ここしばらく、日経平均株価もダウ平均株価も久々の連日株高気運を迎えている。( 17日、日経平均株価:9162円 ダウ平均株価:1万3275ドル )
まさか、これがこのまま "継続" していくとは考えにくいわけだが、一体今後どう展開していくのだろうか?
最近の情勢は、どちらかと言うと "抑制気味" に想定しておいた方が無難だと感じるようになってしまった。そこで、そうした論調の記事に目を向けた。
先ずは、喫緊の推移に対する読み......。要するに、<「ヘッジファンドも夏休み中>だから......、という解説が妥当性を持つかのようである。
<......もっとも、いま安定しているからといって、これからもそうとは限らない。......
そもそも、VIXだけをみて市場のムードが金融危機前の水準まで回復したと判断するのは早計、と指摘する市場関係者は多い。ある大手証券の営業担当者は「ヘッジファンドなど投資家が夏休み中で相場に動きが乏しいことを映しているにすぎない」と断言する。8月のニューヨーク証券取引所の1日平均売買高は前年同月の4割程度という極端な薄商いだ。
ギリシャやスペインの支援問題に、米連邦準備理事会(FRB)の追加金融緩和の行方。いずれも9月の声を聞くまではどう転ぶか読めず、読めないから相場に織り込めない。閑散市場で株価指数はふらふらと上がっても、どこまで裏付けがあるか不明。投資家は恐怖が薄れたのではなく、ひとまず恐怖から目をそむけているだけ、なのかもしれない。>( 恐怖から目を背ける不気味な静けさ(NY特急便) NQNニューヨーク・森安圭一郎/日本経済新聞/2012.08.18 )
ならば、もう少し長いレンジでの "トレンド" に目を向けてみると、やはり "抑制気味" 評価とならざるを得ない記事が目についた。
投資家は、目先の事態に飛びついてナンボの世界で生きているからそれはそれであるが、一般生活者の「これから景気どうなるの?」という関心に対しては、"消費者物価指数" という指標のトレンドが "暗示力" を持つのではなかろうか。
いわゆる "インフレ/デフレ" を表わす指標とされ、この指標のマイナスという状況、<この状況が長く続けば、将来的に業績見通しの悪化だけでなく、生産削減につながる可能性>ありということになり、警戒し続けなければならないわけだ。日本経済は、 "95年" あたりから始まっているとされるので "十数年以上" も長引いて来たと言われている。
で、世界の今後はというと、<世界的に物価上昇力が弱まっている = 世界で静かに進行するデフレの脅威>なのだそうであり、この辺からも当面の "株価上昇=景気小康状態(?)" への評価も、残念ながら定まってくるのではなかろうか......。
コラム:世界で静かに進行するデフレの脅威 By James Saft/REUTERS/2012.08.17
[15日 ロイター] 世界的に物価上昇力が弱まっていることを示す指標が相次いでいることは、デフレの脅威が小さいながらも増していることを暗示している。
7月の米消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前月と比べて2カ月連続で横ばいとなり、前年比では1.4%上昇と2010年11月以来の小幅な伸びとなった。食品とエネルギーを除くコア指数は、前月比わずか0.1%の上昇にとどまっている。
7月はCPI構成品目の約3分の1で価格が下落。設備稼働率はほぼ正常の79%にある一方、CPIなどの指標は企業に価格決定力がほとんどないことを示しており、この状況が長く続けば、将来的に業績見通しの悪化だけでなく、生産削減につながる可能性もある。
日本で10年以上にわたって見られるように、過度にレバレッジのかかった経済がそのレバレッジを減らそうとする時、成長は停滞し、デフレには陥らないにしても価格上昇力は弱まる。さらに差し迫った問題は、欧州経済の弱さが放射線状に世界に広がっていることだ。
欧州の大部分で産業活動は縮小しており、中でも目を引くのはドイツの製造業受注が過去1年で約8%減少したことだ。スイスでは、スイス国立銀行(中央銀行、SNB)がフランの対ユーロ相場の上限を維持する政策を取っているにもかかわらず、物価は前年比0.7%下がっており、完全なデフレ状態にある。日本も依然としてデフレが継続、スイス同様に自国通貨高に苦しんでいる。
中国に目を転じれば、経済成長に急ブレーキがかかっている。7月の生産者物価指数(PPI)は5カ月連続の低下を記録し、消費者物価指数(CPI)は前年比プラス1.8%と30カ月ぶりの低い伸びとなった。7月の貿易統計では、輸出が前年同月比1.0%増となり、前月の同11.0%増から急減速した。
先進国市場の債務の大きさは、いずれにしろ経済が低成長になることを意味しているのかもしれない。しかし、欧州経済の先行きに対する不安が投資家のリスク回避志向を強め、それが比較的安全な通貨を押し上げ、債券利回りを低下させている点を理解しておくのは重要なことだ。安全志向は欧州発のデフレ圧力と言えるものであり、投資家が安心を取り戻さない限り、逆方向に転じることはない。
安全志向からの巻き戻しは起きるかもしれない。しかし、それを目先のこととして期待するのは恐らく非現実的と言えるだろう。
( コラム:世界で静かに進行するデフレの脅威 By James Saft/REUTERS/2012.08.17 )
欧州経済の先行きについても、9月以降に "正念場" を迎えるとの想定もあり、あまり、"うたかた(泡沫)の推移" で一喜一憂してみてもしょうがないということかもしれない ...... (2012.08.19)
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