もはや常識化しつつある現代ITプロフェッショナルの"スキル構成"!ソフトスキルとは?

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 この "CNET" での "IT業界" に関する記事を読むたびに、海外(米国)の "IT業界" での "人材" への洞察が如何に豊饒であるかを思い知らされてきた。だから、このブログでもしばしば引用させてもらっている。

 "IT" の成果を、"技術的な専門知識" の累積だけで可能であるとは見なさなず、"技術的人材" の "幅広い能力資質" や、その集合体としての "組織・プロジェクトのあり方" などに細心の注意を払っている事実が素晴らしいと思えるのだ。
 これは決して "美しい作法" とかという筋合いの話ではないのである。より高度で安定した成果を産み出そうとリアルに追及したならば、必然的に逢着する "科学的スタンス"、"リアル・ビジネス!" の姿なのだと言うのが正解であろう。

 "IT" の成果を、限定された "技術的な専門知識" 周辺だけの構成物とは見なさずに、"多重構造的" な人間的能力資質の結晶物と見る洞察は、かつてのこの日本の業界にもあったことを自分なりに記憶している。
 ところが、いつの間にか "了見の狭い観点" で捉えられた "技術的専門知識" だけが "過大に評価" されるようになり、これらの "根" であり "土壌" でもある<"技術的人材" の "幅広い能力資質" や、その集合体としての "組織・プロジェクトのあり方" >という課題が、 "不当に軽視" されるようになってしまったようである。"洞察力の劣化!" と言うほかなさそうだ。

 このおかしな推移にはいろいろな原因が介在していたようだが、とりあえず、"IT(ソフトウェア)技術者" における "能力構造定義" が実に曖昧なままにされ続け、その上、市場環境に翻弄され続けてきたという事情が指摘できそうだ。―― "理系"、"文系" という図式的分割が教育制度において支配的であり続けた経緯も、決して小さくない問題だったのではないかと振り返る ――

 "愚痴" めいたことを言ってみてもしょうがなさそうだ。
 残念ながら、今、日本の "IT(ソフトウェア)" 業界が "踊り場" 的状況にあることは否定できないと見える。が、そんな時期だからこそ、これを機に見直すべき点は果敢に見直す必要があるのではなかろうか。
 そうした観点に立つならば、"IT(ソフトウェア)技術者" における "能力構造定義" の問題は見過ごせない課題だと思われる。"能力育成" の指針も、これなくしては叶わないはずだから。

 さて、下記引用サイト記事:「IT業界で高く評価される10のソフトスキル」/CNET Japan/2012.08.07 の内容は、上記のような筆者自身の問題意識と大いに重なり、実に興味深く思えたものであった。

現代のITプロフェッショナルには技術的な専門知識ソフトスキル双方が要求される。このようなことはずっと昔から言われ続けている。しかし、そういったソフトなスキルに対するニーズはどんどん膨らみ続けている

と述べられ、さらに、実はこうした点は<30年ほど前>から既に気づかれていたのではないかとの指摘もなされる。まさにそのとおりなのである。

 こうして、以下 "10のソフトスキル" が、現時点の実情を踏まえて提起されることになる。

#1 : 交渉力と会議力( Deal making and meeting skills )
#2 : 高度なコミュニケーション力( Great communication skills )
#3 : プロジェクトにまつわる第六感( A sixth sense about projects )
#4 : 人間工学に関する感性( Ergonomic sensitivity )
#5 : チームプレーヤーとして振る舞える協調性( Great team player )

#6 : 政治力( Political smarts )
#7 : 教育や指導を行ったり、知識を共有する能力( Teaching, mentoring, and knowledge sharing )
#8 : 「灰色の問題」を解決する力( Resolving "gray" issues )
#9 : ベンダーマネジメント力( Vendor management )
#10 : 契約折衝力( Contract negotiation )

