脳内の無意識の記憶データとの "交信" とも言える "脳指紋=脳波P300" ! ......

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 もし、捜査が暗礁に乗り上げてしまった殺人事件が、意外な "証人" の登場によって解決したとしたらどうであろうか。その意外な "証人" とは、死体となった被害者自身であり、その "脳" に刻まれた "最期の光景" の読み取りだったのだ......。
 これは、 "架空" の話、実を言えば、ずっと昔、自分が推理小説に凝っていた当時に案出したプロットでしかない。脳科学が将来発展するならば、死者の脳からも何らかの情報を "読み取る(リードする)" ことが可能となるのではないかと、勇み足気味に想像したまでである。
 なんせ、夏目漱石の場合<脳は、現在もエタノールに漬けられた状態で東京大学医学部に保管されている。重さは1,425グラムであった。>(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)とあり、<寄贈された>からとは言うものの、<保管>されているのは何らかの "復活(?)" 可能性が期待されてのことでは......と、想像できなくもないではないか。

 ところで、こんな "不気味" な話を冒頭から書くのは、現代の "脳科学" はやはり驚くべき発展だと今更ながら感じさせられたからなのである。茂木健一郎氏もこれじゃあ、おもしろくて身がいくつあっても足りないはずだろう......。
 脳の中に、普段、何気なく眼にした光景などの痕跡が、本人が意識するしないに関わらず "いつまでも残り続ける" というのは、どうも事実のようである。
 人が、自身の "脳" に蓄積させているデータは、意識して "思い出せる記憶" なんぞに限られないようである。こんなことは、 "度忘れ" 気味となった人には良くわかることかもしれない。顔は思い浮かぶのに、名前が出てこない......、というケースである。つまり、 "思い出せないでいる記憶素材" が、 "思い出そうとする意識" とは別に、しっかりと存在していると感じさせられるからである。

 どうも、日常生活で人は、外部から無意識のうちに膨大なデータ収集をしているようである。そして、それらは程度の差こそあれ、 "脳" における記憶貯蔵庫とも言える "側頭連合野" に "格納" されているらしい。
 ただ、それらは、自由に "リード(読み込み)" することはできず、大容量ハードディスクにアトランダムに "ライト(書き込み)" したデータのごとく、自分のものであって自分のものではない "純粋保存、素材保存" の状態となっているらしい。
 こうした場合、PCなどではその "データ" にアクセスするための "検索方法" が問題となるわけだが、人の "脳" の場合も同様のようだ。そもそも思い出そうとする行為とは、 "有効な検索法" を模索することであり、奏功すれば "あっそうか!" ということになるようだ。
 だから、われわれが "記憶" と呼んでいる対象は、 "有効な検索法" とセットになった一部分の情報のことであり、これは "側頭連合野" に "格納" された膨大なデータの海に浮かぶほんのわずかな部分でしか過ぎないということになりそうだ。

 さて、今回こうした、人の記憶について注目させられたのは、『茂木健一郎プレゼンツ!最新脳科学SP/脳の記憶で無罪を証明!指紋を超えた究極犯罪捜査......』(2010.02.03 9:00~ ザ・ベストハウス123/フジテレビ)というTV番組であった。
 衝撃的な結論から紹介すれば、当人が無意識で "側頭連合野" に "格納" した、つまり無意識に記憶(ライト)したデータを確認することに成功したことで、25年も "冤罪" で収監されていた終身刑の男が "無罪を勝ち取る" ことになったというのである。
 米国アイオワ州で2003年に実現した米国版の "冤罪・菅谷さん" 問題だと言えそうだ。 "菅谷さん" の場合の "無実立証の決め手" は "DNA鑑定" であったのに対して、米国版の場合は、 "脳指紋鑑定" だったということだ。
  "脳指紋" というのは聞きなれない言葉だが、これは、番組での茂木氏の説明を反復すると以下のごとくである。

<記憶は海馬という部分の助けを借りて、最終的には側頭連合野に蓄えられる。過去に見たものはたとえ本人が忘れていると思っていても、その記憶の痕跡は脳に残っている。
 人間は普段、印象的な事・必要な事を記憶として脳(側頭連合野)に蓄積し、その記憶に関する情報に出会うと、無意識のうちに記憶のデータが反応(記憶データと照合)する。この時、瞬間的に発する特定の脳波を『脳指紋』と呼ぶ。
 脳指紋の鑑定法は、頭部に脳波を読み取る電極を装着し、モニターに映し出される写真や文字を見せ脳波の反応を測定する。「脳指紋=大きな谷の波形(P300)」の検出が測定の焦点となる。
 犯人しか知り得ない事実という表現がある。
 もし犯人ならば、犯行現場や凶器に関する記憶は脳の中にかなり強く記録されている。しかも、脳の反応というのは無意識なので本人もコントロールできない。
 他のいろいろな写真とまぜて犯行現場や凶器の写真を見せた時に、もしP300という脳波(脳指紋)が出たら、その人が犯人であるひとつの可能性を示唆する。>(上述番組より)

  "ウソ" や "記憶にございません" が人の世を騒がせ続けている。だから、 "DNA鑑定" の威力に続いて、この "脳指紋鑑定" も犯罪捜査で活用されて然るべきであろう。
 ただ、こうした "刑事コロンボ" 的分野だけで期待されるのではなく、人間の生き方が依存する "脳の不思議" 自体が旺盛に解明され、人間の苦悩の根源の一端が氷解して行くことを、と願う...... (2010.02.04)












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