ウェブ企業業績の将来は、モバイルWeb3.0が果たすSmart"客引き"機能にかかっている!?

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 人々の関心が "PCからモバイルへ" とシフトしているという流れは、もはや否定できない。そしてこの核心はというと、ウェブの焦点が、"デスクトップ・ウェブ" から "モバイル・ウェブ" へとシフトしている点だということになる。
 だが、この "シフト" によって "何がどう変化するのか?" というテーマについては、総論的、雰囲気的な叙述は多々あっても、詰めた考察は意外と多くない。

 そんな中で、下記引用サイト記事:「Web 3.0―モバイル・ウェブでマネタイズするための条件を考える」/TechCrunch/2012.08.13 は、状況の要点や現状の位置づけを適切に押さえて、説得性のあるかたちでまとめていた。
 長文記事は省略を施しできるだけ簡略化したいところなのだが、省くには惜しい内容が充満していた。

 全体の分かり易さを生み出していたのは、"ウェブでのマネタイズ(収益化)" という視点に絞り込んだ考察を、しかも論理的に進めているからではないかと思える。
 先ず、結論として<ウェブ企業の業績の将来はモバイルの収益化の成否にかかっている>と提起する。そして過去20年を振り返り、<Web 3.0―モバイル・ウェブの時代>としての現状の特徴を数点で捉えつつ、<極めて重要な2つのトレンド>が指摘される。

 1.<小さくなれ―まず小さなスクリーンのモバイル版から作るべし
 2.<現実と密着せよ―モバイルは現実の店舗と相性がよい

 "1." においては、<モバイルのユーザー体験>に着眼している点に留意してよいかと思う。
 そして、"2." の<現実と密着せよ―モバイルは現実の店舗と相性がよい>という点にこそ、<モバイル化されたWeb 3.0時代>の "マネタイズ" 戦略の核心があると強調する。

 <リアルタイムかつ実世界に密着した情報の利用が可能>となったモバイル・ユーザーのステイタスを活かし、<店舗に直接顧客を呼び込む>ところまでを果たす! それがモバイルWeb 3.0での "マネタイズ" なのだと。
 「ダンナダンナ! 3,000円ポッキリ!」という "客引き" ならぬ、Smartな "客引き" 機能が、ウェブ企業の業績の将来を左右する......。

 <リアルな価値を提供できなければ収益化が難しいという点>や、<単なる広告のクリックを超えて、現実の購入過程に直接関与するようなものでなくてはいけない>という点が、この時代の戦略水準である、と......。

 Web 3.0―モバイル・ウェブでマネタイズするための条件を考える/TechCrunch/2012.08.13

 ...... モバイル化はITが過去に経験した中でも最大、最速の変化の波だ。モバイル化の影響の及ぶ範囲と深さはどれほど強調しても足りない。そしてまさにZyngaとFacebookの業績報告が明確化させた点だが、ウェブ企業の業績の将来はモバイルの収益化の成否にかかっている

 過去20年のITエコシステムの枠組みを要約すればこうなる。 Web 1.0ウェブの接続性の革命だった。Netscapeによって始められたこの波の主役はAOL、Yahooのような巨大ポータルと検索の巨人Googleだった。 次の波、Web 2.0ソーシャルだ。Facebook、LinkedIn、Zynga、Twitter、最近ではQuoraなどがウェブに「ソーシャルなレイヤー」を創りだした。この変化の重要性はいくら強調しても足りない。既存の大企業(そして政府や政治も)はこれによって根本的な変革を強いられている。

 そして今やわれわれはWeb 3.0―モバイル・ウェブの時代に突入した。......そこには過去になかったきわめて特徴的な要素が含まれている。それは例えば、

 ■ リアルタイム
 ■ ユビキタス(常時、あらゆる場所に携帯可能)
 ■ 位置情報
 ■ 高度なセンサー
 ■ 高精細度で小型なスクリーン
 ■ 高性能カメラとオーディオ

 こうした特徴的な要素は既存大企業にもスタートアップにとっても極めて重要な2つのトレンドを生み出した

小さくなれ―まず小さなスクリーンのモバイル版から作るべし

 モバイル・ウェブの特徴の一つである巧みにデザインされた小さなスクリーンは、スタートアップに既存プレイヤーとは異なるユーザー体験と機能を提供する機会を与える。Instagramを除けば既存の主要なウェブ企業はデスクトップ・ウェブをベースに生まれた。デスクトップ・ウェブはパソコンのモニタの解像度とサイズが向上するのに合わせて情報をできるだけたくさん詰め込む方向に進化してきた。......

 デザインがデスクトップ・パソコンの時代に生まれたサービスは大なり小なりモバイル化にあたって小さな画面に適応するのに苦労している。パソコンの画面を単に縮小するだけでは優れたモバイルのユーザー体験にはならないことが多い。なるほど多くのユーザーが使ってはくれるだろう......が、小さいスクリーンにあまりにも多くの情報が溢れていることでユーザーはじきに疲れてしまう

 ...... モバイル、ソーシャル、写真を本質的に統合したサービスで成功を収めた最高の例はInstagramだろう。Instagramはスクリーンにむやみに多くの言葉を詰め込むのではなく、「百聞は一見に如かず」に徹することで8000万のユーザーと10億ドルでのFaceookによる買収という成果をを上げた。モバイル優先で誕生した他のサービス、Foursquare、Path、Foodspotting、Banjo、Pulseなども始めから小さなスクリーンを前提にしたユーザー体験の構築によって既存プレイヤーを出し抜く機会に恵まれている。

