この世界同時不況で暗いニュースが続いている。
昨日も、自分が子ども時代を過ごした "品川" 地域でのニュースが目を引いた。
<京品ホテルに強制執行 3カ月の自主営業終わる
昨年10月に廃業した東京・品川駅前の京品ホテルを占拠し、店舗などの営業を独自に続けてきた一部の元従業員らに対し、東京地裁の執行官は25日、同地裁の仮処分決定に基づき、ホテルから立ち退かせる強制執行に踏み切った。
この日は未明から元従業員や支援する労組関係者ら200人以上がホテル前に集結。「家族の生活を守り抜くぞ」「強制執行反対」などとシュプレヒコールを上げながら、ホテル前でスクラムを組んで強制執行に抵抗した。
午前9時ごろから執行官や警察官らと激しいもみ合いになったが、30分ほどで執行官が突破して建物に入った。この騒動で、元従業員側に軽傷者が3人出たという。>(asahi.com 2009年1月25日 http://www.asahi.com/national/update/0125/TKY200901250110.html)
この顛末もまた、いわゆる "金融危機" がもたらした典型的なケースなのであろう。
<ホテルを経営する京品実業(東京都港区)は昨年10月、経営破綻(はたん)した米証券大手リーマン・ブラザーズ系の投資会社に約60億円の負債を抱えて廃業し、従業員を全員解雇した。>とある。
各地の私立大学でも、学校経営以外での収益を目論んだ "金融投資" が裏目に出てしまい、巨額の損失を被ることになった例が多々あるようだ。定かなことはわからないが、当該ホテルも同じような文脈にあったことが想像される。だから、解雇された元従業員らから不服が出ているのかもしれない。
つまり、負債原因は本業から離れた経営者本位の投資の失敗なのであって、本業の不振が結果するものではなかったと、元従業員らは主張したいのかもしれない。
ホテル経営やその実際業務は、そんなに簡単なことではなさそうであり、まして、 "老舗" 的な歴史を持つホテルには、それを長い年月支え続けてきた従業員たちがいることであろう。彼らは、多分、そのことに誇りすら抱いてきたに違いなかろう。
それが、まるで降って湧いたような米国の "金融危機" に端を発する影響で、突然の廃業、従業員全員の解雇という事態に見舞われたのだから、 "継続" の可能性を追求してみたくなるのは十分に理解できる。
自分にとっても、この "京品ホテル" には情が移っている。何かと懐かしさが溢れるJR品川駅に面したこのホテルは、自分が10歳で大阪から品川は北品川に転居して来た時にも既に "輝かしく" 存在していたからである。
その伝統的な様式の佇まいは、子ども心にも何がしかの感銘を与えていたのだと思われる。
ちなみに、以下の絵は当時自分が描いた "自由画" なのである。なお、よほど印象が深かったとみえ、背景には "京品ホテル" 特有の古風な様式の窓や扉が描き込まれているのだ。
こんなふうにして、今回の不況の嵐は、人々が懐かしさを禁じえない建物などをも容赦なく吹き飛ばしたり、押し流したりしてゆくのであろうか…… (2009.01.26)
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