何日か前の晩であった。晩酌の酔いを醒ますべく戸外に出てみた。
雨がやみ、程よい風が吹き実に心地良かった。何気なく夜空を見上げると、濃いネービー・ブルーを背景にして、途切れ途切れとなったいくつもの白っぽい雲が、右手方向から左手方向へと滑るように流れて動いていた。
小さな塊の雲たちは、まるでさまざまな動物たちが一斉に移動しているようだと思えた。あの巨体の雲は、バッファローか? あれは、ムササビか? あれは、オオアリクイのように見える。下の方でこじんまりとして移動しているのは野ウサギの群れか? 後ろの上方で流れ、前の一群に追いつこうとでもしているのは、獲物を狙うワシのようにも見える。
雨がやみ、程よい風が吹き実に心地良かった。何気なく夜空を見上げると、濃いネービー・ブルーを背景にして、途切れ途切れとなったいくつもの白っぽい雲が、右手方向から左手方向へと滑るように流れて動いていた。
小さな塊の雲たちは、まるでさまざまな動物たちが一斉に移動しているようだと思えた。あの巨体の雲は、バッファローか? あれは、ムササビか? あれは、オオアリクイのように見える。下の方でこじんまりとして移動しているのは野ウサギの群れか? 後ろの上方で流れ、前の一群に追いつこうとでもしているのは、獲物を狙うワシのようにも見える。
天空に広がった巨大なスクリーンにダイナミックに展開するその光景は、子どもならずとも、大いに空想力を刺激するものであった。
神秘的とさえ思えたそんな光景に目を奪われていたら、ふと、他愛もないことを考えていた。
この世には、確かに物質という "ハード" が存在する。と同時に、その "ハード" を反映したり、あるいは逆に作用したりする "ソフト" (観念、精神、意味......)という範疇の存在も確実に存在する......。
いや、物質はいつか消滅する定めにあるが、ひょっとしたら "ソフト" というものは不滅なのであろうか......。そして、その "ソフト" は、あの "蠢く雲たち" のように、この天空を人知れず充たしているのであろうか......。
あるいは、 "ハード" と "ソフト" との境界は人為的、日常的な世界での便宜であって、実のところは一体的な存在の "側面" に過ぎないのかもしれない......。
ほろ酔い加減の気分と、頭上の神秘的な光景は、相俟って、自分にそんな "超常的" なことを夢想させていたのであった。
しばしば、宇宙飛行士たちは、地上での視点を超越した "宇宙" のただ中での視点を得た時、まさに "超常的" な想念を抱く......、と言われたりしてきた。
おそらく、そうした現象は多分に起こりえるような気がする。しかし、この自分なんぞは、宇宙へも、それどころか名だたる自然の名勝地にさえも足を運ばず、ただただ酔った気分で自宅前の通りに出ただけで "大層な想念" を得た気になっている。
実に、安上がりな経験であった...... (2009.07.02)
神秘的とさえ思えたそんな光景に目を奪われていたら、ふと、他愛もないことを考えていた。
この世には、確かに物質という "ハード" が存在する。と同時に、その "ハード" を反映したり、あるいは逆に作用したりする "ソフト" (観念、精神、意味......)という範疇の存在も確実に存在する......。
いや、物質はいつか消滅する定めにあるが、ひょっとしたら "ソフト" というものは不滅なのであろうか......。そして、その "ソフト" は、あの "蠢く雲たち" のように、この天空を人知れず充たしているのであろうか......。
あるいは、 "ハード" と "ソフト" との境界は人為的、日常的な世界での便宜であって、実のところは一体的な存在の "側面" に過ぎないのかもしれない......。
ほろ酔い加減の気分と、頭上の神秘的な光景は、相俟って、自分にそんな "超常的" なことを夢想させていたのであった。
しばしば、宇宙飛行士たちは、地上での視点を超越した "宇宙" のただ中での視点を得た時、まさに "超常的" な想念を抱く......、と言われたりしてきた。
おそらく、そうした現象は多分に起こりえるような気がする。しかし、この自分なんぞは、宇宙へも、それどころか名だたる自然の名勝地にさえも足を運ばず、ただただ酔った気分で自宅前の通りに出ただけで "大層な想念" を得た気になっている。
実に、安上がりな経験であった...... (2009.07.02)
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