"睡眠学習" の可能性への探求は相変わらず絶えない。
このテーマの面白さは、"睡眠" と "学習" という、一見、あれかこれかという二律背反的に相反するかに見えるそれぞれの脳活動の現象を、如何にそれぞれを解明して、なおかつそれらをどう "ジョイント(結合)" させるのか、という "無理難題(?)" だからであろうか......。
この "難題" への第一歩としては、"睡眠" と "学習" とが単一の脳活動の現象の "裏表ではなく" て、"別個" の脳活動現象であることが解明されなければならないはずだ。
この点については、<眠りつつ学習すること(もしくは勉強しつつ眠ること)は可能>( ◆参照 「睡眠学習」は可能だ!? 現代の神経科学は未だに残された未知の洞窟を探査し切るか?( 当誌 2012.09.18 ) )という事実が解明されている。
つまり、"睡眠" と "学習" とは、"別個" の脳活動現象であることが認められ始めているようなのだ。
こうした見解をさらに強化するような研究成果が発表された。
下記引用サイト記事:睡眠と記憶は別の回路 熊本大研究グループ解明/くまにちコム/2012.10.15 は、こうした事実("睡眠" と "学習" とは、"別個" の脳活動現象であること)を、動物実験である<ショウジョウバエを使った実験で解明>したというものである。
<神経細胞>という次元での実験による解明は初めてのことのようであり、"睡眠学習" への一里塚となり得るかが注目されるところだ......
睡眠と記憶は別の回路 熊本大研究グループ解明/くまにちコム/2012.10.15
脳の中で睡眠と学習の機能が別の回路で独立して制御されていることを、熊本大発生医学研究所の粂[くめ]和彦准教授(50)らの研究グループがショウジョウバエを使った実験で解明。14日付の米科学誌「ネイチャーニューロサイエンス」電子版に発表した。眠っている間に学ぶ睡眠学習への応用が期待できるという。
粂准教授と中心メンバーの上野太郎研究員(31)によると、神経細胞が出す伝達物質の一つドーパミンは睡眠、記憶など脳の機能を制御しているが、脳のどの部位に作用しているのか、詳しいメカニズムは分かっていなかった。
粂准教授らはハエの脳内にあり睡眠・覚醒を担うとみられる「扇状体」と、学習や記憶に関連するとみられる「キノコ体」という部位の遺伝子を操作。ドーパミンを受け取る能力を失わせ、睡眠や記憶への影響を調べた。
結果は、扇状体の場合、睡眠時間が長くなり、受容能力を復活させると睡眠時間は短くなった。一方、キノコ体では、睡眠時間の長さが変化せず、学習・記憶能力が低下。ドーパミンが扇状体やキノコ体に作用することで、睡眠と記憶を制御していることを裏付けた。
扇状体とキノコ体を作用させるドーパミンは、別の神経細胞から出されていることも解明。それぞれの神経回路が独立していることも分かった。
今後は「ハエが眠っている間の記憶の書き込みに挑戦したい」(上野研究員)という。
粂准教授は「より複雑なヒトの脳の機能解明につながる。睡眠学習に応用できれば」と話している。(山口尚久)
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
上記には、<ハエが眠っている間の記憶の書き込みに挑戦したい>とあるが、素人考えでもこの点は奏功するのではないかと思える。
ただし、<より複雑なヒトの脳>における解明はまだまだ先の話となりそうか ...... (2012.10.17)
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