"睡眠の重要性" については、誰もが異論を差し挟むことはなかろうと思われる。だが、問題は、その切実さや優先順位の付け方なのかもしれない。
ただでさえ、一日という限られた時間の中でやるべきこと、やらなければならないことはその範囲に収まり切らないほどに多い。
また処理効率も思うようにならないと来れば、一見、残された手は、睡眠を切り詰めることしか無いように思われる。
しかし、ここでこそ "視点の180度転換!" が必要であるに違いない。
要は、"質の高い睡眠" がもたらす "効果/生産性効果" が実は思いのほか大きい! という簡単な事実なのである。この事実に確信を持つべきなのだと思われる。
頭脳の働き方、気分の高揚、そして身体的な出力に格段の差が生じるのである。
自分は、毎朝の "サイクル・トレーニング" を日課としているが、その際にも、"明瞭な自覚" が訪れる。前夜、あほくさい夢などで引き廻されてしまい睡眠が劣化していたならば、ペダルを蹴る "腿筋" が何とギクシャクしていることか。その反対に、"腿筋" が鋼鉄のクランク・マシーンのごとく(?)スムーズに感じられる時は、決まって、前夜の "睡眠が充実!" していたことに思い当るのだ。
まあ、確かに、"睡眠を削ってでもこなす!" 必要に迫られてしまう日常の多忙は避けて避けられるものではない。しかし、気づくべきは、"睡眠切り詰め" という場当たり的な対処法は、"こなし仕事" の水準には見合っていても、ホントの生産性/創造性を要する仕事には向かないのではないか、という点なのである。
人間の能力発揮の "伸び縮み" には、想像以上の幅があり、それを影響を与えている重要な要素のひとつ<に、"睡眠の良し悪しによる疲労回復/充電作用" が控えていると確信する。
下記引用サイト記事 : 睡眠の質を高めるには―有能な人の睡眠時間は平均8時間36分/THE WALL STREET JOURNAL/2013.12.20 - 20:37 JST は、こうした、一見、言い尽くされたかのような指摘に、思いのほかの説得力を添えている。
<睡眠が1時間減れば、翌日の満足度や生産性、健康、思考能力が低下する/ 人間の能力に関する研究の1つでは、最も能力を発揮する人々は1日あたり8時間36分睡眠をとっていることが分かった/ 睡眠が十分取れていないときには同じ人物とは思えないようになり、それは明確に現れる。睡眠が十分でなければ、ネガティブな出来事の連鎖につながりかねない。仕事ではあまり成果を出せず、いつもしている運動ができず、食生活も乱れる/ 今夜、1時間余分に睡眠が取れるかどうかで、翌日が惨めな1日となるか良い1日となるかが分かれる/ 睡眠の質を改善するちょっとしたコツ/ 通常の就寝時間の1時間前には電子機器の使用をすべて停止し、就寝前の数時間は明るい光を避けたほうがいい/ こうした機器からの光だけでも、メラトニンの水準は最大20%も抑制される/ 睡眠に適した寝室の環境を整えること/ 日中慣れている温度より数度低い部屋/ 騒音についても言える/ 睡眠時間はコストではなく、前向きな投資だということ/ 睡眠は家庭でも職場でも本質的な価値と考える必要がある> とある。
<睡眠を犠牲にすることは、もはや強さの証しとはならない> という判断は、ひょっとしたら、"残業は勤勉や有能の証しとはならない" に通じる点があるのかもしれない......。
睡眠の質を高めるには―有能な人の睡眠時間は平均8時間36分/THE WALL STREET JOURNAL/2013.12.20 - 20:37 JST
By TOM RATH
1980年代に米中西部の労働者階級の家庭で育ったこともあり、私は睡眠が真っ先に削ぎ落とすべきコストであることを学んだ。私が若いころに尊敬していた人たちは決まって、ほんの数時間の睡眠しかとっていないことを自慢していた。...... 職場ではプロジェクトに携わり、夜遅くまでオフィスに残ることが名誉だとみなされている。
問題は、1時間睡眠を減らすことが1時間の残業と釣り合いがとれないことだ。多くの場合、その反対だ。睡眠が1時間減れば、翌日の満足度や生産性、健康、思考能力が低下する。K・アンダース・エリクソン教授が実施した人間の能力に関する研究の1つでは、最も能力を発揮する人々は1日あたり8時間36分睡眠をとっていることが分かった。ちなみに、米国民の平日の平均睡眠時間は6時間51分だ。
睡眠が十分取れていないときには同じ人物とは思えないようになり、それは明確に現れる。睡眠が十分でなければ、ネガティブな出来事の連鎖につながりかねない。仕事ではあまり成果を出せず、いつもしている運動ができず、食生活も乱れる。
睡眠不足は犠牲を伴う。ハーバード・メディカル・スクールの調査によると、米国では睡眠不足のために失われた生産性のコストが年間630億ドル(約6兆5800億円)に達する。...... 重大な問題は、人々が寝不足の状態で仕事をしていることだ。ある科学者は、4時間の睡眠不足は缶ビール6本を飲んだのと同じくらいの機能障害を生じると主張している。米国立睡眠財団の調査によると、調査対象となった人々の約3分の2は平日は十分な睡眠が取れていない。
今夜、1時間余分に睡眠が取れるかどうかで、翌日が惨めな1日となるか良い1日となるかが分かれる。15~30分といったちょっとした違いでも断然違ってくる。かぎは1日に7~9時間の熟睡を目指すことだ。これくらい長い睡眠を毎晩取るのは言うほど簡単なことではないが、睡眠の質を改善するちょっとしたコツがいくつかある。
就寝前の数時間に何をするかが最も重要だ。米国民の90%以上が就寝前の1時間に電子ツールを使用していることを認めている。これは明らかに問題だ。あなたが認識していないかもしれないことは、こうした機器からの光だけでも、メラトニンの水準は最大20%も抑制されるということだ。このメラトニンの抑制は睡眠にとってもっと直接的な脅威となる。こうした問題を回避するために、通常の就寝時間の1時間前には電子機器の使用をすべて停止し、就寝前の数時間は明るい光を避けたほうがいい。
睡眠に適した寝室の環境を整えることも、眠りに落ちる良いスタートとなり得る。日中慣れている温度より数度低い部屋で眠るほうが容易だ。...... 同じ原理が騒音についても言える。...... 質の良い眠りに重要なのは、できるだけ変化を取り除くようなルーティーンを作り上げることだ。
...... まず睡眠を優先すれば、しっかりとした運動を行ったり、仕事でもっと多くを達成したり、愛する人々にもっとよく接したりできる公算が高まる。睡眠時間はコストではなく、前向きな投資だということを覚えていてほしい。...... 睡眠は家庭でも職場でも本質的な価値と考える必要があることを示している。
睡眠を犠牲にすることは、もはや強さの証しとはならない。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
人間の限られたリソースである "時間と能力" とを最大限に活かすためには、"能力の再生産と修復" とを日々決定づけている "睡眠" の、そのあり方に細心の意を払うべきだ! と痛感させられる...... (2013.12.26)
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