 これらは、まさに<現代のITプロフェッショナル>にとって欠かせない "ソフトスキル" であるに違いない。
 なお、詳細は省くが、筆者はかつて "SE(システムエンジニア)" の "人事考課" における "技術力プラスα の 資質"( =上記の "ソフトスキル" ) として位置づけつつ "13 の資質項目" を実質的内容を添えて下記のように提起したことがある。
 要するに、現場サイドでは、こうした "スキル" の必要性はかねてより気づかれていたのである。問題は、その必要性を軽視し続けてきた "IT、ソフト会社" の経営側における洞察力の無さであったのかもしれない......。

★人事考課 PartⅠ:SEの持つべき資質A
 No.1.幅広い視野と経営的視点での発想力
 No.2.柔軟性・弾力性のある思考力
 No.3.真の問題・本質を見抜く能力(問題発掘能力)
 No.4.システム構築能力と問題解決能力(問題形成・解決能力)
 No.5.変化対応能力
 No.6.情報収集能力
 No.7.情報整理・分析能力
 No.8.文書化能力
 No.9.発表・説得能力
 No.10.折衝能力
 No.11.助言・指導能力
 No.12.チームプレー能力(チームマネージメント能力)
 No.13.システム・マネージメント能力とプロジェクト・マネージメント能力
>( SE Human Assessment ソフトウェア技術者のための評価と人事考課

 IT業界で高く評価される10のソフトスキル/CNET Japan/2012.08.07
Mary Shacklett (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

 現代のITプロフェッショナルには技術的な専門知識ソフトスキル双方が要求される。このようなことはずっと昔から言われ続けている。しかし、そういったソフトなスキルに対するニーズはどんどん膨らみ続けているのである。

 IT技術のスキルとしてどういったものが必要になるのかは、企業によって異なっている。しかし、ほとんどのIT企業に共通するニーズがある。それがソフトスキルというわけだ。こういったニーズが求めらるのは今に始まった話ではない。30年ほど前にも、企業のIT部門は文系の学生を採用し、ビジネスアナリストやシステムアナリストへと育成することで、プログラマーとエンドユーザーの間に横たわる「コミュニケーションギャップ」を埋めようとしていた。また、最高情報責任者(CIO)の経歴を見てみると、ほぼ半数が文系出身となっている。

 では、現代の企業がITプロフェッショナルに求めるソフトスキルとは、どういったものなのだろうか?

#1 : 交渉力と会議力( Deal making and meeting skills )

 IT部門の存在意義は、企業運営の原動力となるものを生み出すために、テクノロジと人々を引き合わせるというところにある。人が集まれば必ず意見の不一致が生まれ、グループ内でコンセンサスを得る必要が出てくる。ユーザーとともに仕事を行えるIT担当者であれば、妥協点を見つけ出してプロジェクトや目標に関する合意を形成することができるうえ、必要に応じて自らのエゴを捨て去ることもできるはずだ。

#2 : 高度なコミュニケーション力( Great communication skills )

 読解力や作文力、そして明確かつ効果的に話す力は、いつまで経っても色あせることのないスキルである。これはIT部門について特に言えることだ。ITプロジェクトの記録をひもとくと、アイデア自体は優れていたものの、コミュニケーション不足によって失敗したプロジェクトが星の数ほど出てくるはずだ。

#3 : プロジェクトにまつわる第六感( A sixth sense about projects )

 プロジェクトのマネジメント方法を教育するちゃんとした講座は存在している。しかしほとんどの人々は、数年かけてプロジェクトマネジメントの経験を積むことで、プロジェクトの舵をとるための直感というものを養っている。一方、生まれながらのプロジェクトマネージャーはこういった第六感を最初から身に付けている。そしてたいていの場合、第六感は教えることのできない、天賦の才なのである。それ故に、人々やタスクからプロジェクトを「読み取る」ことのできる生まれながらのプロジェクトマネージャーをIT幹部が発掘できた場合、そのプロジェクトマネージャーは逸材として扱われることになるわけだ。
#4 : 人間工学に関する感性( Ergonomic sensitivity )

