"地球温暖化" への "対策" が、決して容易ではないことの理由のひとつには、世界および各国の "経済成長" との兼ね合い、というリアルな問題が潜んでいるからであろう。
この "対策" には、経済領域での問題( "コスト問題" )が絡んでいるだけに、"経済的(コスト的)視点" を盛り込んだ "知恵" としての "排出量取引(Emissions Trading)" 制度が採用されたりもしているわけなのであろう。
そんな実情があるだけに、昨日の "地球温暖化と大規模洪水" というテーマに関しても以下のような感想を添えた。
<"地球温暖化" は、回避不能の現象なのだと悲観的に見なしてしまうのか、あるいはそれを抑止するためのコストと、その被害発生に向けた対策コスト、復旧コストなどの膨大な合計とを、冷静に比較できる聡明さや判断が求められている......>( 地球温暖化で"100年に1度の大規模な洪水"が世界各地で増加!温暖化前提の洪水対策要!( 当誌 2013.06.11 ) )
図らずも、こうした"経済的(コスト的)視点" を駆使した"地球温暖化" 対策 についての "試算" が報じられた。
下記引用サイト記事:IEA試算:今すぐ温暖化対策強化なら費用3分の1以下に/毎日新聞/2013.06.11 がそれである。
<国際エネルギー機関(IEA)は10日、各国が今すぐ、効率の悪い石炭火力発電所の建設を禁止するなど温暖化対策強化に乗り出せば、対策を2020年以降に先送りした場合に比べ、必要な費用を3分の1以下に抑えられるとの試算を盛り込んだ報告書を発表した/ 対策強化を先送りすれば、1兆5000億ドル(約150兆円)の対策費を負担せずに済むが、20年以降に5兆ドル(約500兆円)の追加投資が必要になる> とある。
もちろん、"地球温暖化" 問題は、"負担コスト" の問題だけに止まらない。
昨日も注目したように、<100年に1度しか起きなかったような大規模な洪水が50年から5年に1度の割合で起きるようになり、発生の頻度は2倍から20倍に増加する> ような大災害を引き起こし、膨大な数の人命を奪うことにもつながりかねない。
まさに、今でしょ! 温暖化対策強化に乗り出すのは! ......。
IEA試算:今すぐ温暖化対策強化なら費用3分の1以下に/毎日新聞/2013.06.11
【ボン阿部周一】 国際エネルギー機関(IEA)は10日、各国が今すぐ、効率の悪い石炭火力発電所の建設を禁止するなど温暖化対策強化に乗り出せば、対策を2020年以降に先送りした場合に比べ、必要な費用を3分の1以下に抑えられるとの試算を盛り込んだ報告書を発表した。
報告書によると、12年の世界の二酸化炭素(CO2)排出量は11年より1.4%増え、316億トンと過去最高に達した。最大排出国の中国は前年比3億トン増加。日本も同7000万トン増え、「東京電力福島第1原発事故で原発停止が長引いて火力発電が増えた分を、省エネで埋め合わせられなかった」と分析。一方米国は、火力発電が石炭からシェールガスに転換したことで2億トン減少した。
各国は世界全体での気候変動の影響を軽減するため、産業革命前からの気温上昇を「2度未満」に抑える目標で合意している。
報告書はCO2排出量が現状のまま増えれば「長期的には3.6〜5.3度上昇する可能性が高い」と指摘。20年までに家庭・産業・運輸の各部門での省エネ基準設定や、効率の悪い石炭火力発電所の建設・運転規制など4種の対策を取れば、2度未満を達成できる余地は残るとした。
その上で「対策強化を先送りすれば、1兆5000億ドル(約150兆円)の対策費を負担せずに済むが、20年以降に5兆ドル(約500兆円)の追加投資が必要になる」と指摘した。
ドイツ・ボンで開催中の国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)の準備会合で、フィゲレス条約事務局長は「世界は今後10年で経済成長に影響を与えることなく(2度未満の目標を)達成できるはずだ」との声明を出した。
"望ましくない事象" の "発生" へのアプローチとしての、"事後対策" と "未然対策" との "コスト比較" はさまざまなジャンルで試みられているようだ。
そして、"聡明" な行政主体が、"未然対策"(予防措置など)に踏み切って、"聡明" な "コスト削減" を達成しているケース( ex.エイズなど)にも注目さている。
「愚者の後知恵!」という言葉があるが、"未然対策" こそは "賢者の先見性!" だと思われる...... (2013.06.12)
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