"3D" 技術に限ったことではないが、技術は適切なアプリケーション(AP/適用)と一体化してこそその真価を発揮するはずであろう。
先日も、憎まれ口を承知で次のように書いた。
<口幅ったいことを言うようだが、"技術" と "アプリケーション" との関係を考えた時、やはり相応の "アプリケーション" が実現されてこそ "技術" はその真価を発揮するのだと思われる。まあ、正確に言えば両者は "両輪" 的な関係なのであろうが、"アプリケーション" が軽視されていては "新技術" とて足踏みをすることになりかねない......。
また、当を得た "アプリケーション" というものは、いわゆる "ユースウェア" をも刺激・促進して、"技術" のさらなる発展へとフィードバックして行くという貢献もするはずである......。
これに関連して思い起こすのは、例の "3D" (映画)技術かもしれない。元々、アミューズメント志向で開発されているのだから何をか言わんやなのであるが、どうも "より効果的な適用" というよりも、"過剰適用" という感が無きにしも非ずであり、そんなことでは、ただただ観客の "飽き" をもたらすだけではないのかと......。>(<"audio/video 埋め込み"などの"ePub 電子書籍"がどんなに"魅せる"かを形で示せ!(当日誌 2011.02.09)>)
今日は、思わず "コレコレ" と言えるようなニュースに接した。
< 手術の現場にも3D(立体)映像――。国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)は、脳外科手術などを録画・中継し、3D映像として映し出す試みに取り組んでいる。細い血管や神経の複雑な位置関係も把握しやすい。若手医師の教育や手術内容の検証などに活用するという。
国循は昨年末、脳血管外科の手術に3Dビデオの撮影装置を導入した。手術で使う顕微鏡に左右二つのカメラを取り付けて撮影し、映像を組み合わせて3Dに変換。録画装置や手術室、医局に設置したモニターに送る。偏光眼鏡をつけると立体感のあるリアルな映像を見ることができる。
国循の飯原弘二脳血管部門長は、3D映像について「手術をする医師と共体験できるので、若手医師が初めて手術をする際に戸惑わなくて済む」。映像はDVDにすれば家庭用機器でも再生できるため、教材用として貸し出すことも検討している。装置の販売会社によると、北野病院(大阪市)や京大病院(京都市)の耳鼻科も導入している。(香取啓介)>(<手術映像も3D 血管や神経把握しやすく 訓練に活用 / asahi.com /2011年2月20日15時26分>)
"3D" 技術を適用するアプリケーションとしてはこれ以上 "最適なケース" はないのではないかと思えた。
"3D" 映画やゲームをバカにするつもりはない。優れたアミューズメントも重要な文化だ。が、しかし、ただでさえ先端技術は、当然のごとく "殺戮" の場の "兵器" としても利用されがちである。だから問題は、何に優先的に応用されるのかという点であるのに間違いないはずだ。
医療現場における手術は、さまざまな制約が伴う上に、経験が少ない若手は<戸惑い>に襲われることもありそうだ。
医療ミスについて聞かないわけでもないわれわれとしては、こうした"3D" 技術(3D映像)に基づく精緻な<共体験>によって、若い執刀医たちが確かな技量を向上させることは願ってもないことであろう。
とにかく、技術というものは、いつも "何に適用するのか" という視点から離れてはならないと思われる...... (2011.02.21)
コメントする