eBooks 街角書店(adhocrat)の書棚へ |
好きで制作しているのだから、"制作上での苦労" を厭うことはないはずだ。しかし、継続していくためには、スキルの向上は当然として、多少なりとも "売れる" ことが欠かせない。それは、"こころざしへの支持、支援" という何ものにも代えがたい勇気づけが与えられるからだ。
確かに、エスタブリッシュなプラットホームに登録して、"露出度" を高めるという常套手段があるにはある。それで弾みがつけばそれはそれでいい。 しかし、名もない "インディー" の作品は "露出度" をいくら高めても結果にさほどの差が出てこないというのが相場なのかもしれない。
ちなみに、<大きな小売サイトでインディーのアーチストをプロモートして利益を上げることは不可能である>(下記引用サイト記事:個人経営の書店やレコード店の"味"と楽しさ-その復活を目指す新タイプeコマースreKiosk/TechCrunch/2012.08.25 )という事実が率直に指摘されている。
同記事によれば、そんな事実を出発点として、"新しいネットワークのプラットホーム" が立ち上げられたのだという。
<インディーの作品を同じ一つのプラットホームに集めてなおかつ、大手出版社などの名前に依存せずに良い作品を世に出す方法>の構築なのだそうだ。
<reKioskのユーザは、自分の好きな、あるいは自分が見つけたインディーアーチストの本やアルバムを集めて、キオスクの店主になれる。店主以外の一般ユーザは、人気のあるキオスクに薦められた本を買ったり、店主の蘊蓄(うんちく)を聞いたり、お店を単純に見物したり、いちばん多くのキオスクにあるアルバムはどれか調べたりする。物販の物理的なトランザクションは一から十までサイトが担当し、キオスクの店主には売上の25%が入る>
要するに、<キオスクの店主>という、いわば "インターフェイサー" たちの SNS ネットワークプロモーション活動がこの "新しいネットワークのプラットホーム" を形成することになり、インディーアーチストたちの作品の "露出量を稼ぐ" というわけである。
こうした SNS ネットワークプロモーション活動 を基軸にしたビジネス・モデルは、多分、誰もが一度は想定したことがあるに違いないリーズナブルな可能性を秘めていると思われる。
ウェブが普及し始めた頃に注目を集めた、あの "ポータルサイト" の存在価値も、こうした "インターフェイサー" たちの甲斐甲斐しい活躍だったはずだ。
おそらく、この種の "新しいネットワークのプラットホーム" の試みは今後増えてゆくに違いなかろう......。
ただ、そうしたものに遭遇する機会を待ちつつも、筆者なぞはひたすら "孤軍奮闘"(?) するばかりであり、"右上の「セルフパブリッシングの街角書店」" のような細々とした "露出量稼ぎ"(?)に勤しんでいる......。
個人経営の書店やレコード店の"味"と楽しさ-その復活を目指す新タイプeコマースreKiosk/TechCrunch/2012.08.25
eブックとデジタル音楽は本や曲を消費する主な手段になりつつあるが、デジタルの場で成功している小売企業の数はまだとても少ないし、いずれも大きな企業的サイトだ。reKioskは、デジタル化の過程で失われてしまった"そこらの小さなお店で買い物をする"楽しい経験を、Web上に取り戻そうとする。つまりreKioskは、個人書店や個人経営のレコード店が、インディーのアーチストをお客に薦めたり、いろんな買い物のアドバイスをするというスタイルを、インターネット上に再現したいのだ。reKioskのCEO Aziz Ishamには、デジタル出版の世界で仕事をした経験がある。しかし彼がそこで理解したのは、大きな小売サイトでインディーのアーチストをプロモートして利益を上げることは不可能である、という事実だ。"reKioskは、最初からインディーのデジタルメディアの販売とプロモーションを推進するために作られたサイトとしては初めてのサイトだ"、と彼は言う。
アーチストが自分の作品を自分のWebサイトで売る、というやり方もある。しかしそれには、露出量を稼げないという問題がある。したがってreKioskが挑戦しなければならなかったのは、インディーの作品を同じ一つのプラットホームに集めてなおかつ、大手出版社などの名前に依存せずに良い作品を世に出す方法を、見つけることだ。
しかしreKioskのやり方は、2010年までインディーミュージックだけを売っていたeMusicとは違う。reKioskが独特なのは、Ishamによれば、"デジタルのキオスク(小型店)がいくつもあって、それらが互いにソーシャルに接続してネットワークを作る。ネットワークは各キオスクの店主に彼らの売上の約25%を払う。誰の作品であるかは問わない"、というものだ。
言い換えるとreKioskのユーザは、自分の好きな、あるいは自分が見つけたインディーアーチストの本やアルバムを集めて、キオスクの店主になれる。店主以外の一般ユーザは、人気のあるキオスクに薦められた本を買ったり、店主の蘊蓄(うんちく)を聞いたり、お店を単純に見物したり、いちばん多くのキオスクにあるアルバムはどれか調べたりする。物販の物理的なトランザクションは一から十までサイトが担当し、キオスクの店主には売上の25%が入る。
reKioskは自己資金のみで立ち上がったが、その後Gilt Groupeの会長Susan LyneやPledgeMusicのCEO Benji Rogersからシード資金を得ている。
同社が期待するのは、より多くの露出を求めるインディーのアーチストと、彼/彼女らの早期発見者たちが、サイトに多く集まることだ。そして音楽通や本通である後者がキオスクの店主になり、買い物をする一般ユーザは店主の知識やセンスや人柄のファンになっていく。こうしてインターネット無き時代における楽しい買い物の場所だった、「名物店主のいる人気個人商店」というものの復活とそのネットワーク化を、reKioskは志向するのだ。
Ishamは言う、"毎週火曜日には、街角の小さな書店や個人経営のレコード店を訪ねるのが楽しみだった。そんなお店は今ではみんな、なくなってしまったけど、しかしネットの上にも本当は、味のある"個人"が、たくさん復活すべきなのだ"。
[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))
上記記事における "プラットホーム" は興味深い。
とくに、<「名物店主のいる人気個人商店」というものの復活とそのネットワーク化>という視点の有効性を疑う余地はない。
ただ、その "ネットワーク化" の形成方法に関しては、"一元的サイト" だけがすべてではなく、"インディー間ネット" や "店主間ネット" といった構成もありそうな気がしている ...... (2012.08.28)
コメントする