冷え込みはじめたこの天候をさぞかし恨めしく思っているに違いないのは、外猫たちである。早くも先週には片方の猫、クロが風邪をひいた。そして、今週に入って、もう片方の猫も同じ症状となり元気を失くした。
猫の風邪も人間と変わらず、クシュンクシュンと鼻を鳴らし、気分も悪くなるようである。いつもの旺盛な食欲もにわかに減退し、ほとんど餌を口にしなくなる。
もちろん、猫小屋には "湯たんぽ" を入れてやり、その数も特別サービスで大小二つをあてがってやった。まさか風邪薬を飲ませるわけにもゆかず、寒さを和らげてやることが精一杯なのである。
その甲斐あってか、クロは程なく食欲も出て元気を取り戻した。なんせ、年寄り猫のクロは、 "年の功" そのものであり、その行動を見ているといちいち頷かされることばかりである。普段は実に食欲旺盛で、とにかくしっかりと食べる。まず、それが病気にも強い抵抗力を作っているに違いない。
また、 "日向ぼっこ" をまめにするのも賢い。小屋の近辺でクロの姿が見えなくなった時、見回してみると、向かい側の家の陽が燦々と当たった庇(ひさし)の上でねそべっているのだ。全身に艶のある真っ黒な毛をまとっているだけに、きっとほんのわずかな時間でも効率よく身体を温めることになっているのだと思われる。どこかで聞いたことがあったが、黒猫はそういう太陽の恵みをこよなく受けられるために概して健康なのだそうだ。
そうしたクロに対して、その子にあたるミーちゃん(幼名、グチャ)は、何とも心配を掛けさせる猫なのである。外で飼われる猫にとって、 "臆病な性格" はむしろ幸いな事なのかもしれないが、度を越しており、自分や家内に気を許すようになったのがつい最近のことなのだから手を焼かせ続けた。
そして、そんな臆病猫が風邪で病気となると、ますますもって "内向き" の行動に徹するから厄介極まりない。 "湯たんぽ" を取替えてやろうと、小屋の中をまさぐると、追い出されるものと思い込んで、冷え込む夜空の下へ飛び出して雲隠れしてしまう。
昼は昼で、クロのように目の行き届く場所で日向ぼっこをするわけでもなく、どこへ潜り込んでいるのか姿を隠している。それでまた家の者に余計な心配をさせるのである。
まあ、そのミーちゃんも、いくらか回復してきたようで、餌も口にするようになってきたため一安心といったところである。
それにしても、寒さはまだまだ序の口なのであり、これからが本番だ。この先延々と三ヶ月ほどは続くはずである。今から、風邪をひいている場合なのかと案じることしきりである...... (2008.12.06)
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