つい先日、<米下院情報特別委員会は、中国政府とつながりがあると見られる中国の民間企業2社の機器(ルーター、スイッチ等)の購入を米国の通信会社は避けるべきだとする報告書>をまとめた件について書いた。( ◆参照 "バックドア"!「中国通信大手の機器は危険」米下院委!不審なITの仕掛けは津々浦々?( 当誌 2012.10.10 ) )
その際、<"米中関係" に "緊張" が高まり始めたか(?)のようにも窺える......>と懸念したものであったが、どうもこうした懸念は取り越し苦労でもなさそうな気配だ。
下記引用サイト記事:コラム:米大統領選での中国叩き、過去と異なる「不吉な前兆」/REUTERS/2012.10.13 によれば、毎回、恒例のようになってきた "米大統領選" 最中の "中国バッシング" が、今回の場合は痛烈さを極めているという。
<今回の大統領選では不吉な前兆があり、これまでとは違った事態になる可能性を秘めている。 >と......。
そして、二三の根拠を挙げつつ、次のように懸念を深めている。
<中国バッシングは、もはや単なる定期的な政治ショーではなくなったかもしれない。/ 選挙が終わったからといって、色あせることはないだろう。/ 米中関係は極めて不穏な時代に突入しそうなのだ。>
ちなみに、当コラムニストの著書には 『2013年、米中戦争勃発す!』 があると記されているのが不気味である......。
コラム:米大統領選での中国叩き、過去と異なる「不吉な前兆」/REUTERS/2012.10.13
By Ted Galen Carpenter過去の米大統領選では、どちらの候補が対中政策で強硬な姿勢を示せるかを競い合うのが常だった。しかし、選挙が終わってしまえば、米国の対中政策の本質はほとんど変わることはなく、選挙戦の主張には程遠い現実に即したものに落ち着く。しかし、今回の大統領選では不吉な前兆があり、これまでとは違った事態になる可能性を秘めている。互いの対中政策に関する非難合戦は、これまでにないほど痛烈だ。 共和党候補のロムニー氏は、オバマ政権は貿易や人権、安全保障の問題において「中国政府への嘆願者同然だ」と批判。これに対し、オバマ陣営は選挙広告で、ロムニー氏は経営に携わった投資ファンド「ベイン・キャピタル」の活動を通じ、米国の雇用を中国に流出させたと批判。民主党はロムニー氏は大統領として、米国の企業を中国の略奪行為から守ることはできないと訴えている。......
オバマ氏は今回の選挙演説で、中国製タイヤに関税を課した決断を強調。中国が自国の自動車・自動車部品業界に不当に補助金を支給しているとして、世界貿易機関(WTO)に提訴したことも選挙キャンペーン中に明らかにした。これが、自動車部品を主要産業とするオハイオ州での演説で発表されたのも偶然ではない。......
......、今回の選挙戦では、一連の対中批判がこれまでの政治的駆け引きを超えるものになる兆候が顕著になってきた。ロムニー氏は、アドバイザーに対中強硬派として知られる元国連大使のジョン・ボルトン氏や、米プリンストン大教授のアーロン・フリードバーグ氏らを起用。オバマ政権には、対中政策が名実ともに変化してきたことを示す行動が数多く見られる。関税の課税やWTOへの提訴は経済面での一例だが、安全保障政策ではその変化がより顕著に表れている。
アジア重視に舵を切った「外交戦略の転換」は、明らかに中国の勢力拡大への懸念が背景にある。米国政府は、南シナ海での中国と東南アジア諸国の領有権問題や、日中間の尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題にこれまで以上に関与するようになってきた。こうした問題に対し、オバマ政権は中国の利益に反する立場を示している。これは超党派の方針とみられ、共和党は「南シナ海を不安定化させる」として中国政府を非難している。
超党派の中国批判は、米下院情報委員会で公表された新たな報告書でも明らかになった。報告書では、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が米国の安全保障上の脅威になる恐れがあると指摘。この報告書によって、同社の米国事業は大きく制限される見通しだ。
ただ、このような態度は、中国の指導部や国民の反発を招く。米国が尖閣問題で日本寄りの態度を暗に示したため、中国の複数の都市では先月、反米デモが発生。在北京大使館の敷地内に入ろうとした米国大使の公用車が襲撃される事件も起きた。
中国バッシングは、もはや単なる定期的な政治ショーではなくなったかもしれない。終わりが見えない米国の景気低迷と中国の驚異的な経済成長により、米国政治にとって中国は便利なスケープゴートになった。また、米国の財政赤字穴埋めを中国に頼らざるを得ないことも、中国に対するコンプレックスや腹立たしさにつながっている。世界的にも影響力が拡大した中国が、米国から世界一の大国の座を奪ってしまうことへの恐怖感も募っている。
これまで見てきた要素は非常に現実的であり、過去数十年間に比べるとはるかに強力な意味合いを持つ。また選挙が終わったからといって、色あせることはないだろう。すなわち、来年1月に誰が大統領に就任したとしても、米中関係は極めて不穏な時代に突入しそうなのだ。
(11日 ロイター)
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
米国も大統領選の直前なら、中国も "新政権" への移行期にあり、両国共にライバル国への "過激なパフォーマンス" を必要としているのかもしれないが、それにしても予断を許さない緊張の高まりようである ...... (2012.10.15)
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