「戦争は終わっていない」! と言われてみれば、その否定し難い説得性に思わず心を傾けてしまう。
一触即発の観さえある東アジアの不穏な情勢があり、米軍基地で埋め尽くされている沖縄の戦時(?)状況もある。そして、何よりも傾注すべきは、この "終戦" を促したとされている "広島・長崎" に投下された "原爆"、その核兵器が、今なお "廃絶" されていないばかりか、相変わらず世界を "恐怖と狂気" で包み込んでいるからだ。
しかも、世界で唯一の "被爆国" であるこの国、日本は、"核兵器廃絶" を唱えつつも、次のように、喫緊の "核兵器の非人道性を訴える共同声明" には署名しなかった! というサプライズまで上乗せされているのだ。
<4月24日午後4時、スイス・ジュネーブ。2年後の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けた第2回準備委員会で、核兵器の非人道性を訴える共同声明が発表された。南アフリカやスイスなど最終的に80カ国が賛同したが、日本は署名しなかった/ 「安全保障環境は厳しさを増し、米国の核戦力を含む日米同盟の抑止力で自国の安全を確保する必要がある」と強調/ 「被爆国の日本は核兵器の非人道性を最初に主張した。しかし核抑止論に固執し、多くの国が核の非人道性を訴える新たな潮流の中で、置きざりにされつつある」......>
( (孤立する日本)核兵器非難の声明「署名せず」の舞台裏/朝日新聞/2013.08.03 - 03:21 )
この時期に、「戦争は終わっていない」! と喝破したのは、下記引用サイト記事【 引用記事 1 】:ストーン監督「戦争は終わっていない」/NHK NEWS WEB/2013.08.15 - 04:12 が伝えるとおり、米国の社会派映画監督オリヴァー・ストーン監督だ。
<ベトナム戦争を題材にした社会派の映画作品などで知られるアメリカのオリバー・ストーン監督が、14日夜、沖縄県宜野湾市で講演し、「多くの基地が存在する沖縄の現状を見ると、まだまだ戦争は終わっていないという印象を受ける」と述べました>
オリヴァー・ストーン監督と言えば、ベトナム戦争の狂気と暗部をこれまでにないリアルな視点で描き出した『プラトーン』(1986年度アカデミー賞作品賞受賞。彼自身もベトナム帰還兵。作品は凄絶なる体験を告白した自伝的作品)の社会派映画の巨匠。
同監督の透徹した視線と視界に映った沖縄の現状からは、未だに沖縄とそこから覗ける世界の実態は、"戦時体制" としか見えなかったようなのである。
壮絶な沖縄戦を知らないはずのない同監督が、沖縄の人たちの "消えない記憶" に寄り添いつつ述べた言葉が、「戦争は終わっていない」であったことは、政治を司る者たちが口にしている硬直、形骸化した綺麗事の羅列を見事に粉砕して余りある......。
【 引用記事 1 】
ストーン監督「戦争は終わっていない」/NHK NEWS WEB/2013.08.15 - 04:12
ベトナム戦争を題材にした社会派の映画作品などで知られるアメリカのオリバー・ストーン監督が、14日夜、沖縄県宜野湾市で講演し、「多くの基地が存在する沖縄の現状を見ると、まだまだ戦争は終わっていないという印象を受ける」と述べました。
来日中のオリバー・ストーン監督は、広島と長崎で原爆の日の式典に出席したあと、13日からは沖縄に滞在しています。
沖縄では、9年前にアメリカ軍のヘリコプター墜落事故が起きた沖縄国際大学や隣接する普天間基地、それに移設先とされている名護市辺野古などを見て回り、14日夜、宜野湾市で講演しました。
この中でストーン監督は「多くの基地が存在する沖縄の現状を見ると、まだまだ戦争は終わっていないという印象を受ける」と述べました。
また、普天間基地の移設問題については「辺野古に基地が建設されれば、埋め立てによって美しく豊かな海が汚されてしまう」と反対の意見を述べました。
参加した35歳の女性は「ストーン監督が沖縄の現状をどう感じたかを知りたくて来ました。監督の力強さに圧倒され、私も沖縄の思いをもっと外に発信したいと思うようになりました」と話していました。
【 引用記事 2 】
オリバー・ストーン監督 都内で講演/NHK NEWS WEB/2013.08.11 - 17:50
社会派の映画作品で知られるアメリカのオリバー・ストーン監督が、原爆が投下された広島と長崎を初めて訪れたあと東京都内で講演し、「被爆者たちは生きている間に核兵器が廃絶されることを望んでいる」などと訴えました。
オリバー・ストーン監督は、ベトナム戦争の現実を描いた「プラトーン」など社会派の作品で知られる監督で、去年、アメリカの原爆投下の正当性に疑問を投げかけるドキュメンタリーを制作しました。
ストーン監督は、今月4日に来日し、原爆が投下された広島と長崎で行われた式典に初めて出席したあと、11日、東京都内で講演しました。
この中で、ストーン監督は「広島と長崎を訪れて被爆者と会い、当時、全く治療を受けられなかったことなどを聞いて驚いた」などと話しました。
さらに「被爆者たちは生きている間に核兵器が廃絶されることを望んでいる」などと訴えました。
ストーン監督は、このあと沖縄を訪れ、基地問題について講演することにしています。
「いつか来た道」とも言われる戦争への流れは、たとえ "源流" は緩やかであっても、やがて "土石流" と化し、そうなるともはや狂気の激流を阻むことが不能となり果てる。
制御できるのがどの範囲の流れであるのかを、聡明な知性と想像力をもって監視するほかないのだと思われる...... (2013.08.16)
コメントする