盆休みの期間にしばし続いてきた "株高" が、果たして景気見通しの明るい材料と見なせるのかどうか、そんな関心が20日の東京株式市場には寄せられていたはずだ。
確かに "小幅続伸"(前週末比8円66銭高の9171円16銭)には違いない。だが、この推移は期待されたものであったのだろうか。
下記引用サイト記事(【 引用記事 1 】):株、強気サイン相次ぐチャート、増えない売買 相場の「実力」見極めは先送り/日本経済新聞/2012.08.20 での次のような叙述が気になった。
<お盆休み期間が明けたにも関わらず、商いは低調。売買に厚みがない/1週間ぶりの低水準に落ち込んだ。東京市場の売買の6~7割を占める海外投資家が本格的に戻ってきたとは考え難い/個人投資家も今回の株高で心理が大きく改善しているとは言い難い/1000億円規模の投信設定に伴う先物買いが押し上げた分は、市場関係者が想定しているよりも意外と多いのかもしれない>
こうした消極的事実がこれから好転してゆくのかどうかであるが、次のような記事も気になるといえば気になる。
この間、"意外に堅調" と言われてもきた "米企業の業績" についてなのであるが、決算内容から浮かび上がってきたのは、 "売上不振(増益にもかかわらず!)" という事実だというのだ。
つまり、"増益" は、<投資の拡大ではなくコスト抑制や事業の整理統合で増益を達成したのであり、このことは米失業率の高止まりに表れている>といういわば "調整" 対策によって生じさせていたというのだ。
これまでには、こうした "調整" 局面から景気拡大へと移行して行った経緯もあったようだが、今回のケースについては異なるようである。
<売上高が市場予想を上回った企業の比率が2009年以来最低の水準/これは景気の減速を意味し、われわれがこれまで馴染んできた強気の業績見通しを示すものではない/利益は68%の企業が市場予想を上回ったにもかかわらず、売上高が予想に届かない企業がこれほどの比率に達したのは驚き>
と表現されている。こうして、"意外に堅調" と見なされてきた米国の景気に "舞台裏"(?) が見えてくると、事態の推移は予断を許さなくなりそうだ......。
【 引用記事 1 】
株、強気サイン相次ぐチャート、増えない売買 相場の「実力」見極めは先送り/日本経済新聞/2012.08.20
円高修正やテクニカル分析面の明るいサインを背景に投資家心理の改善が続き、20日午前の東京株式市場で日経平均株価は前週末比55円高の9218円と続伸した。もっとも、お盆休み期間が明けたにも関わらず、商いは低調。売買に厚みがないなか、投資信託設定に伴う株価指数先物買いが一巡した後の反動安を警戒する声が出ている。......
東証1部の前引け時点の売買代金(3547億円)と売買高(6億3360万株)はともに、昨年末以来の薄商いとなった13日以来、1週間ぶりの低水準に落ち込んだ。東京市場の売買の6~7割を占める海外投資家が本格的に戻ってきたとは考え難い。前引け時点の年初来高値更新銘柄数は32と8月のこれまでのピーク(69)から減少基調。ここまで高値更新を続けて相場を下支えしてきた好業績内需・消費関連株の上昇にも一服感が出ている。
個人投資家も今回の株高で心理が大きく改善しているとは言い難いようだ。松井証券の前週末時点の買い方の信用評価損益率はマイナス16.7%と、追い証(追加担保の差し入れ義務)が増えるとされるマイナス20%程度からの改善は目立たない。NEC、板硝子、シャープなど買い残の多い低位製造業株の戻りが鈍いためだ。
商いが増えないなかでは、きょうの続伸も「閑散に売りなし」の範囲と見ることもできる。「日本株の実力」とは受け止めにくい。1000億円規模の投信設定に伴う先物買いが押し上げた分は、市場関係者が想定しているよりも意外と多いのかもしれない。〔日経QUICKニュース(NQN) 吉田晃宗〕
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)( 株、強気サイン相次ぐチャート、増えない売買 相場の「実力」見極めは先送り/日本経済新聞/2012.08.20 )
【 引用記事 2 】
焦点:米企業は第2四半期の売上不振、景気見通しに暗雲/REUTERS/2012.08.20
[ニューヨーク 17日 ロイター] 米企業の決算シーズンの終了が近づくにつれて、景気の方向性について心配な問題が浮かび上がってきた。
トムソン・ロイターの調査によると、S&P総合500種指数の構成銘柄のうち既に第2・四半期の決算発表を終えた企業では、売上高が市場予想を上回った企業の比率が2009年以来最低の水準に落ち込んだ。......
投資家によると、第2・四半期の決算内容は今後の業績に警報を発している。通常、景気拡大局面の初期においてはコスト削減が利益を押し上げる形で業績が堅調に推移し、その後の段階で需要が増えるのに伴って売上高が追随する傾向にある。今回は景気拡大期に入って3年近くになるが、そうしたパターンが見られないのだ。
クレディ・スイス(ニューヨーク)のクウォンタティブ・リサーチ・アナリスト、パンカジ・パテル氏は「これは景気の減速を意味し、われわれがこれまで馴染んできた強気の業績見通しを示すものではない」と述べた。......
こうした経済面での材料はどれも目新しいものではないが、利益は68%の企業が市場予想を上回ったにもかかわらず、売上高が予想に届かない企業がこれほどの比率に達したのは驚きだ。
つまり各社は投資の拡大ではなくコスト抑制や事業の整理統合で増益を達成したのであり、このことは米失業率の高止まりに表れている。......
( 焦点:米企業は第2四半期の売上不振、景気見通しに暗雲/REUTERS/2012.08.20 )( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
景気状況というものには、"強気" で打開されてゆく場合とそうでない場合とがありそうだ。現状は、"強気" の構えだけでは済まない局面を迎えている気配のようだ ...... (2012.08.21)
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