現在の中国経済が、"ハード・ランディング"【 注 】 状態なのかどうかについては不安視され続けている。
【 注 】
<ハード・ランディング 過熱した景気を、実体経済に深刻な影響を与えつつ、継続的に維持可能な水準にまで減速させることを、飛行機の強行着陸に例えていう。実体経済への影響を最小限に抑えて、穏やかに減速させることはソフト・ランディングという。なお、景気が失速し、不況に突入した場合はクラッシュ(墜落)という。>( Hatena::Keyword )
この2月に "巨額の貿易赤字" を計上して以降、中国経済の "ハード・ランディング" 状態を懸念する声が高まっていた。
<米JPモルガン・チェースのアジア・新興市場担当チーフストラテジスト、エイドリアン・モワット氏(香港在勤)は ......「中国は現在ハード・ランディング状態にある。自動車販売は減り、セメントや鉄鋼の生産も減少。建設株は値下がりしている。いまさら議論する必要のない、それは事実だ」と語った。>( 中国経済はハードランディング状態-JPモルガンのモワット氏/Bloomberg.co.jp/2012.03.15 ))
昨今の報道でも次の通りだ。
<[北京 13日 ロイター] 中国が国内外需要の予期せぬ減退によって成長率をこれ以上低下させないためには、財政面からのバックアップ措置が必要との見方が強まっている。...... 鉱工業生産は伸び率が大きく鈍化し、成長の主要なけん引役である固定資産投資の伸び率もここ10年近くで最低水準となり、......財政出動をすぐにも加速させなければ、国内総生産(GDP)成長率は第2・四半期に8%を下回る恐れがある......>( 焦点:中国の成長リスク、財政出動の必要性を示唆/REUTERS/2012.05.14)
ところで、中国のこうした状況に関心を向けざるを得ないのは、ほかでもなく以下の点からである。
<日経平均が9000円前後まで下落している理由は3つある。(1)欧州信用不安の増大 (2)米国の景気回復ペースの鈍化 (3)中国の金融引き締めによる景気減速懸念だ。日本株にとっては米国と欧州の景気動向によって円相場が対ドル、ユーロで上昇していることも重荷だ。1~3月はこの3つの海外要因がすべて日本株にとってプラスの方向に進んでいたが、足元では逆転している。
(1)欧州ではギリシャやスペインで債務削減策に対する世論の反対が強まってきた (2)米景気の指標となる雇用統計では非農業部門の雇用者数の増加が2カ月連続で20万人を下回った (3)中国景気の減速感が予想以上に強い。......>( "日経平均9000円前後にまで下落"! "三つ巴"の不安材料下での今後の見通しは?( 当誌 2012.05.11 ) )
いわば、"三つ巴"の景気元凶と言える各々は、残念ながらいずれも明るい展望を示し得ていない。だからこそ、今の中国経済が "ハード・ランディング" 状態なのかどうかに注目しておくことは軽視されて良いことではなかろう。
そして、下記引用サイト記事:中国経済、急減速のこれだけの証拠。ドイツの心変わりで一段のユーロ安も!?/ダイヤモンド ザイONLINE/2012.05.14 の各グラフを眺めると、不安が募るばかりだ......。
中国経済、急減速のこれだけの証拠。
■中国経済の冷え込みに警戒感、利下げは遅すぎた?
一方、先週発表された一連の中国の経済指標は中国経済が急速に冷え込んでいることを示すものでした。
まず4月の貿易統計ですが、輸入が前年比+0.3%、輸出が+4.9%といずれも低い伸びでした。
次に鉱工業生産は、コンセンサス予想の+12.2%に対してわずか+9.3%でした。
小売売上高もコンセンサス予想+15.1%に対し、+14.1%にとどまりました。
これらの経済統計は、手をこまねいていると「中国経済がハードランディングしてしまう」リスクが高まったことを示唆しています。
これを受けて中国人民銀行は、5月12日(土)に預金準備比率を0.5%引き下げ、20.0%にすると発表しました。
しかし今回の預金準備比率の引き下げは、"遅きに失した"印象を免れません。
( 中国経済、急減速のこれだけの証拠。ドイツの心変わりで一段のユーロ安も!?/ダイヤモンド ザイONLINE/2012.05.14 )( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
現代の不幸を象徴するものとして、"同時多発的......" という言葉がありそうだが、"三つ巴"の景気元凶 はまさにそれであろう。
いずれもが、"特効薬" のような対策を持ち得ない "頑固な元凶(?)" でありそうなだけに冷静に見守らなければならない...... (2012.05.15)
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