"電子書籍(eBook)" の "ハイパーリンク" 性だの、"インタラクティブ" だのと昨日は書き出してやや唐突な感じがあったかもれない。これに関して若干の補足をしておくべきかと思った。
直接的な動機は、"縦書き ePub変換法" を模索している際に、"インタラクティブ" 性で欠かすことのできない機能だと思われる "全文検索" 機能、それが成立しない "ePub変換" に遭遇したことにある。この点は、先日以下のように書いた。繰り返しとなるが再確認しておきたい。
<OpenOfficeのWriter文書をEPUB文書へ変換する拡張機能「writer2epub」>を、自分なりに試してみてのことであった。
<確かに、このソフトは "MS Word" のように "縦書き" 仕様に対応していることはしている。 "MS Word" で作成した "縦書き" 仕様ファイルを読み込ませてみると、無事、読み込んだのである。
さらに、なのである。すったもんだはあったものの、前述の "拡張機能" のアイコンをクリックすると、何と、"縦書き" 仕様の "ePub電子書籍" ファイルを吐き出した(出力した)のであった。思わずワクワクとしたものであった。
だが、望みの "出力レイアウト" へと調整したり、"文字化け"などに苦しめられたのはままあることでよいとしても、これじゃあ使えないかもしれないぞ......、と思わされた点が見つかったのである。
と言うのは、一応、出来上がった "ePub" ファイルを "分解" ( "解凍" )して、 "XHTML" のコードを調べてみたのだが、全頁に渡り、"一文字一文字" が "X 座標"、"Y 座標" の数値で指示され、まるで "マップ" のような構成になっていたのである。
これは、何を意味することになるのか? 先ず、この種の変換作業では避けられないはずの"再・編集" 作業が、これではほとんどムリだろうなぁ、という点が一つである。
さらに "決定的な支障" だと思えた点は、このように "一文字一文字" へと "モザイク化" され、"羅列" された文面(?)ファイルは、もはや "文章" ではなくなってしまっているのである。
ちなみに、ここで一応完成した "ePub" ファイルを "iPod touch" に転送し、チェックをしてみたのだが、"全文検索" どころか "単語検索" が全く不可であり、かろうじて "一文字一文字" の "文字検索"(?) ができるに過ぎなかったのである......。論理的に言って当然の結果であろう。>(<"縦書き・縦表示"指向の"ePub変換"試行錯誤/"OpenOffice.org"&"writer2epub"も!(当日誌 2010.10.20)>)
別に、この "アドイン" ソフトを貶す意図を持っているわけではないのだ。
強調したい点は、<何のための "ePub 変換" なのかをはっきりさせた上で、当面のテーマである "縦書き・縦表示" を目指す "ePub 変換" という課題に向かってみる......>(同上日誌)必要がありそうではないか、と思うのである。
自分も "縦書き" の "ePub 変換" には少なからぬ関心を寄せて、あれこれと調査・検討をしたのであるが、"ePub 電子書籍(eBook)" として "見失いたくない条件" からは眼を離さないできた。
つまり、<"フォント・サイズ可変" や "全文検索可" という条件付きの "ePub 変換" >でなければならない、とこだわったのである。
なぜか言えば、それらは "読み手側" における基本的ニーズではないかと考えるからであり、少なくとも自分ならばこれらが "備わらない" ところの "ePub 電子書籍(eBook)" であれば、"PDF 電子書籍(eBook)" を次善策として選びたいと考える。
昨日は、"インタラクティブ" 性の中の "ハイパーリンク" 性をあえて強調したわけであったが、言ってみれば、<"フォント・サイズ可変" や "全文検索可">という機能なんぞは、"インタラクティブ" 性における基本中の基本のような気がする。
書籍中で使われた言葉を探すこと(検索!)ほど "読み手側" における切実で、頻度の高いニーズは他にはないのではなかろうか。また、"読み易さ" の点で "フォント・サイズ" をセレクト調整することとて同様であろう。
こうした "インタラクティブ" 性を軽視したのでは、極言すれば、何かと "お仕着せ" 路線が指摘されてきた "紙の書籍" と変わらなくなるのではないかと危惧するのだ。
こう言っては何だが、"ePub 電子書籍(eBook)" にとって "縦書き・縦表示" であることは、"インタラクティブ" 性に関わるというよりも、ひとつの "スタイル" であり "モード" だと見なしても良いくらいではないか。なのに、このかたちを追うために、"インタラクティブ" 性の基本を損なうとするならば、これは本末転倒、「産湯を捨てて、赤子を流す」という愚をおかすことと似ていると思ったりするのだ......。今のご時世、こんなことが決して少なくないのが残念なところではあるが......。
"ePub 電子書籍(eBook)" は、"PDF 電子書籍(eBook)" や "Web ページ" が発揮する機能水準を上回ってこそ歓迎されるのだと思う。特に、それらが発揮している "インタラクティブ" 性の機能はシッカリと受け継いでゆくべきか、と。
"テキストもどきの画像" ベースのページ表示に舞い戻ることは、決して "電子書籍(eBook)" が進むべき道ではないと思われる...... (2010.10.24)
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