先日、目を向けた "無縁社員" 現象には、予想以上に多くの人が "憂え" の関心を寄せているようであった。
◆参照 濁流に押し流されているかの状態!"無縁社会/無縁社員"!"誰とも話さず一日終わる"!( 当誌 2012.09.06 )
さまざまな理由があるはずだが、"壊れていく会社" とでもいう事態に対するやり切れなさという思いが共通しているのではなかろうか......。
つい先ごろまでは、場合によっては家庭よりも強固な結束で求心力を発揮していた "職場集団" が、いつの間にか "誰とも話さず一日終わる" という寂しい現状へと変貌を遂げてしまえば、従業員としても、経営者としても今後への不安が募らざるを得ないはず。
しかし、"異様な現状" はこれだけで済んではいないようなのだ。文字通り "壊れていく会社" の一側面である "リストラ" が、"今を救う" ことと引き換えに "厳しい将来" を招くことになっているようなのである。
下記引用サイト記事:電機1万人削減、受け皿は中国 退職者"草刈り場"に/日本経済新聞/2012.09.08 では、この辺の戦々恐々とした事情が報じられている。
<電機大手で相次ぐリストラ策/国内で計1万人を超す人材が各社を去るが、その受け皿として採用を積極化しているのが中国企業/日本の電機・IT(情報技術)業界が人材の草刈り場に/日本企業からは人材とともに技術や顧客基盤が離れつつある......>
"リストラ策" は、それを講じざるを得ない "電機大手" にとっては、まさに "背に腹は代えられない" 選択なのではあろうが、企業の将来にとって大きな禍根となるばかりか、<今の人材流出は長い目で国力の低下につながりかねない>という憂慮すべき事態となっている。
電機1万人削減、受け皿は中国 退職者"草刈り場"に/日本経済新聞/2012.09.08
日本の電機・IT(情報技術)業界が人材の草刈り場になっている。NECやシャープ、ソニーが相次ぎリストラ策を発表。国内で計1万人を超す人材が各社を去るが、その受け皿として採用を積極化しているのが中国企業だ。景気情勢が厳しい中、再就職を目指す人には干天の慈雨な半面、日本企業からは人材とともに技術や顧客基盤が離れつつある。
■苦境のNEC、シャープ、ソニー...
円高や構造改革の遅れを背景に、電機大手で相次ぐリストラ策。NECは先月末、早期退職の応募を締め切った。結果は国内で2393人が応募。削減幅は海外を含め5300人と当初の目標達成にメドを付けた。......
「え、君も辞めてたの」――。都内のIT関連イベント。昨年末に8年勤めたNECを辞め、米系のIT会社に転職した山下徹さん(仮名、31)は驚いた。去年までNECで机を並べていた同僚2人が、いずれも他社のユニホームで展示技術を売り込んでいたからだ。
山下さんはNECで国内有数の電機メーカー向け営業を担当。だがここ数年は会社の業績が悪化し、「目標の倍の数字を稼いでもボーナスが下がった。会社の将来に自信が持てなかった」。転職した山下さんは、NEC時代の顧客とのパイプも役立てながら好業績を上げ、年収は倍に増えた。
早期退職の舞台裏で、会社に対して強く働く遠心力――。NECにとっては優秀な人材を失っただけでなく、顧客基盤も弱めたことになる。
NECだけではない。今春以降、ソニーやシャープなど「デジタル敗戦」組の人員削減の発表が相次いだ。電気機器産業のリストラ発表件数は1~7月で15件と、業種別2位の小売業(4件)などに比べ突出している。IT・電機分野の転職市場はかなり厳しいと思いきや実態は違う。最近では引く手あまたなのだ。
長年、電機産業でヘッドハンティングを手掛ける人材派遣大手幹部は「今はどちらかと言えば売り手市場」と明かす。その受け皿となっているのが、中国企業だという。
■華為やレノボ、週1回「入社式」
通信機器や携帯電話メーカーの華為技術(ファーウェイ、広東省)。東京・大手町にある日本法人の本社では、週に1度のペースで「入社式」が開かれる。2005年に20人だった日本法人の社員数は今では約590人。今年もさらに100人ほど増やす計画だ。NECや日立製作所も含め国内企業からの転職者が、入社式を通じて毎週のように中途入社する。......
「最近は中途採用でNTTとのパイプを持つ人材を積極採用している。その意味でNECの通信担当者などは最適」(人材派遣会社幹部)。電電ファミリーの長男格としてNTTに食い込んできたNECなどが草刈り場になっているという。......
華為技術以外の中国企業では、パソコン世界2位のレノボグループの日本法人がやはり毎週のように「入社式」を開催。通信機器の中興通訊(ZTE)も「日本の通信会社と接点がある営業要員を常に募集している」(採用担当者)という。
■技術・人脈など狙う 日本勢、発想の転換急務
技術流出の懸念はあるが、働き手には中国企業も貴重な雇用主。ある中国系に転職した40代男性は「政治的対立や福利厚生など不安はあるが、仕事はスピーディー。何より成長しているという活気がある」と話す。
米国でもヒューレット・パッカード(HP)などITの老舗で人員削減は日常的に起きている。だが、流出した人材がグーグルやフェイスブックなど新興企業に合流し、新しい活力を生む循環がある。日本大学の土肥一史教授は「日本ではそうした受け皿がない。今の人材流出は長い目で国力の低下につながりかねない」と危惧する。
とはいえ、韓国、台湾勢に続き、中国勢の急速な台頭をとめようがないのも事実。日本流の発想で閉じこもるか、逆に中国企業と組むなど伸び盛りのバイタリティーを取り込むか。日本の地盤沈下がもたらした人材流動化は、日本企業にグローバル時代の発想の転換を迫っているようにも見える。
(産業部 小高航)
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
グローバル時代とは、消費者にとっては、良き製品であれば "国産、非国産" を問わない時代であり、また働き手には中国企業も貴重な雇用主という判断が成り立つ時代。
とにかく、"前・時代環境" での "正攻法" の何もかもが奏功しなくなっている時代のようである ...... (2012.09.09)
コメントする