"Socialメディア"には「ソーシャル・キャピタル(Social Capital)」的な観点も! ......

| | コメント(0) | トラックバック(0)

 "東日本大震災" の際に、"ソーシャルメディア" がさまざまな社会貢献をしたことは広く語り継がれている。
 本来、人と人との "つながり" を "自主的" に 構築してゆく "ソーシャルメディア" には、そうした "潜在的パワー" が内在していると思われる。
 そして、今、時代環境は、とても "手放し" ではいられない未曾有の "苦境・苦難" に遭遇している。誰かれに関わりなく、誰にとっても同じである。
 そんな場合、四の五のと言っては言られまい。"自力救済と人助け" という "問題解決型スタンス" に立つことが大なり小なり望まれそうだ。"ソーシャルメディア" も、そうしたアプローチが活性化されてもいいのではなかろうか。

 そんなふうに思い直す時、自然に視野に入って来るのが「ソーシャル・キャピタル(Social Capital)」という観点である。
 "キャピタル" というと "資本" となり、"経済的な、強欲な(?)" イメージを思い起こさせるが、実はそうではなく、「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会組織の特徴であり、共通の目的に向かって協調行動を導くものとされる。いわば、信頼に裏打ちされた社会的な繋がりあるいは豊かな人間関係(【 引用記事 3 】より)のことなのである。
 なぜ、"キャピタル" と称されるのかと言うと人と人のネットワークが社会システムを補完し効率を高めるなど経済的な効用があるため(【 引用記事 1 】より)だからだという。

 この間、いわゆる "ソーシャルメディア" について自分なりにアプローチしてきたつもりだが、ざっくりと言って、"どこか焦点がボケている" という印象が拭い切れないできた。
 多様なアプローチ、利用形態があるため致し方ないと言えばそうであろう。まあ、利用者個々人がそれぞれの思いで活用するのが "ソーシャルメディア" であってみれば、全体として捉えどころがないとしても不思議ではないわけである。ただ、こんな状態をいつまで引き摺るのかという不満めいた思いも打ち消し難い......。
 となれば、利用者一個人として思い描く "ソーシャルメディア" の一つのカタチを自分なりに追及すること、それは当然あってよいと思えてくる。

 "ソーシャルメディア" はどうあるべきか、ではなく、どうあったとしてもそれはそれで良いはずだという、いわば "フラットな視点" で向き直った時、人と人との "つながり" というものが "結節点" となって、「ソーシャル・キャピタル(Social Capital)」という言葉(概念)がにわかに視野に飛び込んで来るのである。
 「ソーシャル・キャピタル(Social Capital)」という言葉(概念)も、決して成熟した言葉とは言えない。だが、"ソーシャルメディア" が行動軸としている人と人との "つながり" という内実の避け難い "ボヤケ" に比べると、妙な表現だが "ソリッド性" が高いと思われる。
 少なくとも、この言葉の "ソーシャル" という部分には "遠心力!" が内蔵され、装着されているように感じる。"ソーシャル" の外延を広げていくという "遠心力!" だ。おそらくこの "遠心力!" が、"ソーシャルメディア" の "ボヤケ" とは異なった "ダイナミズム" を生み出し、"ベクトル" を作り出しているかのような気がする。

 あくまでも "自生的" な人と人との "つながり" 形成を目指す "ソーシャルメディア" は、これはこれで貴重なメディア空間であるに違いない。
 しかし、"ソーシャルメディア" が "退屈さ" や "自家中毒" に陥らないためにも、「ソーシャル・キャピタル(Social Capital)」的な観点からの相応の刺激を受けることは重要なことではないかと思われる。この観点が、いわば "社会政策立案" 的な色彩を持つとしても、それは念頭に置いておけば済むことであろう。

【 引用記事 1 】

< 3つのソーシャル〈メディア、マインド、キャピタル〉 東日本大震災で見えてきたもの
......
ソーシャルキャピタルの確かさ
 ...... ソーシャルキャピタルとは、「社会における信頼、規律、ネットワークといった社会組織」、「人と人とのつながり」、「絆(きずな)」といつたソフトな社会資本のことである。ソーシャルキャピタルは、本来、目に見えないものであるが、震災を通じて日本のソーシャルキャピタルの確かさが浮かび上がってきた。たとえば、スーパーの棚が崩れても、略奪や持ち逃げはおきない。逆に、客が棚に商品を戻している。帰宅困難時には、靴屋さんが歩きやすい靴を無料で提供、あちこちで、「トイレあります」という表示がみられた。交通網混乱時にも、駅やタクシー乗り場では整然とした行列ができた。また、海外のメディアでも「災害時に示される日本人の冷静さと規律正しさ、助け会いの心を、日本が誇るべきソーシャルキャピタルだ」と伝えている。

 キャピタルという所以は、人と人のネットワークが社会システムを補完し効率を高めるなど経済的な効用があるためで、企業・経済活動のうえでも重要な役割を果たしている。シリコンバレーは、多くのハイテクベンチャー企業を輩出した地であるが、ここでは、大学や企業の枠を超えた研究者や起業家のネットワークがあることが知られている。また、京都は古い文化都市でありながら、世界的なハイテク企業を数多く輩出している。これは「京都には大学型ソーシャルキャピタルがあり、企業も他の企業や研究者との連携には寛容で、研究者を大切にする風土があった」という指摘もある。実際、「信頼関係があれば取引がスムーズに運ぶ」といったことはよく経験することであろう。
...... >
3つのソーシャル〈メディア、マインド、キャピタル〉 東日本大震災で見えてきたもの/京都銀行 - BUSINESS REPORT/2011.08


