Socialメディアの矛盾:<"絆"というキーワードが,危険な意味を含んでいるワケ> ......

| | コメント(0) | トラックバック(0)

 "ソーシャルメディア" の "利用実態" が、もっと広い視野と洞察力をもって調査されるべきなのだろうな、とつくづく思う。
 人々の注目を独占しているかのような風潮がありながら、今一つ、実際はどのように利用され、どんな点に矛盾や問題点が潜んでいるのかが分からない。
 "マーケティング" と "マネタイズ" の視点に基づくアンケート調査結果などを散見するが、とてもそれらが現時点での" ソーシャルメディア" の利用実態を代表するものだとは受けとめにくい。

 たとえば、"利用実態" を問題とするならば、当然のことながら、"利用しているユーザー" とともに、"利用していない人々" という "部外者" の動向をも併せて視野に入れて調査分析の対象とされなければ全体像を掴んだことにはならないはずであろう。
 "利用していない人々" の中には、"喰わず嫌い" ばかりではなく、何らかの理由をもって "拒絶" している人もいないとは限らないのではなかろうか。現状の "ソーシャルメディア" の水準をもってすれば、"拒絶" されても致し方ない実態に留まっていないとは言い切れないような気もする......。
 しかし、そうした "部外者" の存在を視野に入れた調査にお目にかかったことはない。専ら、"内向き" のユーザーたちの主観的思いなどだけが照らされているかのようだ。

 もともと "ソーシャルメディア" は "セミ・クローズド" な空間特性を持っていて、それだからこそ果たす特殊な役割もあるはずだろう。決して "閉鎖性" に傾くから悪いというものでもなかろう。もっとも、"蛸壺化" の危険に気づかずに運用されているケースも少なくなさそうではあるが......。
 いずれにしても、"ソーシャルメディア" は人と人との "つながり" を担うものだとすれば、"つながり" という言葉を "絆" と言い換えても問題なさそうである。
 したがって、"ソーシャルメディア" とは、"閉鎖性" に傾きがちな、人と人との "絆" だと言ってもあながち間違いではないと思われる。

 さて今回、下記引用のサイト記事を取り上げた理由は、"ソーシャルメディア" に関する以上のような問題意識があってのことなのである。
 今年は、不幸な "大震災" という経緯から、われわれは人と人との "絆" というものを考えさせられた年であったことは疑いないところだ。
 ただ、日頃、"ズタズタに切断された人間関係""排除型社会"!)のただ中での生活を強いられているわれわれが、いざ、人と人との "絆" へと目を向けた時、そこに浮かび上がってくるのは、身近な "家族" であり "地域" や "仲間" 、要するに "身内!" ということになりがちであろう。それはそれで尊いことではあるに違いない。

 だが、"絆" という言葉が掛け声となる状況というのは、"絆" と支援とを "緊急に必要としている人々" が想定されている点が重要であろう。
 ところが、<「絆」が必要な人というのは、どうしても流動的で、不利な状況に置かれがち。つまり、人とのつながりがつくれない状況になってしまう。>(下記引用記事)というのが現実であり、事実上 "排除" されているかのごとくではなかろうか。
 そして、<そのときに「絆を取り戻しましょう」と言うと、もっとも流動的で不利な人々を「見えない」状態にして、内輪で仲良くできる人たちが地域の担い手として可視化されてしまうわけです。
 そうした状態は「絆 格差社会」とも言えるのではないでしょうか。本当に助けが必要な人たちを、シャットアウトしなければ生まれない絆。
>(下記引用記事)でいいのだろうか、という疑問も湧いてこよう。
 そこで、<そうした状況を変えていこうとすれば「できる限り仲のいい人たちとつながりましょう」ではなくて、「知らない人だけど困っている人がいれば声をかけましょう」でなければいけない。>(下記引用記事)という呼び掛けがなされることになる。
 たぶん、こうした呼び掛けは概ね賛同が得られるところではなかろうか。

 ところで、ふと振り返ってみると、人と人との "つながり" 方において、<「できる限り仲のいい人たちとつながりましょう」>というのは、"ソーシャルメディア" の基本姿勢ではなかったかと思い当たるのである。
 <もっとも流動的で不利な人々を「見えない」状態にして>( "圏外"!)までそうしているかどうか、それは別にしてもである......。
 日頃、"ズタズタに切断された人間関係" のただ中での生活を強いられているわれわれが、人と人との "つながり" を切望することは、きっと十分に許されることであろうとは思う。
 だが、その選択が、決して<もっとも流動的で不利な人々>を、"つながり" の "圏外"!に追いやっていない、"排除" していないと言い切れるほどに "ソーシャルメディア" は成熟しているのだろうか......。

「絆」というキーワードが、危険な意味を含んでいるワケ
2011年の世相を表す漢字として「絆」が選ばれた。大震災を経験し、日本社会は「家族が大事」「地域が大事」といったムードが漂っているが、そこに危険は潜んでいないのか。ジャーナリストの津田大介氏と社会学者の鈴木謙介氏が語り合った。

 ......

