"グローバル化と技術革新という2つの波" にさらされた現代という時代は、<「勝者総取り経済/世界」>という特徴が刻み込まれているという。(下記引用サイト記事:コラム:「勝者総取り世界」で普通の国が生きる術/REUTERS/2013.04.18 )
この特徴は、広く現代世界の国家間の関係にも、また社会における個人間の関係にも見出せるところの現代特有の特徴なのであろう。
いつの頃からか、「ひとり勝ち」という奇妙な言葉が頻繁に使われ始めたことを思い起こす。そして、何やら "時代特有" の現象なのかもしれないと人々は感じ始めたようだ。
上記の<「勝者総取り経済/世界」>とは、まさにこうしたコンセプトだと見なして差し支えなさそうだ。
なぜ、こうした現象が強まるのかという理由を詮索するのは措くとして、こうした現象を大きな特徴とする現代にあっては、それ相応の "処し方(術)" が模索されても良さそうな気配である。
旧態依然とした従来どおりの "処し方(術)" では、思いどおりの結果が得られないだけでなく、ただただ埋没し黙殺されてしまいがちなのが現代という時代のようである......。
この点は、下記引用サイト記事にある国際関係での<国の立ち位置>に限らず、"諸個人の立ち位置(生き方)" にも当てはまりそうな雰囲気がある......。
若い世代にあっては、既にこうしたトレンドを察知するばかりか、日常のサバイバル(ex. 就職戦線)で実践しているはずであろう。
したがって、今さらという気がしないわけでもないが、こうした現代環境で求められる "処し方(術)" に目を向けてみた。
下記引用サイト記事では、 "出発点となる3点" が指摘されている。
第一点、<押し寄せる波に抗わないこと>
言うまでもなく、<押し寄せる波>とは、<グローバル化と技術革新という2つの波>のことであり、もはや既成事実化しているこれらに "抗って" みても始まらない、ということになろうか。
第二点、<戦略的なニッチ市場を見つけること>
つまり、<勝者総取りという枠組みの中でビジネスを展開する際には、どの分野で勝負するのかを戦略的に考える必要がある>ということになる。
この点こそが、"一点突破、全面展開" の "ブレイク・スルー" のポイントなのである。が、言うは易く行うは難し! に違いない。
第三点、<世界が誤った方向に進む時には、その流れに逆らう自信も持ち合わせていなければならない>
ここに、このコラム筆者の良識が滲み出ていると思えるのだが、<「世界の潮流」は、時として誤った方向へと向かう可能性がある>ことを洞察するならば、不可欠な "フェールセーフ" の視点だと思われる。
国も、組織も、そして諸個人も、現代という "過激な競争空間" の中でサバイバルするためには、それ相応の "処し方(術)" が不可欠だとするリアルな視点に、殊更、反論する理由は見つからない......。
コラム: 「勝者総取り世界」で普通の国が生きる術/REUTERS/2013.04.18
By Chrystia Freeland
グローバル化と技術革新という2つの波が押し寄せるなか、国家はどのような舵取りをすればよいのだろうか。漠然とした問いに聞こえるなら、そうした波に乗り損ねて未来に暗雲が立ち込めたキプロスの国民や、波に乗ろうとせず脅威を振りかざすだけの北朝鮮のことを考えれば、問題が見えやすくなるだろう。
21世紀の地政学的変化について語るとき、世界はかつての米ソ対立の冷戦時代から米中による新たな二極構造に移っており、その2国間関係が世界のムードを決めるという論調が多い。
それは間違いではない。ただ、米国人でも中国人でもない人にとってはどうだろう。その他の「普通の国家」にとって、世界はどう変わり、その変化にわれわれはどう対処すべきなのか。
最も大きな変化は、ビジネスがグローバル化したことだ。企業や資本は国境を軽々とまたぎ、人々もまた国際化している。しかし、世界はボーダレス化しても、平坦な場所になったわけではない。むしろ世界には高低差がたくさんあり、経済力による格差はさらに広がりをみせている。
われわれは「勝者総取りの経済」の中に生きており、個人であれ企業であれアイデアであれ、勝者は世界のごく一部の都市にますます集中している。例えば、ニューヨーク中心街157ウエスト57丁目に建設中の豪華なビルや、ロンドンのナイツブリッジにある高級マンションは、勝者が集う場所の一例だ。
世界の頂点に君臨する勝者でないのであれば、自国の立ち位置を理解することが21世紀の政治にとって大切なこととなる。このことを考える上で、以下に挙げる3点が出発点となる。
まず初めに、押し寄せる波に抗わないことだ。私がスウェーデンのカール・ビルト外相と話した時、彼は「もっとスウェーデンに世界を取り入れたいし、スウェーデンを世界に広めたい」とし、国際化を享受することが大切だと語っていた。また、いわゆる頭脳流出については懸念していないとし、むしろ「若者には海外で勉強し、海外で就労することを勧めている」という。
2点目は、戦略的なニッチ市場を見つけることだ。グーグルのシュミット会長のような技術系のリーダーたちは、ある分野でごく少数のプレーヤーに突出して力が集まるという「べき乗則」を重視している。ITの世界で強大な力を持つグーグル、フェイスブック、アップルはこの法則の好例と言える。勝者総取りという枠組みの中でビジネスを展開する際には、どの分野で勝負するのかを戦略的に考える必要がある。これは国家に関しても同じことが言える。
しかし、トロント大学ロットマン経営大学院のロジャー・マーティン学長は、ある逆説的な危険について警告する。もし自分が参入するニッチ市場が非常に大きな意味を持つようになってしまえば、小規模のプレーヤーが力を持ち続けるのは難しくなるということだ。
カナダとテキサス州を結ぶパイプライン「キーストーンXL」はその一例だ。同学長は、このパイプラインがニッチ市場のものであれば、カナダにとって問題はなかったと説明する。「しかし、もはやこれは単なるパイプラインではなく、エネルギーと持続性という世界で最も重要な問題の1つとなってしまった」とし、カナダは厳しい状況に立たされていると語った。
そして3点目だが、これが最も難しい。スウェーデンのビルト外相が語った「世界の潮流」は、時として誤った方向へと向かう可能性がある。賢明な国家の指導者なら、世界の対話に耳を傾け、その輪に入るための努力が必要である。だが同時に、世界が誤った方向に進む時には、その流れに逆らう自信も持ち合わせていなければならない。
カナダはこれまで、この最後の点について好成績を残している。銀行の規制緩和を行わず、イラク戦争にも参戦しなかったことは、今になって考えれば良い判断だったように見える。
50年前にカナダの首相に就任したレスター・ピアソン氏は、戦後の国際的な枠組みを築き、その中でのカナダの立場を確保することに成功した。今のカナダを引っ張るリーダーたちも、世界における新たな戦略を生み出す必要がある。今や世界はナンバーワンでないものが生き残るには厳しい場所となってしまったのだ。
(16日 ロイター)
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
しかし、決して<勝者>ではない<その他の「普通の国家」> "その他の「普通の人々」" のすべてが、まるで "戦闘員" のごとく振舞わざるを得ない、そんな世界を、決して美しいとは思えないのだが...... (2013.04.25)
コメントする