つい先ごろの "ネズミ一匹でダウン!"(◆ 参照 福島第一原発 冷却停止の波紋/NHK NEWS WEB/2013.03.22 )騒動は、"原発" を運用する 東電 への国民からの "不信感" を高めずにはおかなかったはずだ。その他、一連の "事故調査" の公表に関しても、その不透明さが同様の "不信感" を刺激している。
それもそうだろう、と思えるのは、一度、大地震などによって事故に遭遇するならば、"3.11" の惨状の悪夢を再現してしまうのではないかという不安と常識感覚が働くからだ。
だからこそ、"原発の再稼働" をめぐる推移が気になってならないわけである。
しかし、この国民的課題に関して、国民は "納得のゆく情報開示" を受けていると言えるのだろうか......。少なくとも、"スッキリしない不透明感" が漂っているかに思えてならない。
下記引用サイト記事/【 引用記事 1 】:アングル:東電が柏崎刈羽再稼働へ準備着々、世論分断の再燃も/REUTERS/2013.03.30 は、この辺の喫緊の事情を伝えている。
しかし、この記事にしても、一言で言って、取材側の苦労が覗えるほどに、事情が分かりにくい。あえて分かりにくくすることが目論まれているわけもないはずだが、分かりにくい。
やれ「原子力改革監視委員会」だ、原子力規制委だ、新安全基準だ、「総合特別事業計画」だと、やたらに "目くらまし" 的名称が散在するし、「フィルター付きベント装置」、「沸騰水型軽水炉(BWR)」云々といった専門用語も多用されているからなのかもしれない。
そこで、愚者の知恵よろしく、用語を "色分け" してみて、ようやく事情が見えてきた思いだ......。
そして、見えてきた事情とは、要するに、東電 における<再稼働の本音と建て前>の "ダブルスタンダード" 以外ではない。以下の叙述部分がそれを表わしている......。
<広瀬社長は会見で、経営再建に向けた「総合特別事業計画」において、「(柏崎刈羽の)再稼働計画は持っていない」と述べた。総合計画では、2012年度から10年間にわたる収支計画が記載されており、13年4月から柏崎刈羽を順次再稼働することを前提に置いている>
<10年間の収支計画とその前提となる柏崎刈羽の再稼働は、総合計画の政府認定に伴い決定した金融機関からの1兆円融資の前提でもあり、放置はできない問題だ。4月からの再稼働は、新安全基準施行が7月なので前提が崩れているため、総合計画について広瀬氏は、「いずれ見直す必要がある」と述べる一方で、時期については「国と議論を進めるので言いにくい」と質問をかわした。ただ、ある関係者は「総合計画の見直しは秋になる」と話す。>
これでは、事情を納得してくれと言われても、ただただ困惑するばかりではなかろうか......。
【 引用記事 1 】
アングル: 東電が柏崎刈羽再稼働へ準備着々、世論分断の再燃も/REUTERS/2013.03.30
[東京 29日 ロイター] 東京電力が、最大の経営課題である柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働に向けた準備を着々と進めている。原子力規制委員会が策定中の新安全基準を満たす設備面での対策は、2013年度内には一通り要求が達成できるとの見通しを29日の会見で明らかにした。
未曾有の事故を起こした東電による原発再稼働は、世論の少なからぬ反発を招くのは必至だが、実現しない場合は電気料金の再値上げが現実味を帯びる。このため、柏崎刈羽再稼動の是非をめぐって昨年の関西電力大飯原発再稼働時と同様、激しい世論の分断が起きる可能性も否定できない。
<設備対策、新基準満たす対策は可能>
東電はこの日、昨年秋に立ち上げた「原子力改革監視委員会」を開催し、...... 広瀬直己社長が会見。同席した姉川尚史・東電原子力設備管理部長は、原子力規制委が7月に施行する新安全基準への柏崎刈羽における対応について、「設備面については、それほど時間をかけずに新安全基準を満たす対策は取ることは可能だと思っている」と明言した。
<沸騰水型で再稼働一番乗りも>
規制が2月に骨子案をまとめた新安全基準は、...... 過酷事故対策を法的に義務づけていることが柱の1つ。その主要項目が、緊急時に原子炉格納容器の圧力を下げるために蒸気を外に放出するに放射性物質を除去する「フィルター付きベント装置」だ。国内の原発には未導入導入の設備だが、規制委は、福島原発と同じ「沸騰水型軽水炉(BWR)」には再稼働時点で義務づける ......。
