"言語力"の向上は、 "無縁社会" の克服という課題とセットで ......

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 日本人の"言語力"の衰えが、各方面から指摘され続けている。確かに、そうした実感は打ち消しがたい。
 何をもって"言語力"とするのかという点から議論は分かれる可能性はある。
 ちなみに、 "言語力" とは、
<●情報を整理する
 ●考えを組み立てる
 ●根拠を示して説明する>( ex.<「"言語力"が危ない~衰える 話す書く力~」/NHK『クローズアップ現代』NO.2822/2009.11.25>)
である、と平たく考えてみよう。

 ここで注目したいのは、これらの構成要素の背後にあるものなのだ。
 図式的に整理してしまうと、<●情報を整理する><●考えを組み立てる>という前二者は "個人としての思考力" を表しており、後二者の<●考えを組み立てる><●根拠を示して説明する>は、 "(人間)関係性" を照らし出しているかに思える。
 つまり "言語力" とは、「 "個人としての思考力" × "(人間)関係性" 」である、と見なしても間違いではなさそうである。
 もちろん、両者は別個にあり得るものではなく、まさに "不即不離" (二つのものが、つきもせず離れもしない関係を保つこと)の関係にあると思われる。
  "言語力" とは、 "流れるような口調" で "通り一遍" の "紋切り型" コミュニケーションを仕出かすことではなさそうな点に目を向けたい。そうすれば、 "個人としての思考力" の側面の重要さが自ずから見えてくる。
 かと言って、周囲の誰にも理解されないような "孤立" と "唯我独尊" の状態で "個人としての思考力" にしがみついたところで、 "言語力" どころか "思考力" さえもが "痩せ細り、根ぐされ" を起こすのも目に見えていよう。
  "言語力" に関してしばしば誤解されている事実は、人前で "通り一遍" の "紋切り型" の挨拶などが "流れるような口調" でできる人を、 "言語力" の達人(?)と受け止めてしまうことだ。 "紋切り型" 口調で "個人としての思考" を蔑ろにする人が、とても "言語力" に優れているとは見なせないからである。
 ならば、 "たどたどしく" も、自身の胸の内を不器用に手繰り寄せ、それを語ろうとする人の方がよっぽど "実のある言語力" の持ち主だと言えそうである。
 とかく表面的な "スキル" が偏重されがちな風潮の中では、問題意識としては好感が持てる "言語力" 衰退・低迷の問題が、低次元な議論へと雪崩れ込まないことを願うばかりである。

 現在の日本において "言語力" の水準が問題にされる場合、最近注目を集めているもうひとつのキーワード、 "無縁社会" という視点とセットで考えてみることが意味深いかと思われる。
 どういうことかと言えば、人間の "言語力" とは、その人が生きて生活する社会の "(人間)関係性" の質(豊かさ)に左右されているということである。
 子どもたちの貧困な "言語力" の原因が、親子での会話の貧困さにありそうだとされたのは極めて象徴的だと思える。そして、子どもたちのみならず、若い世代にあっても会話や相互交流という "(人間)関係性" がかなり惨めな状態であることは、多くの人たちが指摘するところだ。
 そして、こうした傾向は、世代問題に限定されることなく、あらゆる世代の日本人全体が大なり小なり実感できることのようにも思えるのである。
  "無縁社会" という異名をも授かってしまった、この日本の "寂しい社会" では、 "濃密な" いや "まともな" 水準の "(人間)関係性" が躍動している空間を探すことの方が大変なのではなかろうかとさえ思う。過剰な "市場主義" 的環境が、 "お金とは無縁な人々" や、 "お金とは無縁な(人間)関係性" を押し流そうとしているからか......。

 もちろん、前述した "紋切り型" 口調での "華やかな" 様相の "(人間)関係性" が弾んでいるところはいくらでもあろう。まさに、 "ネアカ" 的空間のことだ。
 そもそも、 "(人間)関係性" という根源的なテーマに、 "ネアカ" だ、 "ネクラ" だというおどけた視点でしか接近できなかった、自分も含めた日本人が甚だ能天気だったのかもしれない......。
 こうも "醒めた目" で考えざるを得ないのは、やはり、今、この国のどこを見ても "無縁社会" 的な気配が濃厚となっていそうだからなのである。これは、 "人間社会の破綻" と "人間自身の破綻" だとしか言いようがないのではなかろうか。
 増加の一途を辿るとされる "孤独死" という一局面だけが "無縁社会" という異名を呼び起こすわけではない。家庭、地域社会、学校、職場などどこに目を向けても、 "(人間)関係性" の網の目は頼りなくなっていて、さらにそこから外れて孤立する者たちが少なくなってはいない、そんな現実が横たわっている。
 こうした深刻な現実を見つめつつ、 "言語力" 向上について考えなければ、効果的な成果は望めないのではなかろうか...... (2010.02.12)












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