日経平均株価の "乱高下" が、当面の経済情勢への不安を煽っている中、28日の東京市場で、< 前日比 +169.33 > に落ち着いたことは、人々がまずまずホッとして胸を撫で下ろす結果だったのかもしれない。
ただし、その事実とどう関連しているのかは定かではないが、"株価が落ち着く" 事態とは裏腹に、"日本国債10年物" の "金利" が以下のとおり上昇している。
<長期金利(%) 0.905 +0.0070 28日 15:41>( 日本経済新聞 )
そこで、ちょうど昨日、昨今の "長期金利上昇( 赤字国債問題 )" への危惧を主旨とした "報告書( by 財務相の諮問である機関財政制度審議会)" が、下記引用サイト記事:「差し迫った」財政健全化、成果なければ緩和効果「減殺」=報告/REUTERS/2013.05.27 のとおり発表されたことについて目を向けておきたい。
先ず、次のような<警告> がなされる。
<政府の財政健全化目標の堅持を訴え、「具体的な成果をあげなければ、財政ファイナンスとの疑念から金利急騰を招き、金融緩和の効果を減殺させることになりかねない」>
そして、<政府・与党内にくすぶる追加財政出動論> に対して、
<補正予算編成(は)財政審報告の精神に反する> とダメ押しをする。
現時点で警戒されるべきは、以下の点だと強調する。
<財政健全化に対する政府の姿勢を市場が疑えば、長期金利が急騰するリスク> が立ち現れること!
<高齢化の進行による貯蓄率の低下や経常収支黒字の減少、金融取引のグローバル化などの変化を見据えると「日本国内の資金が日本国債の購入に向かうという保証はない」> こと!
<「国債が市場から安全資産であると信認されることが国債の安定消化にとって最も重要な条件だ」> ということ!
したがって、
<政府は「物価安定、金利安定のアンカーが今や財政規律にあるとの認識に立ち......財政再建実現に向けて「中期財政計画で具体的な数値や工程表を提示し、実現が十分に可能な経済の展望を適切に見通すべきである」> と。
現状の世相は、"円安/株高" だけに関心が向けられているようなので、おそらくこうした "深慮遠望" の分析、観測が冷静に受け容れられる確率は低いのではないかとも推測される......。
「差し迫った」財政健全化、成果なければ緩和効果「減殺」=報告/REUTERS/2013.05.27
[東京 27日 ロイター] - 財政制度審議会(財務相の諮問機関)は27日、異次元緩和などアベノミクスの「一の矢」、「二の矢」によって財政健全化の必要性はこれまで以上に差し迫った課題となっているなどとする報告書を正式にまとめ、麻生太郎財務相に提出した。
報告書では国と地方の基礎的財政収支の赤字を15年度までに国内総生産(GDP)比で10年度から半減、20年度に黒字化する政府の財政健全化目標の堅持を訴え、「具体的な成果をあげなければ、財政ファイナンスとの疑念から金利急騰を招き、金融緩和の効果を減殺させることになりかねない」と警告。財政健全化目標達成には「15年度までに消費税率を段階的に10%に引き上げることが前提となっている」と明記し、消費税率を予定通り引き上げるよう促した。
報告書は、政府が6月半ばに決定する経済財政運営の指針「骨太の方針」や同方針をもとに策定する中期財政計画に反映させたい考え。
<補正予算編成 財政審報告の精神に反する>
終了後会見した吉川洋会長(東京大学教授)は、経済成長と財政再建を対立的にとらえることは誤った見方だと強調。財政再建は「持続的な成長の必要条件である」と述べ、財政審報告書に沿って、政府は真正面から財政再建に取り組む必要があると提言した。政府・与党内にくすぶる追加財政出動論にも「さらなる補正を組むことは、報告書のスピリットに沿っているとは思わない」と退けた。
<財政規律が金利安定のアンカー>
報告書は、今後、日銀が2年間で大量の国債を購入していく中、財政健全化に対する政府の姿勢を市場が疑えば、長期金利が急騰するリスクを警戒。高齢化の進行による貯蓄率の低下や経常収支黒字の減少、金融取引のグローバル化などの変化を見据えると「日本国内の資金が日本国債の購入に向かうという保証はない」とし、民間資金の存在が国債の安定消化の十分条件ではない点にも留意する必要があると指摘。「国債が市場から安全資産であると信認されることが国債の安定消化にとって最も重要な条件だ」とした。
そのうえで、政府は「物価安定、金利安定のアンカーが今や財政規律にあるとの認識に立ち、『財政ファイナンス』との疑念を招くことのないよう、市場の信認維持に努めなければならない」とし、政府の財政健全化目標達成に向け「既にコミットしたスケジュールに沿い着実に実現していくことが極めて重要だ」と強調。
財政再建実現に向けて「中期財政計画で具体的な数値や工程表を提示し、実現が十分に可能な経済の展望を適切に見通すべきである」とし、過度に高い成長に依存した楽観的な見通しに警鐘を鳴らしている。さらに報告書は目標と整合的な予算編成を求め、社会保障、地方財政、社会資本整備、防衛、文教など各分野での見直しも求めた。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
しかし、 アベノミクスが孕む財政赤字リスク!長期金利が急上昇(国債は暴落)してからでは遅い!( 当誌 2013.05.16 ) という厳粛な事態は、ジワジワと煮詰まっているのかもしれない...... (2013.05.29)
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