BWRを保有する電力会社は、「過酷事故対策の実施とフィルターベントの設置で数百億円、2、3年かかる」(中部電力)としている。...... 東電は柏崎刈羽7号機で1月、1号機で2月にフィルターベントを着工済み。「13年度内には完成すると思っている」(姉川氏)として、原子力規制委による新安全基準の下での再稼働審査申請への名乗りでは、BWRタイプでは柏崎刈羽が最速になる可能性がある。
<再稼働の本音と建て前>
ただ、東電は柏崎刈羽の再稼動に慎重姿勢を崩していない。広瀬社長は会見で、経営再建に向けた「総合特別事業計画」において、「(柏崎刈羽の)再稼働計画は持っていない」と述べた。総合計画では、2012年度から10年間にわたる収支計画が記載されており、13年4月から柏崎刈羽を順次再稼働することを前提に置いている。この点について広瀬社長は、昨年実施した電気料金の値上げを申請した際の前提だと説明、「改革をしないと原発を動かす資格がない」とし、再稼動ありきではないと強調する。慎重姿勢の背景には事故の当事者として、柏崎刈羽の再稼働には昨年の関電大飯原発の再稼働決定以上に強い世論の反発の可能性を意識しているとみられる。
10年間の収支計画とその前提となる柏崎刈羽の再稼働は、総合計画の政府認定に伴い決定した金融機関からの1兆円融資の前提でもあり、放置はできない問題だ。4月からの再稼働は、新安全基準施行が7月なので前提が崩れているため、総合計画について広瀬氏は、「いずれ見直す必要がある」と述べる一方で、時期については「国と議論を進めるので言いにくい」と質問をかわした。ただ、ある関係者は「総合計画の見直しは秋になる」と話す。
<再稼働か再値上げか>
7月の新安全基準の施行により規制委は3つの検査チームを編成し、各電力から提出される安全審査にあたる。...... 東電の説明通り、13年度中に柏崎刈羽の設備面での安全対策が完了すれば、東日本に拠点を置く産業界から「柏崎刈羽の安全審査を急げ」との声が高まる可能性もある。
柏崎刈羽の安全審査が遅れた場合、電気料金の再値上げが避けられない情勢だ。経済産業省は昨年11月、「事業者の自助努力の及ばない電源構成の変化があった場合」で、火力発電の燃料使用量アップによりコスト負担が増大した場合は、抜本的な原価の見直しを行うことなく、料金の値上げを可能とする省令改正を行った。昨年の電気料金値上げで認可を受けた東電にはこの方式で従来に比べ簡易に値上げが認められる可能性があり、再値上げの制度上のハードルは前回に比べて高くはない。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
【 引用記事 2 】
東電が供給力また「未定」 柏崎刈羽の再稼働見通せず/SankeiBiz/2013.03.28
東京電力は28日、2013年度の供給計画を発表し、供給力の見通しを12年度に続いて「未定」とした。停止中の柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働時期が見通せないため。経営再建策を盛り込んだ総合特別事業計画では4月から同原発を順次再稼働する方針を示したが、計画変更に追い込まれた形だ。
原子力規制委員会が7月に新安全基準を施行するまでは原発の再稼働は事実上できない。東電の担当者は「4月(の再稼働)が難しいというのは認識している」と説明。「できるだけ早く原発の安全対策を進める」と述べ、引き続き再稼働を目指す姿勢を示した。
原発の開発計画では、東通1、2号機(青森県)の運転開始時期を12年度に続き「未定」とした。地元で廃炉を求める声が強い福島第2原発(福島県)は廃止対象としていない。
"原発の再稼働" の是非をめぐる議論は、言うまでもなく信頼性の高い "安全性基準" によって導かれる以外はないはずだ。
そのためには、何よりも先ず、"情報開示" における "不透明さ" が払拭されなければならない。現状は、"経営/経済" 優先の文脈でこの点が撹乱されている気配だ...... (2013.03.31)
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