"がんの疑い" で不安が煽られている患者にとって、"がんの有無" を調べる検査結果待ちは、居ても立ってもいられないはずだ。
ところが、従来からの "がんの組織検査/生検(せいけん)"(患部の組織の一部を,麻酔をしてからメスや針などで切り取って,顕微鏡などで調べる検査)では、患者にとっては思いのほか長期間待たされるのが現状である。
◆ 参照
<5.検体採取から診断報告までの日数
大まかな目安ですが、細胞診断:2-4日、生検組織診断:3-5日、組織診断:4-6日を要します。緊急の場合には、それぞれ1日の短縮が可能です。また、特殊な染色や検索を行う場合には、それぞれ1-2日が更に必要となります。>( 東邦大学医療センター/診断内容・特色 )
こうした一般的な現状に対する "朗報" を伝えているのが、下記引用サイト記事 : がんの有無を2分で診断 山梨大など、切除細胞の質量分析/日本経済新聞/2014.02.24 - 23:43 である。
<山梨大学や島津製作所、早稲田大学のチームは、手術時に患者から取り出した細胞からがんの有無を約2分で診断できる技術を開発した。細胞の成分を質量分析計という高精度の機器でふるいにかけ、がんの特徴を表すパターンから判定する。3年後の製品化を目指す/ 新技術は患者から採取したサンプルに直径数百ナノ(ナノは10億分の1)メートルの針を近づけて、先端に2~3個の細胞を付ける。電圧をかけて細胞内の成分をイオンにして飛ばし、質量分析計で測る。様々な成分の量をあらかじめ蓄えたデータベースと照合してがんの存在する確率をはじく/ 大腸がんや胃がんの患者から採取したサンプルで検証......専門の医師の判断と8~9割が一致......測定から照合結果が出るまでの時間は約2分......病理診断に利用できる水準。データを蓄積すればさらに精度が高まる可能性がある/ 年内にも臨床試験(治験)を申請/ まずは専門の医師の診断を確認する支援装置として製品化/ 開業医などでも利用できる見込み> とある。
患者から採取した "検体" と、<様々な成分の量をあらかじめ蓄えたデータベース> との "照合" 処理をするという技術システムであることが、スピーディな検査処理を可能としているようである......。
がんの有無を2分で診断 山梨大など、切除細胞の質量分析 /日本経済新聞/2014.02.24 - 23:43
山梨大学や島津製作所、早稲田大学のチームは、手術時に患者から取り出した細胞からがんの有無を約2分で診断できる技術を開発した。細胞の成分を質量分析計という高精度の機器でふるいにかけ、がんの特徴を表すパターンから判定する。3年後の製品化を目指す。
がんの手術では一般に、専門の医師が切除した細胞の形状などを観察してがん細胞の有無や取り残しを確かめる。経験豊かな医師が不足しており、現場でがんを判定できる技術が求められている。
新技術は患者から採取したサンプルに直径数百ナノ(ナノは10億分の1)メートルの針を近づけて、先端に2~3個の細胞を付ける。電圧をかけて細胞内の成分をイオンにして飛ばし、質量分析計で測る。様々な成分の量をあらかじめ蓄えたデータベースと照合してがんの存在する確率をはじく。
大腸がんや胃がんの患者から採取したサンプルで検証した。専門の医師の判断と8~9割が一致した。測定から照合結果が出るまでの時間は約2分で、病理診断に利用できる水準。データを蓄積すればさらに精度が高まる可能性がある。
複数の病院と協力して年内にも臨床試験(治験)を申請する。装置は1千万円以下にして実用化を目指す。まずは専門の医師の診断を確認する支援装置として製品化する。
質量分析計を使い血液や尿などに含まれるがんの目印となる物質を探る研究は盛んだ。ただ、極めて微量のため測るのが難しく、邪魔な物質を取り除いて濃縮するために複雑な前処理がいる。
新技術は物質のデータのパターンを比較する仕組みのため、目印となる物質を目立たせるための前処理が不要。簡単に操作でき、開業医などでも利用できる見込みだ。アレルギー疾患やこう原病などさまざまな病気の診断にも応用できる可能性がある。
<データを蓄積すればさらに精度が高まる可能性がある> という道理は、説得力もあり、やがては、"がんの組織検査/生検(せいけん)" といえば、こうした "新技術" 活用のことを指すようになるのであろうか...... (2014.02.26)
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