「iTunes U」のビジョンは"閉鎖的情報化社会"のこの国にとって"黒船襲来"か? ......

| | コメント(0) | トラックバック(0)

 昨日は、アップルが "iTunes Store" に開設した「iTunes U」によって、"The Open University"/"開かれた大学" が実現されていることを書いた。
 "電子書籍" は個人的なエンターテイメントであっても一向に差し支えないだろう。だが、"電子書籍" という存在の本質を気に掛ける時、"The Open University" のイメージこそが、"電子書籍" の重要な姿を照らし出していると思えたのであった。
 自分自身もそうであるが、われわれはとかくIT関連などの新しいテーマに "商機" を見出そうとするものだ。有り体に言えば "稼ぎのネタ" として熱い眼差しを向けてしまうということ......。それもまた差し支えないことだろうと言うべきかもしれない。
 ただ、そうであっても、"電子書籍" という存在の本質を見間違うならば、"稼げる" どころか徒労に終わりかねないだろう。どんな場合でも、事の本質を探っておいて間違いはなさそうである。

 "モノ" と "情報" との大きな差異は、"モノ" を消費する場合には、"モノ" 自体が排他的に占有されたり、その挙句に消滅したりするのに対して、"情報" の消費(閲覧や読書をはじめとして様々な利活用)においては、"情報" 自体が消滅することにはならない。当然のことである。
 ただ、排他的に占有されることは大いにあり得る。それは、所有や市場の原理で動いている経済社会にあっては当たり前なことなのかもしれないが......。
 しかし、"情報" 自体の価値は、排他的に占有されてクローズ状態にある場合と、オープンに公開されて広く受け容れられる場合とでは、どちらが増殖的(増大しやすい)なのであろうか。
 今、頭の中にあるのは、"オープン・ソース" の OS であるあの "Linux" のことだ。一時はマイナーなイメージもあった "Linux" だが、"オープン・ソース" であったがゆえに、世界中の叡智を吸引することとなり、計り知れない価値増殖を遂げたわけだ。今、流行りの "Android" が、"Linux" で構成されていることを知る人も少なくないはずである。

 ところで、"電子書籍" は、"モノ" としての "紙の書籍" と比べると、"情報" として "昇華" された度合いが高い製品であろう。"紙の書籍" は "モノ" であるがゆえに "消滅" もするし、製本・配本その他、コストの塊(かたまり)であるところから、相応の(高額の)価格が読者に迫ることは周知の事実だ。特に、"読書時代" の最中である学生たちにとっては辛いであろう。(金欠の大人たちも辛いが......)
 しかし、"電子書籍" に "消滅" はない。しかも、紙・インクなどの "モノ" のコストから無縁であるがゆえに、限りなくロー・コストである。"電子書籍" 制作者側の知的労力再生産コストは別だとしても。
 したがって、他の "情報" と同様に、"部数" に関係なく、多人数によって消費(利活用)されたとしても何ら差し支えないプロダクツのはずなのである。だから、"理想的な可能性" としては、"望む者であれば誰でもが無償で享受できる" そんな製品形態だと言えようか。そうであれば、"電子書籍" はブームとして滅びるはずもなく、近未来のごく一般的な情報メディアとして "安定定着" する他ないはずなのである。
 まさに "情報" 化時代特有の立役者で重要キャラクターのはずなのだ。

 しかし、世知辛い現実はこれとは雲泥の差であることは言うまでもない。何を寝言を言っているのかと迫られかねないし、それじゃ、経済回転はどうするの? としたり顔の人々から噛みつかれそうだ。まるで、"脱原発" を選択したら経済回転はどうするの? と噛みつかれるように......。
 問題は、何を見るのか、どこを見るのか、の差であろう。さらに言えば、何が何を "包摂" してしまうのかを見抜くことであろう。"福島第一原発大災害" という事態やその可能性は、確実に経済議論や人間的生活を "包摂"(呑み込む!)してしまうに違いない。
 それなのに、良好な経済回転が不穏な自然災害可能性をも "包摂"(制御)可能だと言わぬばかりのムチャクチャな言い草はなかろう。
 単に、現状追認、現状維持をすることが既得権を失わずに済むと言いたいだけのことなのだろうと思うが......。

 いや、脱線気味であった。ただ、"電子書籍" をめぐる現状も "五十歩百歩" の "ダークネス"(非・聡明!)なのではなかろうか......。
 大胆に言うならば、近未来に、個々人にも社会全体にも、情報化時代の多大な恩恵(この中には経済的な潜在力=人材パワーの飛躍的向上も含まれる)を確実にもたらす可能性を、既得権にしがみつく諸勢力が眠らせてしまっているのではないか、という懸念がある。
 "電子書籍" とその環境の急浮上は、久しく "黒船襲来" に譬えられてきた。既得権の塊(かたまり)でしかない現行出版業界にとっては、時の幕府政権が見たように、確かにそう見えるのかもしれない。
 しかし、"黒船" 来航がなければ、未来を封じ込める "鎖国政策" がどこまで引き延ばされたか分からないことを想定するならば、一史実として客観視しても良かろう。
 それはそうとして、自分には、アップルが "iTunes Store" で「iTunes U」を開設し、"The Open University"/"開かれた大学" の構想に形を与えたことの方が、"黒船襲来" 的インパクトだと思えるのだ。
 それが言いたいために、今日は、縷々 "真夏の夢" めいたことを書いてきたわけだが、やはり、この国の "電子書籍" の動向にとって持つ、この「iTunes U」のイメージ/ビジョンは決して小さなイベントではないように思われてならない。
 これぞ、"閉鎖的情報化社会" のこの国にとっての "黒船襲来" なのかもしれない...... (2011.07.15)













【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 「iTunes U」のビジョンは"閉鎖的情報化社会"のこの国にとって"黒船襲来"か? ......

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://adhocrat.net/mt/mt-tb.cgi/1582

コメントする

2020年11月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          














関連サイトへのリンク


  • 電子書籍(eBooks)制作にフォーカスしたサイト
  • 明けない夜はないことを確信するサイト
  • Green(地球環境改善)にフォーカスしたサイト
  • ソフトウェア技術者やSEのための評価と育成、人事考課制度を考えるサイト
  • さまざまな業種・業態でご利用可能なモバイル活用の予約システム!
  • 創作小説『海念と保兵衛』のサイト
  • 創作小説『かもめたちの行方』のサイト
  • 当ブログ推奨の商品を展示したAmazon ストアー!
  • 当AdhocBlogブログの過去のエントリー
  • 株式会社アドホクラット当時のサイト

★売れ筋! No.1!
家庭用"放射線測定器"

日本通信 bモバイルWiFi ルータ+1 ヶ月定額SIM BM-U300W-1M
価格:¥ 20,208
国内配送料無料 Amazon





このブログ記事について

このページは、yasuo hiroseが2011年7月15日 00:01に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は、
 「"ハーバード白熱教室"videoを"iTunes U(iTunes Store)"から無料でダウンロード! ......
です。

次のブログ記事は、
 「"あるべき姿の電子書籍"への鍵!"独自アプリビューワ"の解消!/"SNS"との融合! ......
です。

最近のコンテンツは、
 インデックスページ
で見られます。

過去に書かれたものは、
 アーカイブのページ
で見られます。

年月別アーカイブ

最近のトラックバック