ちょっと腰を据えて "ePub 形式" での "電子書籍(eBook)" 作りにも馴染まなければと思い始めた。その動機の一つは、いわゆる<アクセシビリティ>(※ 注.1)の点で、やはり "ePub 形式" は尊重されて然るべきなんだろうなぁ、と気づき始めたからかもしれない。
(※ 注.1)「Web アクセシビリティとは、直接的な言い方をすれば『見えない、聞こえない、からだの一部が動かせないなど、心身の機能になんらかの能力的障害があっても Web を利用できること』となります。この『 Web を利用できる』ということには、まず情報自体を得ることができ、得た情報の内容が正しく理解でき、必要な操作を行うためのユーザーインターフェイスも利用可能である、という3つの意味が含まれます」( 大藤 幹『Standard Web Design Course 標準 Web デザイン講座』/翔泳社/2006.09.20 )
これまでにも何度となく書いてきたように、 "電子書籍(eBook)" というものに関しては、"PDF 電子書籍" という "PDF 形式" に、どういうものか思い入れが残っている。
その理由の一つは、 "PDF 形式" の "電子書籍(eBook)" は、"ページ境界(構成)" が "固定" していて、発信側・作り手が "ページ" 毎に託す意図(デザイン的意図など)がそのまま閲覧者に伝えられる、といったような点があるからだろうか......。
それに対して、"ePub 形式" の "電子書籍(eBook)" では、<PDFとは異なり固定のページ境界がなく、画面やフォントの大きさに応じて、表示のたびにページ境界が変動する。>(<日本語Epubブックサンプル - 横浜工文社>)という<最大の特徴>が指摘されている。
この点をどう考えるのか、によるのだが、いずれにしても<アクセシビリティ>という点からは決して軽視されてはならないと思えてくるのである。これは、Web ページであろうが "電子書籍(eBook)" であろうが事情はほとんど変わらないはずであろう。
そして、最も見過ごされてならない点はといえば、"文字サイズ" であるに違いなかろう。なぜならば、読み手側の視力など事情はまさに千差万別なのであって、作り手側が勝手に斟酌して押し付ける筋合いのものではないと思われるからだ。
この辺から、"文字サイズ" などに関しては、読み手側の好みの選択が許されているような "自由度" のあることこそが、<アクセシビリティ>に適った "電子書籍(eBook)" なのだと思えてくるのである。
実は、この点については自身もつい先ごろ経験したばかりなのである。
"iPod touch" で、<ポケット文庫 SkyBook>という"青空文庫" を楽しむ時のことであった。
<ところで、読み進めているうちに、昨今益々 "眼" にいささか自信が無くなって来た自分は、ヨシ、もうちょっと読み易く "設定し直そう!" というつもりになっていた。
ただでさえ "iPod touch" は、タバコの "ショート・ホープ" 程度の小ディスプレイである。それで書籍の文面を読もうとするからには、"ベスト環境" こそが望まれた。>(<秋の夜長、"iPod touch(⇒SkyBook)"にて"青空文庫"の"古典"にハマれば心安らぐ!?( 当日誌 2010.10.06 )>)
何事も、事態が "他人事" から "自分事" となって、当該の命題の重要さに気づくものである。愚か極まりないことではあるが......。
こうした点から敷衍(ふえん)して言うならば、"白馬のナイト(騎士)" を気取る(?) "セルフ・パブリッシング" 派たる者たちは、読者側が抱えている<アクセシビリティ>の実態状況に対する、優しく、限りない想像力を持たずしては何も始まらない! と言って良さそうな気もするのである。カッコをつけてやや気恥ずかしいが......。
もちろん、"コンテンツ" 自体にもその "鉄則" は当て嵌まりうである。
"奇を衒い" 、"空中ブランコ" をしているとしか思えないような "ネタ、筋" ばかりの "店頭新刊本" なぞは、コンガラガッてしまったマーケティング手法によって、読者たちの "心の琴線" への<アクセシビリティ>をほとんど見失っているのかも...... (2010.10.14)
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