二年前の "3.11" という悲惨な "自然災害" とその後を振り返る時、誰もが思うことは、もし "原発事故" という "人的災害" さえ無かったならば、どんなにか "復旧/復興" 作業の道のりに苦悩が少なかったか! という点ではなかろうか。"放射能汚染" という未曾有の悪条件が伴わなかったならば、救われた命がもっと多かったのではないか、と。
だから、本来を言えば、今日のこの "追悼式典" にあっては、"脱・原発" への "誓い" こそが最もふさわしいコンセプトではなかったかと思う。
ところが、この国は、"愚かなのか、正気ではないのか" といったそんな根本的な疑念を抱かせるような方向へと突き進もうとしている。
元より、"安全な原発" という言葉ほど矛盾に満ちたものはない。まして、この国では "3.11" という、世界史上でも稀有な "悲劇" を実体験してしまったわけだ。
なおかつ、現在、日本列島は、これまでにない程に "巨大地震" 発生の確率を高めていることが明らかになっている。この国は、"愚かなのか、正気ではないのか" と直感するのはそれ故にこそである。
誰も、この最悪の悲劇に対しては、責任なぞとれるはずがないのだ。現状でさえ、政府による事故調査も、除染作業もまさに中途半端さを曝け出している。これが責任を果たしている姿だと、一体誰が評価できるのであろうか。
それにしても、現在の自民党政権による "原発政策" は "超ダーティ" だと感ぜざるを得ない。国民の眼が届きにくい舞台裏では "アンフェア" なことを開け透けに進めても恥じることがない......。
その "超ダーティ" さの "氷山の一角" を、下記引用サイト記事:自民、有識者の顔ぶれが示す「脱・原発ゼロ」への道 霞が関オフザレコード/日本経済新聞/2013.03.09 は表面化させている。
<経済産業省が刷新した「総合資源エネルギー調査会総合部会」の委員の顔ぶれが答えを示す。選ばれた有識者のうち脱原発派が大幅に減り、原発政策を修正する道筋が固まった/ 人選では経産省首脳が「どういう答えをだすかを考えて部会の人選をするように」と内々に指示を出した。委員の15人中10人が再選するなかで飯田哲也・環境エネルギー政策研究所所長や枝広淳子・環境ジャーナリストら脱原発派は相次いで「落選」。素案にあった伴英幸原子力資料情報室共同代表の名前も名簿から消えた。......脱原発依存の路線は白紙撤回がはっきりした。/ 脱原発派を減らす動きは環境省でも起きていた。......最終案の30人から5人減らしたが、そのうち3人が脱原発派だった/ 安倍晋三首相が「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指す方針について「ゼロベースで見直し、責任あるエネルギー政策を構築していく」とオバマ米大統領に表明した。人選を見れば自民党の責任とは原発の活用だとわかる。>
先の衆院選では、国民は、こうした原発政策を進める自民党を選択したとでも言うのだろうか......
自民、有識者の顔ぶれが示す「脱・原発ゼロ」への道 霞が関オフザレコード/日本経済新聞/2013.03.09
原発ゼロか否か。東日本大震災以降、前民主党の政権下で2年間続いた論争に、自民党政権が終止符を打とうとしている。
経済産業省が刷新した「総合資源エネルギー調査会総合部会」の委員の顔ぶれが答えを示す。選ばれた有識者のうち脱原発派が大幅に減り、原発政策を修正する道筋が固まった。15日から再開する議論では、原発の稼働を前提にエネルギー基本計画を話し合うことになる。
「議論することが目的の議論にはこりごりした」。経産省幹部は悪夢を断ち切るように首を振る。前民主党政権はエネルギー基本計画を決めるための「基本問題委員会」で、平場の議論を33回重ねた。24人の委員のうち8人が脱原発派。原発を使うのかどうか、平行線の議論は収拾できず、答えを出せないままに昨年末の政権交代を迎えた。参加した委員は「メモ取りの随行者も途中からあきれて来なくなった」と語る。
堂々巡りの議論の空転を避けるため、年明けから始まった人選では経産省首脳が「どういう答えをだすかを考えて部会の人選をするように」と内々に指示を出した。委員の15人中10人が再選するなかで飯田哲也・環境エネルギー政策研究所所長や枝広淳子・環境ジャーナリストら脱原発派は相次いで「落選」。素案にあった伴英幸原子力資料情報室共同代表の名前も名簿から消えた。茂木敏充経産相は委員発表時の会見で「個々の問題について白組赤組ということで議論が分かれることを期待しているわけではありません」と強調したが、脱原発依存の路線は白紙撤回がはっきりした。
当初は青森県の三村申吾知事の名前も挙がっていたが、経産省によると打診はしなかった。委員の一人は「青森県が原発推進の代わりに求める核燃サイクルの議論に突っ込まないためだ」と勘繰る。代わりに再稼働を待つ原発が多く立地する福井県の西川一誠知事が入った。
基本問題委員会を存続してメンバーだけを入れ替える案もあったが、脱原発派を減らすだけでは経産省が批判の矢面に立たされる。議論の場そのものを変えるほうが得策と判断した。慎重に人選を進めた結果、再生エネや環境など各界の専門家がバランスよく名を連ね、原発二分論を超えた議論の土台はできた。「若い人の意見もいれられるようにしたかったけど、あまりうまくいかなかった」。若手官僚は若返りにつながらなかったことを認める。
脱原発派を減らす動きは環境省でも起きていた。前の中央環境審議会の委員の任期は1月5日まで。環境省は10月から人選を始めて候補者の承諾もとりつけ、12月下旬の就任直後に石原伸晃環境相に提示した。石原環境相は「政権にふさわしい人選によく見直してくれ」と練り直しを指示。最終案の30人から5人減らしたが、そのうち3人が脱原発派だったとされる。
先の日米首脳会談では安倍晋三首相が「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指す方針について「ゼロベースで見直し、責任あるエネルギー政策を構築していく」とオバマ米大統領に表明した。人選を見れば自民党の責任とは原発の活用だとわかる。答えを決めて走り出す。民主党にはできず、自民党は得意のスタートダッシュだ。
"決められない政治" を "決める政治" へという "聞こえの良いスローガン" を逆手に取るかのような "超ダーティ" な "政治手法"! 事は、未来にわたるこの国の安全に関わる大問題であるだけに、とにかく、"何でも決めさえすればいい" というものではないはずだ。
また、こうした "政治手法" に類することが、"政府原発事故調査" でも進められていたようなのである。( c.f. NHK番組 ETV 特集『何が書かれなかったのか ~政府原発事故調査~』 )
経済がすべてであるかのような風潮の中で、国と社会の大事な選択を仕損じるかのような昨今の世相...... (2013.03.12)
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