"バンクーバー五輪" がつつがなく終了し、TV放送も静かになった。
が、<白い思い出>を "無粋(ぶすい)" に融かすかのように騒いでおられる面々もいる。やはり、 "ちょっと違うんじゃないの!?" と横槍を入れてみたくもなる。いずれも、 "無粋" さの根底には "国粋(こくすい)" (その国家・国民に固有の、精神上・物質上の長所や美点)に執着するかのような心根が透けて見えるようだ。
ナチスに "利用" された時代のオリンピックイベントならいざ知らず、グローバリズム現代のオリンピックにあっては、 "国家" の影は "背景色" 位に落ち着いていいように思えるが......。
その一つが、 "ロシア" の動きだ。 "やっぱり、そう来るのか" なぁ、という思いであった。
<【モスクワ=星井麻紀】「バンクーバー冬季五輪の準備責任者は、今すぐ責任をとれ」――。ロシアのメドベージェフ大統領は1日、金メダル3個という記録的な不振に終わったロシアの五輪代表選手団に強い不満を表明した。
メドベージェフ氏は、与党「統一ロシア」の指導者との会合で「責任者は勇気を持って決断し辞表を書くべきだ。できないなら手助けする」と更迭も示唆。成績不振については、長くソ連時代の遺産にあぐらをかいてきたせいだとし、「抜本的な訓練体制の変革が必要だ。責任者は億万長者のような役人ではだめだ」と汚職のうわさが絶えないスポーツ当局者を非難した。
バンクーバー五輪でロシアの金メダル獲得数は11位で過去最低だった。 >( 朝日新聞 「五輪不振でロシア大統領激怒『責任者は辞表書くべき』」 )
この記事には、以下のような "P.S." (追伸)報道までくっ付いて来たので、さらに "無粋" さが極まれり、というところか......。
<【モスクワ=星井麻紀】バンクーバー冬季五輪でのロシアの成績不振で、更迭も取りざたされるロシアのムトコ・スポーツ観光青年相は2日、「私のせいだというなら、おとなしく辞任する。だが、それで勝てるようになるのか」と、強気の構えを見せた。
バンクーバーから帰国したムトコ氏は、モスクワの空港で記者団に「五輪の結果は失敗ではなく客観的事実だ。具体的に誰のせいということはない」と自らの責任を否定。ロシア勢が盛り返すには6~8年かかるとし、自身が手がける2020年までの選手強化プログラムを継続するべきだと主張した。
ロシアは金メダルの国別獲得順位で11位に終わり、メドベージェフ大統領は1日、関係者の辞任を求めていた。 >( 朝日新聞 「『辞めたら勝てる?』五輪不振のロシアスポーツ相逆ギレ」 )
<白い思い出>を融かしたり、汚したりする、そんな "無粋" さは、 "他国の話" だけかと思いきや、何と何と、国内にもそうした方がおられた。
<......▼「銅を取って狂喜する、こんな馬鹿な国はないよ」。東京都知事の石原慎太郎さんは、ご本人言うところの惨敗にあきれ、「国家の心意気」を求める。「国家という重いものを背負わない人間が、いい成績を出せるわけがない」と......>( 朝日新聞 「天声人語」2010年3月3日(水)付 )
自分なんぞは、思わず、これは "都庁" の "都知事" によるご発言というよりも、どこにでもいそうな "横丁" の時代錯誤気味の "じじ(爺)" による、いつもの "大言壮語" かと受けとめてしまったものだ。
<国家という重いものを背負う>、それもこの際良しとしよう。ただ、<だが、それで勝てるようになるのか>と皮肉を込めて言い添えておくべきであろう......。
<......▼ロシア代表としてフィギュアのペアに出た川口悠子さんは、日本国籍を捨ててまで夢を追った。「日本のためとか、ロシアのためではなく、自分が好きだから滑っています」と話すのをテレビで見て、爽快(そうかい)だった......>(同上「天声人語」)
これが、世界中のオリンピック観戦者たちに、清々しい<白い思い出>を刻んでくれたオリンピック・アスリートたちの "柔軟な心意気" じゃないのかなぁ...... (2010.03.03)
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