悲惨な戦争に関する "白黒フィルムのカラー化" 企画に感動! ......

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 今、TV放送界では "3D" 放送がホットな話題となっている。韓国ではその試験放送を始めたとも言われている。興味がないとは言わないが、今は、そうですか、としか言いようがない。
 それよりも、TV放送の技術面で感心、感動したことがひとつあった。
 この三日間、深夜に次のような "再放送" があったのだ。

『国際共同制作 よみがえる第二次世界大戦 ~カラー化された白黒フィルム~』(NHK BS世界のドキュメンタリーを地デジで三日にわたり再放送 2009.12.22・2009.12.23・2009.12.24)

 先ず断わっておいた方がいいと思われるのは、 "白黒フィルムのカラー化" というと、従来からも行われてはいた出来映えが念頭に置かれて、あぁあれね、と棄却されがちな点である。要するに、動画フィルムの一コマ一コマに着色を施して、さもカラーフィルムであるかのように装われた、その出来映えの劣悪さについてである。
 幕末や明治の歴史的フィルムなどでそんな処理が施されたのを観たことがある。しかし、一言で言って "観るに堪えない" といったところがホンネの感想となってしまう。どうしても "不自然さ" が拭い切れず、それならば元の白黒で観た方がよかったと思ったりもした。
 それというのも、そうした処理を行う作業がとてつもなく煩雑かつ膨大な作業量というからにほかならない。着色する部分を確定し、 "それらしい色" で染める、その作業を膨大な数のコマにわたって行うわけだから、大変であることは容易に想像がつく。
 たとえ、デジタル処理方法でも、自分が経験しているフォトショップなどを使ってのフォトレタッチのことを思い浮かべると、ぞっとしてしまう。だから、デジタル処理方法以前の場合だと、それがさらに込み入るのだろうこと必定だから気が遠くなりそうになる。出来映えに、とても文句が言えない作業だということなのである。

 ところが、今回の上記のフィルムの出来映えは "大したもの" であった。 "白黒フィルムのカラー化" に伴う "不自然さ" がほとんど感じられなかったのだ。
 その理由は、作業の大変さを苦にしなかったスタッフの努力も見上げたものだが、技術的な秘密は、着色する際の "色" の選択にあったようなのである。
 当該フィルム上の対象箇所、たとえば "軍服" の色なり、固有の "兵器" の色なりが、まるで "時代考証" 作業のように詰め切られていたようなのだ。それも、当時の類似した対象のカラースチール写真を素材とした "データベース" までが作成されていて、そこから蓋然性の高い "色" が選択されているという厳密さなのだ。その点は、番組の冒頭でも紹介されていたが、下記の解説からも窺い知ることができる。

<詳細
1939年9月、ナチス・ドイツのポーランド侵攻で始まった第二次世界大戦。
6年にわたる戦闘で、世界中が戦場と化し、数千万人の死者を出した史上最悪の戦争である。
2009年9月で戦争開始から70年がたつ。この間、戦争経験者の多くが世を去り、一方で若者たちが歴史への関心と知識を失うなど、世界各国で戦争体験は風化を続けている。戦争を何とか後世へ伝え、あの悲惨な出来事を繰り返すまいという思いは、日本だけでなく、世界の共通の願いである。
このような中で、記録映像をもう一度丹念に掘り起こし、その力をあらためて引き出そうというプロジェクトが進められてきた。最新のデジタル技術と綿密な時代考証により、白黒アーカイブ映像をカラー化し、第二次世界大戦の時代をよりリアルに再現する、という新たな試みだ。

最新のデジタル技術で白黒フィルムをカラー化
第二次世界大戦は、小型化された映画カメラの発達により、戦闘の様子を動く映像で記録する初めての機会となった。戦争の様子は、各国の従軍カメラマンたちによって記録された。
今回、世界各地で眠っている記録映像を再発掘。フランスとの国際共同制作で、最新のデジタル技術を使い、白黒映像のカラー化を進めてきた。
色づけ作業は慎重に行われた。第二次世界大戦は、カラーのスチール写真も残され、兵器や軍服、日用品などの現物も多く残されている。それら1万件にのぼる色情報をデジタルでデータベース化。
映像1フレームごとに、細かい色づけ作業を行った。>( NHKハイビジョン特集フロンティア より )

 こうした "試み" とその志は、大変貴重でかつ有意義なことだと自分には思えたのである。白黒フィルムで観る "戦争光景" と、カラー化されたそれとの間には、やはり大きな差があると感じざるを得なかったからである。
 白黒フィルムだと、どうしても "過去の出来事" だと感じてしまいがちだ。そうした感性が出来上がっているのかもしれない。ところが、 "不自然さ" がないカラー映像からは、緊張感漂う "リアリティ" が押し寄せて来るかのようであった。
 ここなのである。現代では、 "戦争体験" の継承の困難さが指摘されてもいる。 "語り部のような伝承" など、別な形の方法も当然なければならないはずだが、事、戦争に関する映像については、こうした "白黒フィルムのカラー化" という画期的企画がさらに続けられていい、と思えたのであった...... (2009.12.24)













【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








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