 IT部門の専門は技術的なものごとであるため、技術に疎いユーザーの視点に立ったり、エンドユーザーが直面している現場の状況を理解することは容易ではない。このため、エンドユーザーが持つ感覚を共有でき、彼らが働いている現場の状況を理解し、学習や使用が容易なGUIを設計できるビジネスアナリストは、アプリケーション開発における資産になるわけである。

#5 : チームプレーヤーとして振る舞える協調性( Great team player )

 ITプロフェッショナルという人種は、自らの専門分野に閉じこもってしまいがちだ。こういった技術知識のとりでにこもることなく、チームやプロジェクトに良いものをもたらそうと働く人材は、大局を見る能力があるとして高く評価されることになる。そして彼らは、昇進の候補者と目されるようにもなる。

#6 : 政治力( Political smarts )

 IT部門が政治的な駆け引きに長けた集団である必然性はないものの、自社のさまざまな部門の人々と強い関係を築くことのできる人材がいれば、何かにつけて有益となるはずだ。こういった関係の構築によって他部門との連携やプロジェクトの成功が促進されるのである。

#7 : 教育や指導を行ったり、知識を共有する能力( Teaching, mentoring, and knowledge sharing )

 新しいアプリケーションの使い方をユーザーに教育できる人間は、IT部門にとってプロジェクトの運用展開工程において役立つ人材と言えるだろう。また彼らは、部門内部でIT技術を教育する際の貴重なリソースともなる。さらに、「真のIT教育」は日々の仕事におけるOJTによって達成されるため、他の要員と歩調を合わせて指導やサポートを行うようにできれば、その価値はより高いものとなるはずだ。こういったプロセスの中心には、知識を共有しようとする意思と、学習者の言うことに耳を傾け、その学びに辛抱強く付き合うという能力が必要になる。

#8 : 「灰色の問題」を解決する力( Resolving "gray" issues )

 IT技術者はものごとを2進数(白か黒)で考えがちである。しかし残念なことに、プロジェクト内に蔓延する人間関係のあつれきの多くは「灰色」なのだ。つまり何が正しくて、何が間違っているという絶対的な答えなどないにもかかわらず、全員が納得できる答えを見つけ出さなければならないわけである。問題を洗い出して明文化し、皆がその内容を認識できるようにしたうえで解決できる人材は、プロジェクトの遅滞を避け、期間短縮に結びつけるうえで欠かせないはずだ。

#9 : ベンダーマネジメント力( Vendor management )

 ITやマネジメントに関する教育プログラムで、ベンダーマネジメントについて教えられることはほとんどない。また、こういったことを実行しようとしているIT技術者も非常に少ない。しかし、アウトソーシング、およびベンダーマネジメントの必要性が増加しているなか、SLA(サービス品質保証契約)やKPI(重要業績評価指標)の内容が社内のニーズに合うことを保証しながらベンダーと仕事を行えるような、管理スキルとマネジメントスキルを備えたITプロフェッショナルは、ITが関係してくる領域において大きな価値をもたらすことになる。またそういった人材は、昇進の可能性も高いのである。

#10 : 契約折衝力( Contract negotiation )

 クラウドベースのソリューションの増加に伴い、契約折衝にまつわるスキルと法律知識の必要性が高まっている。このため、こういったスキルを有したIT技術者が評価され、優遇されるとともに、高給と幹部の地位が与えられることもしばしばある。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

( ※引用者注 ―― 各項目後の英文は、原文から引用しました)

 スティーブ・ジョブズ氏を信奉する経営者は少なくない。しかし、技術者の "技術的スキル" の伸ばし方・活かし方(=育成方向)への洞察に疎い経営者の眼からは、ジョブズ氏の本領は見えていないのではなかろうか。ちょっとキツイ皮肉だが ...... (2012.08.08)













【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








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このページは、yasuo hiroseが2012年8月 8日 00:01に書いたブログ記事です。

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