高止まりの "失業率" が続く昨今であるが、 "失業率高い男性" という傾向が目立ち始めているという。
<男性の雇用が多い製造業や建設業は、過酷なリストラを迫られた>(下記引用サイト記事:失業率高い男性、賃金低い女性 偏りが成長に影/日本経済新聞/2012.05.19 より)という事実が背景にあるという。
そして、<男性の失業率が女性を上回る先進国は多い。一時的な現象とはいいきれない>だけに、<「男性(man)」と「不況(recession)」を組み合わせたもの>として<マンセッション(mancession)>という "造語" が注目され始めているのだそうだ。
ここから見るべきは、言うまでもなく男性/女性という性別がどうこうではなく、男性の就業比率の高い "建設業・製造業" が "リセッション" の煽りを受けて冴えないのに対して、女性の比率が高い業種である医療・福祉などが上向いている、という構造的変化なのであろう。
ただし、後者には、賃金水準が相対的に低いという問題が絡んでいるようだ。
"サービス業" の興隆はそれはそれで良いことであるに違いないが、"モノづくり" の技を誇った日本としては、やはり "製造業の再生" に目が向けられるべきかと思う。
つい先日も、<米国(政権)は、景気を活性化する重要材料としての "雇用創出" にテコ入れ、そのための方策としての "製造業再生策" に力点を置いている>( 米国経済回復は米製造業「メードインUSA」への回帰で?米政権の製造業再生策!( 当誌 2012.05.18 ) )と書いたところだ......。
失業率高い男性、賃金低い女性 偏りが成長に影
「マンセッション(mancession)」――。リーマン・ショック後の米国でこんな造語が流行した。「男性(man)」と「不況(recession)」を組み合わせたもので、男性の失業が女性よりも深刻な状態を指す。
未曽有の金融危機に直面した米国。男性の雇用が多い製造業や建設業は、過酷なリストラを迫られた。......
米経済の回復とともに、失業率の男女格差は縮まってきた。しかし男性の失業率が女性を上回る先進国は多い。一時的な現象とはいいきれないマンセッション。三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉理事チーフエコノミストは「雇用を生み出す主役の交代が背景にある」と話す。
日本では失業率の男女格差がもともと小さかった。男性が女性を上回るようになったのは1997~98年からで、2010年3月にはその差が過去最大の1.2ポイントに広がった。直近の今年3月は男性が4.9%、女性が4.1%。程度の違いはあっても、男性受難の構図は変わらない。
今年3月の就業者を10年前と比べると、公共事業削減の影響が大きい建設業は21%、生産拠点の海外移転が進む製造業は16%減った。いずれの業種も男性の比率が高く、建設業は86%、製造業は71%を占める。
一方、少子高齢社会に欠かせない医療・福祉の就業者は48%増えている。女性の比率が75%に及ぶ業種である。こうした産業構造の変化や就業構造の違いが、失業率の男女格差を固定化したのは間違いない。......
問題は女性の比率が高い業種の賃金水準が低い点だ。3月の労働者1人あたりの現金給与総額をみると、医療・福祉は約26万円。非正規雇用が多いこともあって、建設業の約33万円や製造業の約32万円を下回る。
「モノからサービスという雇用の重心移動は、先進国共通の流れだろう。ただサービス業の生産性を高め、製造業との賃金格差を縮めないと、日本全体の所得が伸びにくくなる」。日本総合研究所の山田久調査部長はこう指摘する。......
製造業の再生は重要だ。円高の是正や法人減税、自由貿易の推進などを通じ、自動車や電機の競争力を高めなければならない。同時にサービス業の強化にも取り組まないと、雇用や所得の底上げはおぼつかない。マンセッションが問う成長戦略の課題は多い。(編集委員 小竹洋之)
( 失業率高い男性、賃金低い女性 偏りが成長に影/日本経済新聞/2012.05.19 )( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
種々の悪条件によって昂進する "産業空洞化!" 傾向がもたらしている "歪み" であることは分かるが、これを放置していたのでは、日本の経済環境は "悪循環" から逃れられない...... (2012.05.21)
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