日毎ウォーキングをしていて、最近、気づかざるを得ない光景がある。
5、6キロのコースであるのに、その道すがら10箇所ほどの住宅建設中光景に遭遇するのだ。そして、それらのいずれもがほんのちょっと前までは畑地であったり、放置されて草ぼうぼうとなった元畑といった箇所なのである。
この夏は猛暑日が続いたので、そうした建築中の光景を見るたびに、大工さんなどの作業員はさぞかし大変なことだと思ったりしていた。
建築中の建物は、その多くが一戸建て住宅であり、建売り風である。さほど広くはない敷地なのに複数軒の住宅を設え、とても "落ち着いた風情" を備えた注文住宅とは言い難い......。
短期間でとにかくカタチを仕上げる(?)といった雰囲気が濃厚だ。
ちなみに、新聞の折り込み広告の点検に余念がない家内の話だと、そうした新築物件の多くが "建売り" ではなく "家賃12万円" とかの "貸家" なのだそうである。
この景気不安定な時期に、"一戸建て住宅の建売り" のラッシュというのも解せない話だと思っていたのだが、"賃貸住宅" 向けだとすれば成り行きが見えてきた。
あくまで推測の域を出ないが、地主(地元の農家)の高齢化が進む中で、"相続税対策" としての "ローン付の賃貸住宅経営" というスタイルが採用されているかのようである。よくある対応スタイルだ。
"相続" と言えば、以下のような光景も気になったものだった。
同じウォーキングコース上に、実に "風格" あふれた古民家(?)があった。"白壁の塀" と格式ある立派な "木製の門" があり、敷地内にはこれまた風情のある "白壁土蔵" が人目を引いていたものだった。
ところが、この夏、それらの一切が取り払われて、更地になってしまった。通りすがりの自分には関係のないことではあるが、好ましい建物という光景が失われてしまった喪失感は禁じえなかった。
由緒ありそうなそうした古民家(?)が取り壊されるには、きっと相応の事情があったに違いなかろう。が、想像し易い事情とは、やはり "相続税" 問題であろう......。
現在、<金融資産に不動産などの固定資産を加えた日本人の個人資産の合計は2600兆円。このうち約半分を65歳以上の高齢者層が持っている。>と言われ、今後これらの資産が後継者層に "相続" される。このスケールの大きさを踏まえて "大相続時代" と称するそうであるが、いよいよその幕開け、序章が繰り広げられようとしているわけだ。
そんな時期、奇しくも景気動向は "シュリンク経済" 以外ではない。"相続税" の納税のためには、あらん限りの "節税対策" が試みられると同時に、"不動産" を "現金化" する手立ても壮絶を極める......。元より、親族間での "相続トラブル" も想定を超えて炎上(?)したりもする......。税務署サイドが手ぐすね引く姿もありありと目に浮かぶ ...... (2012.09.10)
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