昨今の "迷惑メール"、"売込みメール" の粗雑さ、粗悪さには閉口する。
今に始まったことでもないが、"みんなで渡れば怖くない" 風に他でもやっているからとでも言うのだろうか。もっと、まともな "想像力" と多少なりとも "美意識" を持ちなさい、と言いたい。
ほかにコスト安な営業ツールが許されていない名もない個人事業者ならまだしも、世間に名も通ったそこそこの規模の企業がこんなことをやっていると、マーケティングの "いろは" も心得ないお粗末極まりない会社かと侮蔑したくもなる。
多分、そんな企業は、経営責任者がIT事情に疎いのに加えて、現在の消費者の感性がまるで了解できないという、経営者にとっての致命的な能力不足が災いしているのではなかろうか。
そんな事をも覗わせるだけに、「おとといおいで」とばかりに即座に "削除" 処理をしてしまうのが自分の流儀となる。
しかし、"この作法" がこの国の低レベルな企業体質水準を象徴していると言うべきなのかもしれない。"買ってもらえるには" というベクトルでものを考えるのではなく、"買わせる! 売り込む!" という荒っぽい商法を未だに信じて疑わないそのアナクロニズムが不快感を誘う。
TVコマーシャルの場合は、視聴者に情報を "流し込む" ことも不可能ではなかったかもしれない。下品な術ではあるが。
しかし、受け手による取捨選択がなされるメールでは、"横恋慕" の "売込みメール" は消費者の機嫌を損ない、企業イメージを貶めるだけで期待効果はほとんどないのが実情だそうだ。
これは、たとえコスト安であっても、"営業活動" をしているという無意味な錯覚(営業活動アリバイ作り?)を組織内に醸し出し、効果のある販促活動を怠けさせる点を想定すると、むしろ、経営にとって大きなマイナスだと言った方が良さそうではないか。
思うに、これは決して "営業現場" がどうこうというレベルの問題ではなかろう。経営を司る経営者の問題以外ではない。
一昔前ならば、まるでヤクザのセリフよろしく、「イヤー、うちの営業が気が利きませんで......」という言い草も通ったかもしれない。しかし、今どきは、手下の犯罪行為が組織責任者に遡及されるご時世なのである。
だから、経営者は、管理責任の軽重もさることながら、経営全体に関して "自身の身体の一部" という認識と感覚で注意力を働かせなければならない......。そうでなければこの湿った経済環境のただ中で、企業は立ち行かないはずである。
ゴルフの腕向上のために "打ちっ放し" をするのは定番かもしれないが、"売込みメール" の "打ちっ放し" というのはいただけない。コンサルタントの、どこのバカが無責任に推奨しているのかは知らないが、"売込みメール" の成功確率をもっと客観的に測定してみてはどうだろうか。そうすれば資源のムダ使いも抑制されるだろうし...... (2011.08.04)
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