"Amazon サイト" に馴れ親しんだ者であれば、ふんだんに用意された商品情報に満足するだけでなく、このサイトの "居心地良さ" を感じているのではなかろうか。
その "居心地良さ" を構成しているのは、① 自分と同じ消費者の声( "カスタマーレビュー"、"おすすめ度" )や、② 単なる "マス向け情報" ではなく、カスタマー各個人に向けた "パーソナル" な個別情報( "おすすめ商品"、"ほしい物リスト" )を掲載している点であるのかもしれない。
これらは、商品に関する一大 "ソーシャルメディア" そのものなのであり、"ソーシャルメディア" の一方での典型だと言えよう。
ただ、Facebook のような "パーソナル間(プロファイル間)での交流" が棚上げされている点だけが "ソーシャルさ" に欠ける側面なのかもしれない。
ところで、今回レビューする下記記事は、"新種" の "ソーシャルメディア"、"ソーシャル戦略" かと思われる。が、何と、このシステムの "仕掛け人" は、"元Amazon社員" だというから、思わずナルホドとガッテンさせられた。
"ソーシャルメディア" として進化していると思われる点は、① <顧客はマス向けの情報ではなく、よく利用する店限定の情報を入手できるようになる>という「ハイパーローカル」な方法、そして、②<いずれは各個人に向けて、より高レベルのパーソナライズ・サービスを提供>という点などであるに違いない。
特に、① の点は、<ウェブをストアに持ってくること>という観点に眼を開かせるものであり、"ソーシャルメディア" の "ローカル活用" という方途を切り開こうとしている点が注目に値する。
"ローカル" 地平から "グローバル" 地平へと駆け上るのが通例の "ソーシャルメディア" としては、再び "ローカル化" するというのもヘンな話ではあるが、"マス向け情報" に終始してきた "マスメディア型" サイトの "ソーシャルメディア" 化! だと見れば了解できる......。
―――― <ウォルマートがFacebookと組み、約3500店舗分のFacebookページを作成。より高度なパーソナライズ化が可能に...
日本だとコンビニ等に真似して欲しい! 米小売大手のウォルマートが全店舗分、3500件以上のFacebookページを作成した。顧客はマス向けの情報ではなく、よく利用する店限定の情報を入手できるようになる。「ハイパーローカル」と呼ばれる分野に新たな風を巻き起こしたその画期的な方法を徹底解説!
米小売大手チェーン・ウォルマートはFacebookとパートナーシップを組み、全米約3500店舗それぞれのFacebookページを作成しました。全店舗のFacebookページは「My Local Walmart」というFacebookアプリによって統合されています。948万人以上の「いいね!」数を誇るウォルマート本体のFacebookページを含めた全てのFacebookページにそのアプリが組み込まれています。ジップコード(郵便番号)を入力すると、周囲のウォルマートのFacebookページを検索でき、「いいね!」することでそれらの店舗のお得情報や店内イベント情報が見れるようになります。ニュースフィードにも週に2回程度、それらの情報が配信されるようです。
郵便番号レベルのローカルな情報を扱う「ハイパーローカル」のサービスを世界最大の小売チェーンが立ち上げたということに、実際にサービスを利用できるアメリカ国内だけでなく世界中が注目しています。
■ ソーシャル戦略を担う2人の実力者
ウォルマートは今年の3月からソーシャル分野の強化に向けて大きく乗り出しました。Kosmixという会社を買収し、元Amazon社員の創業者2人がリードする新しいソーシャル研究組織@WalmartLabsを立ち上げました。Kosmixはソーシャルメディア上でシェアされる様々な情報をキャッチする「ソーシャル・ゲノム」というプラットフォームを作っていて、それがWalmartに評価されたようです。Kosmixの前には彼らはJungleeという比較ショッピングサイトを立ち上げて1998年にAmazonに売却しています。その後、彼らはCEOのジェフ・ベソスのもとでAmazonの小売プラットフォームへの進化に貢献しました。
その一人であるアナンド・ラヤラマン(Anand Rajaraman)氏は先日出演したAd Ageのカンファレンスにて「前時代はストアをウェブに持ってくることでしたが、次の世代の大きなテーマの1つはウェブをストアに持ってくることだと思います。」と述べています。その第一段階としてMy Local Walmartを位置づけ、まずは各店とそこで買い物をする人々をFacebook上で繋げることから始めるようです。商品に対するユーザーの反応を分析することで店の周囲に住んでいる顧客の嗜好も把握できるようになります。特にアメリカ程広い国であれば、南の店と北の店では、同じ時期でも売れる商品が大きく異なるはずです。My Local Walmartによって南の店では日焼け止めを、北の店ではスノーブーツをより効果的に売ることができるようになります。
■ 今後はより高度なパーソナライズ化へ!
いずれは各個人に向けて、より高レベルのパーソナライズ・サービスを提供することができるようになるでしょう。ウォルマートは既に安いことで有名なので、クーポンサービスを提供するとは考え難いですが、Facebookで「いいね!」したものなどをもとに、その人が興味を持ちそうな商品を勧めるような形になるかと思われます。
「ウェブをストアに持ってくる」という点については、NFCなどのモバイルテクノロジーとの連携にも期待できます。また、ウォルマートは先日OneRiotというリアルタイムモバイル広告の事業を持つ会社も買収しているので、将来的には店舗の中でリアルタイムにモバイル端末へオススメ商品を提示する等のサービスも視野に入れているのかもしれません。いずれにしても今後のウォルマートの動向には様々な観点から注目が集まりそうです。
INFOBAHN>( ウォルマートがFacebookと組み、約3500店舗分のFacebookページを作成。より高度なパーソナライズ化が可能に... /WIRED JAPANESE EDITION - BUSINESS/2011.10.15 )
Social Media Account Planners
丸山裕貴
"マスメディア型" サイトの "ソーシャルメディア" 化!という観点からの課題は、きっと多くの(大)企業にとっての潜在的な重要課題なのかもしれない。
昨今の経済状況は、地を這うような "どぶ板" 的経営(?)を強いている観なきにしもあらずだとすれば、"ローカル" な市場を疎かにはできないはず。"POS" のデータ以上に "顧客の生の声" は雄弁であるに決まっている...... (2011.10.18)
―― P.S. 【 "ウォール街デモ" 関連最新ニュース 】
◆参照 < 反格差デモ:ローマ暴動被害額は1億円超/毎日jp/2011.10.17 >
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