"足し算処世術(=思考停止)"の"あれもこれも"から,"あれかこれか"の"選択思考"へ ......

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 今、民主党政権は混迷の度を深め、いよいよ "舵取り" を危うくしている。いろいろな "反省材料" が指摘されているが、この "特殊な" 現代にありながら、旧態依然の "足し算" 処世術を続けようとした点にこそ注意を向けるべきなのかもしれない。
 かつて、大前研一氏は、2010年度予算の概算要求総額が95兆380億円の空前絶後の巨費となった時、<自民党のやったことと民主党がやりたいことを合わせるという「足し算の政策」で進めるからこういうことになる。これでは国民が自民党を否定し、民主党を選んだ意味がない。>、<新政権を取った民主党は行政の無駄をなくします、と言いながら、当面はマニフェスト優先で「足し算」状態が続くのであろう。>とし、<「足し算の民主党」では経済は立ち直らない>と警告していた。( 「足し算の民主党」では経済は立ち直らない/nikkei BP net - 大前研一の「産業突然死」時代の人生論/2009.10.27

 "青天井" 的経済成長が見込まれていた時代には、とにかくすべてが "足し算" で賄えたかもしれない。"あれかこれか" の選択で思い煩うまでもなく、ただすべてを是認しさえすれば良かったからだ。そのあり様は "寛容" なぞでは決してなく、むしろ "放任" であり "思考停止" と言った方が当たっていただろう。"いいんじゃない" と言いつつ、なくて済むわけがないはずの "評価行為" をただただ "先送り" することになった。
 しかし、経済成長の鈍化と停滞、しかも、"長期人口減少" 傾向という致命的とさえ言える社会基盤の変化を迎えた今、すべての現象に "有限性" という色彩が浮かび上がり、表面化する、そんな局面が立ちはだかっている。"引き算" なしでの "足し算" はとても不可能となり、そこに避けるわけには行かなくなった "選択" が立ち現れ、そのために緊張した "評価行為 = 検討" や "思考" が避けて通れなくなったわけだ。

 こうした単純な "足し算" 処世術の破綻は、確かに財政や経済のジャンルで突出しているとはいうものの、それは一つの分かりやすい事実でしか過ぎず、こうした破綻は、"有限性" という哲理に条件づけられたすべての現象に共通していると反芻した方が良さそうである。
 仮に、財政や経済のジャンルの破綻がクリアされるとしても、地球環境自体の "有限性" という "二番底" が待ち受けていることは今や誰でもが知るところとなっている。
 いや、そんなスーパーマクロな話を引き合いにだすまでもなく、もっと身近な話では、われわれ人間個々人の命が、そして "持ち時間" が "有限性" そのものである点、それを見つめないわけには行かないはずだからだ。
 だが、そんな当たり前の事実は、歴史の過去においてはまさに "自明の理" であったに違いない。むしろ、この事実に今さらのように目を見張ることになっている現代こそが "例外" なのだと見なした方が妥当なのかもしれない。

 "期間限定" 的な経済成長は、無限とも錯覚させるに足る "パイの増大" 過程を踏み固め、その結果、"有限性" という哲理を "しばし棚上げにした" かに見える。
 要するに、現代史における "ほんの数十年の経済成長時期" だけが、"足し算" 処世術 に "期間限定" 的な有効感を与えていたに過ぎないと考え直すべきなのだろう。
 ところで、"足し算" 処世術 とはあくまでも "処世術" なのであって、思考によって練られた方策では決してない。むしろ、"あれもこれも" を見境なく是認・追認する "惰性"、いわば "思考停止" 状態なのだと言った方が当たっていそうだ。
 "価値" とは "犠牲" にしたものとのバーター(引き換え)関係で生じる、と言われることがある。"あれもこれも" の姿勢に馴染み過ぎたわれわれにとっては、"犠牲" を避けるというハッピーを望みがちだが、おそらくそこにこそ "有限性" への覚悟(?)に疎いわれわれが照らし出されているのだと思われる。
 "あれかこれか" の選択(それは、厳粛な "引き算" でもある!)、そのために苦渋の思考・思索を重ねることでのみ、"価値" が生まれるという点を含意していそうだ。

 "あれもこれも" の姿勢から、"あれかこれか" の姿勢へとチェンジする意思決定こそが、現代における最大で最高の、そして最後のサバイバル方策であるに違いない。
 とかく、"あれかこれか" の選択を回避し、躊躇し続けるのがわれわれだと思われる。しかし、われわれを取り囲む "有限性" の世界は、"督促状" を送付するような催促こそしないが、ただただ "粛々と可能性を閉じて行く" だけであり、タイムアウトの鐘を打つべく、槌を手にして静かに待機しているだけだ...... (2012.01.05)













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