「身内で支え合おう」という考え方

鈴木:僕は「政治家には期待できない」とは思っていません。「政治に何を期待するのか」ではなく「政治にできること」という意識に変化すれば、やろうと思ってもさまざまな壁に突き当たって動けないでいる若手がかなりのことをできる余地があると思っています。

 ただそうした部分を差し引いても、今後、社会を支える人間関係が変化して、政治の役割を補完していくのだろうと思います。特に僕は、人と人とのつながりが"活性化"していくと見ています。

 なぜかというと、日本社会というのはかつてムラ社会だった。ムラ社会から近代社会になったときに、人とのつながりがどう変わったかというと「経済」を中心とするものに変わった。今の私たちの生活は「ほしいモノがあれば、お金を支払って購入する」という前提で成り立っています。どこにいてもお金さえあれば、ほしいモノを手に入れることができるシステムを作ってきました。

 お金でつながる仕組みは、自分たちだけでは手に入れられないものを届けてもらったり、入手したりするのにとても便利な手段です。ところがいま多くの国では、このお金でつながる仕組み、つまり資本主義が槍玉に挙がっています。なぜなら「お金がない人をどうすればいいのか」という問題が見られるようになってきたから。資本主義というのはお金が必要なのに、お金がない状況に陥る人が増えてしまったんですね。

 こうした状況に対し、特に現在の日本では「家族が大事」「地域が大事」といったことが言われています。が、その内実は「とにかく身内で支え合おう」というもの。僕はこの考え方、日本では非常にまずい方向に作用すると思っています

津田:それはなぜですか?

鈴木:『SQ "かかわり"の知能指数』の本を書こうと思ったのは、昨年の夏大阪で児童2人がマンションに閉じ込められて亡くなってしまうという事件が起きたことがきっかけです。お母さんはキャバクラで働いていましたが、そのマンションには知り合いがいなかった。正確に言うと、知り合いがいない状況に置かれていた。なぜかというと、同じキャバクラで働いている人と同じマンションに住んでいると、一緒に辞められる可能性が高いから。だからキャバクラを経営している会社は、女性たちを同じマンションで住ませることはしない。

 「絆」が必要な人というのは、どうしても流動的で、不利な状況に置かれがち。つまり、人とのつながりがつくれない状況になってしまうそのときに「絆を取り戻しましょう」と言うと、もっとも流動的で不利な人々を「見えない」状態にして、内輪で仲良くできる人たちが地域の担い手として可視化されてしまうわけです。

 そうした状態は「絆格差社会」とも言えるのではないでしょうか。本当に助けが必要な人たちを、シャットアウトしなければ生まれない絆。そうした状況を変えていこうとすれば「できる限り仲のいい人たちとつながりましょう」ではなくて、「知らない人だけど困っている人がいれば声をかけましょう」でなければいけない。>連載 津田大介×鈴木謙介、3.11後のメディアと若者(6):「絆」というキーワードが、危険な意味を含んでいるワケ/Business Media 誠/2011.12.21

 "絆" という言葉が今年のキーワードとなる現実は了解できる。だが、これが淡い期待や"欺瞞"に終わらないためには何かが必要。"排除型社会" へと突き進んでいる現行社会が孕む矛盾や問題点の見直し、是正がなければ虚しい掛け声に終わる......。
 期待が寄せられる "ソーシャルメディア" 自体も、"排除型社会" の片棒を担ぐようなことにはしたくないものだ...... (2011.12.22)













【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: Socialメディアの矛盾:<"絆"というキーワードが,危険な意味を含んでいるワケ> ......

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://adhocrat.net/mt/mt-tb.cgi/1765

コメントする

2020年11月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          














関連サイトへのリンク


  • 電子書籍(eBooks)制作にフォーカスしたサイト
  • 明けない夜はないことを確信するサイト
  • Green(地球環境改善)にフォーカスしたサイト
  • ソフトウェア技術者やSEのための評価と育成、人事考課制度を考えるサイト
  • さまざまな業種・業態でご利用可能なモバイル活用の予約システム!
  • 創作小説『海念と保兵衛』のサイト
  • 創作小説『かもめたちの行方』のサイト
  • 当ブログ推奨の商品を展示したAmazon ストアー!
  • 当AdhocBlogブログの過去のエントリー
  • 株式会社アドホクラット当時のサイト

★売れ筋! No.1!
家庭用"放射線測定器"

日本通信 bモバイルWiFi ルータ+1 ヶ月定額SIM BM-U300W-1M
価格:¥ 20,208
国内配送料無料 Amazon





このブログ記事について

このページは、yasuo hiroseが2011年12月22日 00:01に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は、
 「<読みやすさと理解は相反?>(WIRED)/電子書籍と"上滑り(?)"読書との相関性?! ......
です。

次のブログ記事は、
 「iPadに直接つなげる、60ドルの7メガピクセルカメラ/これはイケそうなグッズ! ......
です。

最近のコンテンツは、
 インデックスページ
で見られます。

過去に書かれたものは、
 アーカイブのページ
で見られます。

年月別アーカイブ

最近のトラックバック