【 引用記事 2 】
< ソーシャル・キャピタルと新しい公共性                    糸林誉史(Yoshifumi Itobayashi)
......
 なぜ今「ソーシャル・キャピタル」(Social Capital)なのだろうか。ソーシャル・キャピタルは,社会的ネットワークを資源とみなす概念に基づき,経済的資本と同様に評価可能かつ蓄積可能な「資本」として位置づけたものである。1990年代になり,社会科学の一つのブレークスルーとして,各学問分野で理論も含め,研究の台頭が見られた。もしソーシャル・キャピタルが豊かなら,人々は互いに信用し自発的に協力する,すなわち社会問題の最善な解決策,そして民主主義を機能させるキーコンセプトとして提示したのである。なお直訳すると社会資本であるが,これはインフラストラクチャーを意味する用語として定着しているため,日本語訳として「社会関係資本」が一般的となっている。

 本稿では,ソーシャル・キャピタル論を巡る議論の変遷と批判を踏まえて整理し,それを「新しい公共性」論との接点から調査研究をすすめるために,「様々に異なる存在の総体」であるソーシャル・キャピタル論の展開を,特にその公共財的な側面に着目し,三つの論点と二つのアプローチへの検討から考察したい。...... >ソーシャル・キャピタルと新しい公共性 糸林誉史(Yoshifumi Itobayashi)


【 引用記事 3 】
< 平成14年度 内閣府委託調査 ソーシャル・キャピタル:豊かな人間関係と市民活動の好循環を求めて

1.調査の趣旨

「ソーシャル・キャピタル(Social Capital)(以下、SCという。)」とは、「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会組織の特徴であり、共通の目的に向かって協調行動を導くものとされる。いわば、信頼に裏打ちされた社会的な繋がりあるいは豊かな人間関係と捉えることができよう。アメリカの政治学者ロバート・パットナムが、著書「Bowling Alone(一人で行うボーリング)」において、アメリカではSCが減退していると指摘し、コミュニティの崩壊と再生について警鐘をならした。これが大きなきっかけとなり、SCという新しい概念が、近年、世界的に注目を集めつつある。こうした中で、ボランティア活動を始めとする市民活動の社会的意義についても、SCの培養という側面の重要性に目が向けられ始めている。

SCに関する調査研究はとりわけ我が国ではまだ緒についたばかりの段階にある。そこで、本調査は、これまでの議論を整理するとともに、SCと市民活動との関係に焦点をあて、我が国における両者の関係の検証やSCの定量的把握などを試み、市民活動の今後の展望と課題を探る手がかりを得ようとしたものである。

2.調査結果のポイント

アンケート調査や事例調査の分析から、SCと市民活動とは相互に影響しあい、高めあう関係にあること、またNPOがいわばコミュニケーションの場となり、SCの培養の苗床となる可能性を秘めていることが示された。例えば、市民活動を行っている人は他人を信頼し、またつきあい・交流も活発な人が相対的に多い。一方他人を信頼する人やつきあい・交流の活発な人は市民活動を行っている人が相対的に多い。

我が国のSCについて地域別の試算を行い、SCの効果について部分的に分析したところ、例えば失業率の抑制や出生率の維持などの国民生活面でSCが寄与している可能性が示唆された。

SCのこれまでの動向を関連指標の2時点比較から推察すると、相対的に豊かな地方部では減少し、東京・大阪等の大都市部では横ばいないし回復の兆しといった可能性も窺われた。事例調査でも、ニュータウンで、NPOの新たな活動によりコミュニティが形成される様子が窺われた。

今後、わが国のSCを豊かなものにしていく上で、市民活動が、社会的な評価、信頼を得ながら、地域社会において水平的でオープンなネットワークの形成を促進し、豊かな人間関係と市民活動の好循環を導いていくことが期待される。
......


平成14年度 内閣府委託調査 ソーシャル・キャピタル:豊かな人間関係と市民活動の好循環を求めて/内閣府 NPO ホームページ/2003.06.19


  "ソーシャルメディア" と "ソーシャル・キャピタル" との実際的な関係や、そこに生まれる問題点などについては今後の考察課題としたい。今回は、そのための端緒であるに過ぎない...... (2012.01.20)













【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: "Socialメディア"には「ソーシャル・キャピタル(Social Capital)」的な観点も! ......

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://adhocrat.net/mt/mt-tb.cgi/1796

コメントする

2020年11月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          














関連サイトへのリンク


  • 電子書籍(eBooks)制作にフォーカスしたサイト
  • 明けない夜はないことを確信するサイト
  • Green(地球環境改善)にフォーカスしたサイト
  • ソフトウェア技術者やSEのための評価と育成、人事考課制度を考えるサイト
  • さまざまな業種・業態でご利用可能なモバイル活用の予約システム!
  • 創作小説『海念と保兵衛』のサイト
  • 創作小説『かもめたちの行方』のサイト
  • 当ブログ推奨の商品を展示したAmazon ストアー!
  • 当AdhocBlogブログの過去のエントリー
  • 株式会社アドホクラット当時のサイト

★売れ筋! No.1!
家庭用"放射線測定器"

日本通信 bモバイルWiFi ルータ+1 ヶ月定額SIM BM-U300W-1M
価格:¥ 20,208
国内配送料無料 Amazon





このブログ記事について

このページは、yasuo hiroseが2012年1月20日 00:01に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は、
 「Android搭載タブレット端末を"Social"に活用!? 独居世帯の安否確認や見守りに! ......
です。

次のブログ記事は、
 「米Apple社『iPad』で読める電子教科書を簡単に作れるツール:『GarageBand』を! ......
です。

最近のコンテンツは、
 インデックスページ
で見られます。

過去に書かれたものは、
 アーカイブのページ
で見られます。

年月別アーカイブ

最近のトラックバック