現実と密着せよ―モバイルは現実の店舗と相性がよい

 ...... モバイルでのマネタイズはデスクトップ・ウェブでのマネタイズとは違った方向になるのは間違いない。特に、モバイルでのマネタイズは現実との距離がずっと小さくなり、消費者に現実かつ具体的なメリットを与えるものでなければならなくなるだろう

 その理由はこうだ。Web 1.0の時代にクリックあたり単価(CPC)の広告モデルを確立したことでGoogleはウェブ世界で超新星のような地位を手に入れた。...... それによって今度は消費者が何に関心を持っているかを精密に知るようになった。これが広告の効果計測におけるブレークスルーを引き起こした。......広告代理店を通してテレビ、雑誌、新聞などのマス媒体に大金を支払う広告モデルから脱出することができた。......Googleなら広告主はそのキーワードに興味を持っているユーザーに対して直接広告を掲示できる。しかもユーザーがクリックした場合だけその数に応じて料金を支払えばよい。広告の効果とその測定法に革命が起きた瞬間だった。

 Web 2.0はソーシャル化の波としてやって来た。Facebookはわれわれがプロフィールに関心を持っている分野として記入した情報や友達が関心を持っている情報にもとづいて広告を表示する。...... Facebookはわれわれの日常を把握している。...... 同様にユーザーの友達の好みも知っている。Facebookの広告主は加えてユーザーが自発的に提供するプロフィールから性別、年齢、学歴、恋愛対象、居住地といった驚くほど詳細なユーザー属性を利用して広告対象の絞込みができる。こうしたFacebookのこうしたソーシャル広告がきわめて強力であり、今後も成長を続けていくことは疑いない。

 しかしモバイル化されたWeb 3.0時代に入ると、広告とPRに新しいレベルのユーザー体験の可能性が開かれた。 単にFacebookなどのソーシャル・グラフだけでなく、さらにリアルタイムかつ実世界に密着した情報の利用が可能になる。ユーザーの現在位置、天気、交通情報、地域の店舗のセール情報、近所にいる友だちなどの情報に加えて、ある店舗、施設を訪問した履歴も(近々)利用可能になる。こうした情報にはそれぞれに商業的利用の可能性が広がっている。...... もはやオンライン・コマースと現実の店舗における販売の境界はぼやけつつある。するとこういう疑問が湧いてくる。店舗に直接顧客を呼び込むことができるなら、広告クリックに金を払う必要があるだろうか? これこそがモバイル・サービスがブランドやマーケッターなどの広告主に向けて約束するキャッチフレーズだ。この意味するところは巨大だ。金額が大きいだけでなく、さまざまなビジネスのやり方を根本的に変える可能性がある。広告に対するクリックから収益を上げている現在のインターネット広告のビジネスモデルは大きな変化を迫られている

 この分野で現在注目すべきスタートアップにはWaze、ShopKick、Foodspottingなどがある。WazeはGPSとソーシャル機能を利用した高度なナビゲーション・サービスで、リアルタイムの交通情報がセールスポインだ。すでに2000万のユーザーの獲得に成功している。Wazeを利用すれば渋滞をできるだけ避けた最短ルートが得られるが、さらにその沿道で一番安いガソリンスタンドの情報も提供されるようになった。つまりこれはユーザーが直接の現実的な利益を得られると同時に、ビジネス側も直接の販売につながるようなサービスだ。

 ShopKickは小売店でのショッピングをゲーム化するユニークなモバイル・サービスだ。ユーザーはShopkickから与えられる「任務」を達成することで報酬を得られる。店側との交流を密接にするこのサービスのゲーム性のおかげでShopKickのユーザーは来店した際に他の客より平均してより多くの買い物をするという結果が出ている。ここでも現実の店舗における店舗側とユーザーの双方の現実のメリットが得られるという点が重要だ。

 Open Foodspottingスマートフォンで撮影した食べ物の写真に位置情報タグをつけて友だちと共有できるサービスだ。友だちは近所で誰がどんなおいしいものを食べたかが分かる仕組みだ。...... Foodspottingのコミュニティが成長するにつれて、レストラン側でもFoodspottingでその種のレストランなり食べ物なりに関心をを示したユーザーに対して割引などの特典を提供するプロモーションの動きが活発になっている。これもまたリアル店舗でビジネス、ユーザー双方にリアル・メリットが生じる例だ。

 モバイルWeb 3.0はすばらしい可能性に満ちた世界だ。しかしモバイルWeb 3.0ではリアルな価値を提供できなければ収益化が難しいという点に注意しなければならない。単にデスクトップ版のウェブサービスをスマートフォンのプラットフォームに移植するだけでは足りないのだ。モバイルでのマネタイゼーションは単なる広告のクリックを超えて、現実の購入過程に直接関与するようなものでなくてはいけない。上で述べたように広告主は次第に「直接客を店に呼び込めるなら広告のクリックに金を払う必要はない」と考えるようになっている。この点で成功したプレイヤーがモバイルWeb3.0の勝者となっていくだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)

( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)

 <モバイル・ウェブでマネタイズ>とは、<広告のクリック>で稼ぐことではなく、<直接客を店に呼び込む>次元に到達しているというわけである。下世話な表現をすれば、"モバイル・ウェブ" は、やっぱり現代のスマートな "客引き"(?!)だということになりそうだ ...... (2012.08.18)













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このページは、yasuo hiroseが2012年8月18日 00:01に書いたブログ記事です。

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