"反俗精神" は、今 "凡俗精神" へと反転しているのか ......

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  "反俗精神" という懐かしい言葉を思い起こしている。かつては多くの芸術家たちがこの言葉を心と活動のバネにしていたのかもしれない。感性、感覚をマヒさせる "俗っぽい" 事柄から、一歩でも離れ、跳び出し、その汚染から逃れるとともに、未踏の領域に踏み出す意地に満ちていたのであろうか。
 この言葉ですぐに思い浮かべる作家は、太宰治ということになろうか。精神を惰眠に導くだけでしかない "俗っぽい" 事柄への嫌悪感を誇示し続けた作家だったと言っていいのだろう。
 こう書くと、すぐさま、いやそうでもなかったようだよ、結構、俗っぽいところがあったとも聞くし......、というような人が出てくる。
 そりゃ、そうでしょうよ、人間なんだからいろいろな側面があり矛盾してもいるはずだろう。概してどうだったか、あるいは、特に何を志向していたかにこそ注目すべきなのであって、重箱の隅を突付いてヒマ潰しをしたり、他人の揚げ足を取って溜飲を下げようとする者たちこそが、週刊誌的視点そのまんまであり、まさに太宰治が嫌悪した "俗っぽさ" そのものなのではなかろうか。
  "反俗精神" という半ば黴が生えたような言葉を思い起こしたのは、率直に言って現代という時代は、 "反俗精神" ではなく "凡俗精神" 、つまり "おしなべて(=凡)" 俗っぽくなり切っている、という言葉がふさわしいのではなかろうかと、ふと感じたからなのである。
 むしろ、 "俗っぽい" 空気こそが現代人の棲息地、棲息圏なのだと言わぬばかりの強固な市民権を得ているかのようである。異端・異論・反論のすべて、その可能性の芽すらを、ことごとくこの棲息圏に引きずり込んで窒息させてしまっているかのようだ。そして、この棲息圏でダラ~っとした思考停止状態、仮死状態に馴染んでしまっている者たちの頭脳や内面に決して波風を立てさせないこと、そのことを最も気遣っているかのような気がしてならない。

  "凡俗精神" のモットーは、 "寄らば大樹" であり、 "メジャー" であり、パッと見が個性的でありながらの "没個性の画一性" であり、 "紋切り型" であり、違和感や想像力を排した "外見" であり(もういいか)......。
 こうした "凡俗精神" の浸透が、弱者たちを追い詰めていることは次第に明かされつつあるが、こうした思考停止状態の社会的累積が、とんでもない "カタストロフィ(catastrophe 破局)" を紡ぎ出していくこと、そんなことを予感する人も少なくないのではなかろうか...... (2009.03.25)












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