらいの待ち時間があるものなのか、途中の交通渋滞をクリアできるものなのか、そうした切迫した不安と慄きに対しては若干 "温度差" があった、ということだったのかもしれない。
経済アナリストたちや識者たちの見解でも、もはやこの時点では "いきなり具体例" を示すことぐらいをしなければ市場の沈静化には至らないのではないかとも囁かれていたようである。
考えてみれば、世界の投資家たちは事を処すのに常に "スピード感" を持って突き進んできたはずである。いいか悪いかというよりも、そうしなければ投資対象の事態の進展がカバーできないという現実があるのだろう。この辺の事情は、もっぱら加速度を強めるコンピュータのCPU速度にも類比できそうであり、もっとも、現代の金融経済取引が、ITを梃子にして展開されているのであるから当然のことなのかもしれない。
ちなみに、昨日のブッシュ米大統領による緊急記者会見の "手応えの無さ" といったらなかったような気がする。その表明内容が、実に、機を逸してしまっていて、まるで気の抜けたビール、温くなってしまったシャンペンの気配をまざまざと漂わせているようだった。
もちろん、政権末尾特有の雰囲気がベースとなっているわけだが、それにしても、今回の金融危機・経済危機の当事国たる最高責任者がいかにも "浮き上がって" いて、指導力が発揮できない状況となっていることが露呈された観が否めなかった。
週明け、連休明けで、現時点での世界経済の修羅場状況がどう変化していくのか関心を向けざるを得ないが、これまでの "野蛮な金融経済アクション" に対して、各国政府側は何ら手を打ってこなかったと言っても過言ではなさそうな状況下で、一体、どんな有効な手立てが講じられるのだろうか。しかも、問われているのは、 "スピード感" だという視点もかなり大きいようだ。
すでに、これまでの "米国主導型金融モデル経済" の修復は困難だと言う者も出はじめているようでもあり、われわれはもはや十分に "世界恐慌" の範疇に足を踏み入れているような気がする...... (2008.10.11)
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