がん治療のジャンルでは、昨今しばしば "緩和ケア" ―― 併せて "QOL(Quality of life, 生活・人生の質)" ―― という言葉を目にするようになった。
< 緩和医療(かんわいりょう、palliative medicine)または緩和ケア (palliative care) とは、生命(人生)を脅かす疾患による問題に直面している患者およびその家族のQOL(Quality of life, 生活・人生の質)を改善するアプローチである。
苦しみを予防したり和らげたりすることでなされるものであり、そのために痛みその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと治療を行うという方法がとられる(WHOの定義文2002より)。
世界保健機構(WHO)は2002年に次のように定めた。
緩和ケアは、生命を脅かす疾患による問題に直面する患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的、心理的、社会的な問題、さらにスピリチュアル(宗教的、哲学的なこころや精神、霊魂、魂)な問題を早期に発見し、的確な評価と処置を行うことによって、 苦痛を予防したり和らげることで、QOL(人生の質、生活の質)を改善する行為である、としているのである。>( ウィキペディア - 緩和医療 )
かねてより、がん患者の "QOL(Quality of life, 生活・人生の質)" はもっと配慮されて然るべきではないか、との印象を持ち続けてきた。
言うまでもなく、"抗がん剤の副作用" のことであり、それによって苦しむ友人、知人の姿を目の当たりにするにつけ、"抜け落ちている!" のは頭髪だけではない! "生活・人生の質" に関する視点そのものが "抜け落ちている!" という印象が拭い切れなかったのである。
患者自身の選択による "抗がん剤治療" だったとはいえ、"セカンドオピニオン" による支援とてかたちだけの環境での治療が、"医師主導、誘導" となってしまう流れは濃厚であるに違いなかろう。
一体、がん患者の "QOL(Quality of life, 生活・人生の質)" については、誰がどこで配慮しているのか? という疑念が募っていくばかりであった......。
今回注目する下記引用サイト記事 : がんの緩和ケア、利用進まず アフラック調査で2・6%/【共同通信/2014.07.11 - 17:17 は、こうした "がん患者における QOL " と表裏一体となっている "緩和ケア" という措置が、現在の日本では患者側の視野に入りにくくなっている、そんな現状について報じている。
<アメリカンファミリー生命保険(アフラック)が11日に発表した「がん経験者の心の変化に関する調査報告」で、心身の負担を軽減するために末期がんに限らず利用できる「緩和ケア」を「利用したことがある」と答えた人が、わずか2・6%しかいなかった/ 緩和ケアは、医師や看護師、ソーシャルワーカーらが連携し、苦痛や経済的不安を和らげる措置。「言葉としては知っていた」が73・2%あり、認知度はそれなりに高いものの、ほとんど利用されていない実態が明らかになった/ 利用の検討の有無では、「検討したことがある」が6・1%に対し「検討したことがない」が61・6%で、関心も低い> とある。
なぜ、ここまで "緩和ケア" への関心が低いのかの原因は定かではないが、"末期がん" と同一視、一体視されているかのような現状、"がんへの立ち向かい方(闘う?!)"、そして "抗がん剤への過剰な期待感" などが伏線にあると考えることもできる......。
がんの緩和ケア、利用進まず アフラック調査で2・6%/【共同通信/2014.07.11 - 17:17
アメリカンファミリー生命保険(アフラック)が11日に発表した「がん経験者の心の変化に関する調査報告」で、心身の負担を軽減するために末期がんに限らず利用できる「緩和ケア」を「利用したことがある」と答えた人が、わずか2・6%しかいなかった。
緩和ケアは、医師や看護師、ソーシャルワーカーらが連携し、苦痛や経済的不安を和らげる措置。「言葉としては知っていた」が73・2%あり、認知度はそれなりに高いものの、ほとんど利用されていない実態が明らかになった。
利用の検討の有無では、「検討したことがある」が6・1%に対し「検討したことがない」が61・6%で、関心も低い。
"根治" を目指す "新薬開発研究" は、"研究路線" にあってはそれはそれで素晴らしいことであるに違いない。
だが、"臨床現場" にあっては、"QOL(Quality of life, 生活・人生の質)" を伴った "がん患者の命" こそがすべてであるはずだ。
"緩和ケア" は、決して "末期がん患者" だけに向けられた特別措置ではなく、"命の危機" を意識せざるを得ないすべての "がん患者" に関わるものであろう。
そして、この点を、誰よりも患者側が自覚しなければ事態は変わって行きようがないのかもしれない...... (2014.07.13)
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