つい先日発生した "中央自動車道/笹子トンネル崩落事故" は、痛ましさとともに、この日本に訪れる "社会インフラ大老朽化時代" 突入への警告となっている。
◆ 参照 中央自動車道/笹子トンネル(昭和52年完成) 約1トンの天井板数十枚が崩落!死者複数!(当誌 2012.12.03)
人口 "高齢化" の問題もさることながら、"高度経済成長期以降に一気に進んだ「社会インフラ」整備" の、その必然的な推移として、日本は今、「社会インフラ」の "大老朽化時代" に差し掛かろうとしているというのである。
先ず、決して他人事ではないことに気づかされるのは、引用サイト記事:【 引用記事 1 】 首都高速の老朽化、より深刻 築40年以上が3割超/日本経済新聞/2012.12.03 という記事である。
<首都高速道路は、老朽化がより深刻/総延長300キロメートルのうち、築40年以上たった区間が97キロメートル(32%)あり、築30年以上を含めれば145キロメートルとほぼ半分に達する> とある。
かねてより、"首都直下型地震" の恐れが心配されている状況下で、こうした "老朽化" という事実が上乗せされることは、首都圏在住の者にとっては不安を打ち消しようがなかろう......。
こうした広範囲にわたる "老朽化" に直面することになったのは、前述のように "高度経済成長期以降に一気に進んだ「社会インフラ」整備" という経緯があったからである。そして、将来を見据えた行政が的確には推進されて来なかったという "不首尾" の結果としか言いようがない。
【 引用記事 2 】 トンネル崩落事故と大老朽化時代/NHK NEWS WEB/2012.12.04 では、このような "悲劇" を、<「社会インフラ」の "大老朽化時代" >という表現で伝えようとしている。
そして、<老朽化の恐ろしさは、われわれが今まで経験したことのない損傷や劣化が、今まで経験したことのないスピードで起きることだ> と警鐘を鳴らす。
では、どうするのか?
<今回のような大惨事を防ぐためには、新規建設を抑えてでも、維持管理に十分な予算を投じられるよう、社会の仕組みを改めていく必要がある> という提言、<「今まで起きていないから、これからも大丈夫だろう」という姿勢は、もはや通用しない> という判断に素直に共感を覚える。
時はあたかも、都知事選・衆院選のダブル選挙だ。市民・国民の "生命と安全" に優しい視線を向ける真っ当な政治家たちを選びたい......。
【 引用記事 1 】
首都高速の老朽化、より深刻 築40年以上が3割超/日本経済新聞/2012.12.03
1都3県を走る首都高速道路は、NEXCO3社(東日本、中日本、西日本)の高速道に比べ、老朽化がより深刻だ。首都高の総延長300キロメートルのうち、築40年以上たった区間が97キロメートル(32%)あり、築30年以上を含めれば145キロメートルとほぼ半分に達する。
補修を必要とする損傷は全体で9万7000カ所にのぼる。維持・修繕に年500億円をかけているが、修繕を必要とする損傷箇所は年々増えているのが実情<だ。
首都高速道路会社はNEXCO3社に先駆けて大規模更新の検討を始めた。有識者委員会が10月下旬にまとめた中間報告では、大規模更新や大規模修繕の対象路線として「1号羽田線」など6路線(75キロメートル)を選んだ。設計基準が厳しくなった1973年より前に設計された大型車両の交通量の多い路線だ。
来年1月にも具体的な区間や事業費を盛り込んだ最終報告書をまとめる予定だ。だが、大規模更新の時期などは決まっていない。
【 引用記事 2 】
トンネル崩落事故と大老朽化時代/NHK NEWS WEB/2012.12.04
......■どうする「大老朽化時代」
老朽化はこのトンネルだけの問題ではありません。
国土交通省によりますと、建設から30年以上たった高速道路のトンネルは全国に359か所あります。一般道路に架かる橋<でも、老朽化が原因で通行止めになるところが相次いでいます。
日本では、トンネルや橋などの「社会インフラ」の整備は、高度経済成長期以降に一気に進みました。
その分、老朽化も一斉に進むわけですが、今まさに、こうした時代の入り口にさしかかっているといえます。
社会インフラの老朽化問題を早くから指摘してきた、国土技術政策総合研究所の前の所長、西川和廣さんは、「老朽化の恐ろしさは、われわれが今まで経験したことのない損傷や劣化が、今まで経験したことのないスピードで起きることだ」と指摘しています。いわば「大老朽化時代」の到来に、点検や補修はどうあるべきなのでしょうか。
西川さんがまず必要だと訴えるのが、社会インフラの維持管理に十分な予算や人手を振り向けられる仕組み作りです。
これまでは既存の施設の維持管理より、新規建設の方が優先されがちでした。
新しい施設の建設は、地域経済の活性化につながりますし、自治体の長や議員にとっても、政治的な得点をあげやすいという側面があります。
これに対し維持管理はコストがかかる割には地味で、必要性があっても後回しになるケースが多いとされています。
しかし、国や地方の財政状況が極めて厳しいなか、両方を満たすことは難しくなっています。
今回のような大惨事を防ぐためには、新規建設を抑えてでも、維持管理に十分な予算を投じられるよう、社会の仕組みを改めていく必要があると思います。■「想定外」で片づけるな
大きな事故が起きるたびに繰り返される「想定外」ということば。
しかし、社会インフラの老朽化は、必ず訪れる「想定内」の出来事です。
これを前提として維持管理に努めれば、老朽化の兆候をつかむことは可能なはずです。
日本が突入した「インフラ大老朽化時代」。
「今まで起きていないから、これからも大丈夫だろう」という姿勢は、もはや通用しないのです。( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
それにしても、高齢化に備えた "年金・福祉" の杜撰さといい、今回の "社会インフラ、一斉の老朽化" といい、どうして "頭の良い官僚たち(?)" が、単なる "時系列問題" を "想定" できなかったのかが不思議でならない。
誰か、"社会現象時系列シミュレーション" アプリでも開発してやってはくれまいか...... (2012.12.05)
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