"新年元日"のブログとなると、多少の身構えたりもするものだが、空々しいことは止め、今最も関心を寄せており、またしばらくはいろいろな意味で考察してみたいと思っているテーマに目を向けることで今年を始めようと思い立った。
"免疫(力)" については、かねてより関心を向けてきた。人間(生体)の身体は、とにかく "免疫システム" によってこそ守られているという確信があるのかもしれない。
確かに、"化学的成分" などによる "薬" が様々な病状を修復してくれることは確かだが、その効能とて生体がもつ "免疫システム" を基盤にしているようである。
また、"副作用" という弊害をマークしないわけにも行かないはずだ。
そこで、自然に目が向くのが "免疫(力)/免疫システム" ということになる。
つい先日、インフルエンザが全国的な流行期に!今年は"乳酸菌(プラズマ乳酸菌)"で"免疫力UP"!( 当誌 2013.12.29 ) という記事を書いた。
その際、もっぱら関心を向けていたのは、<プラズマ乳酸菌>( 協和発酵バイオ ) という "免疫(力)/免疫システム" を支援するサプリメントなのであった。
そこで、先ずは、この辺の事情の "キーコンセプト" かと思われる "抗体(医薬)" という言葉に着目しておきたい。
<抗体医薬品ってなに? 抗体医薬とは、生体がもつ免疫システムの主役である抗体 (注) を主成分とした医薬品です。一つの抗体が一つの標的(抗原)だけを認識する特異性を利用します。
抗体医薬は、副作用の少ない効果的な治療薬として注目されています。ゲノム解析により、創薬のターゲットとなる抗原分子が特定されていくことで、抗体医薬の可能性が拡大していくことが期待されます。>( 抗体医薬品 ~最先端の治療薬~ /KYOWAKIRIN 協和発酵キリン株式会社 )
(注) <抗体――抗体とは、異物から体を守るために働くタンパク質の一種であり、異物が体内に侵入すると、それらを攻撃、排除するために体内で産生されます。抗体は免疫という生体防御システムの一翼を担う大切なものです>( 抗体医薬品 ~最先端の治療薬~ /KYOWAKIRIN 協和発酵キリン株式会社 )
以上を踏まえた上で、下記引用サイト記事 : 集中連載:協和発酵キリンが描く未来図とは? --VOL.1「抗体医薬の可能性を求めて」/WIRED/2013.12.09 MON を読み進めれば、興味がなお一層深くなるかと思われる。
<抗体医薬とはどういったものなのか/ 人間には、免疫という生体防御システムが備わっています。体内に病原菌などが侵入してくると、抗体をつくって病気になるのを防いでくれます。抗体医薬とは、この生体防御システムを医薬品として生かそうという取り組みです/ 1980年代に入り、遺伝子工学でつくられたタンパク質を薬として用いる「バイオ医薬品」が登場/ 抗体医薬も、そのバイオ医薬品のひとつ/ 抗体医薬はヒトがもとからもっている治癒メカニズムを利用するということで、自然の力を活用して薬にしているイメージ/ 次世代の医薬品/ 抗体というのは、標的に結合する能力が強いので、標的を目印に薬剤を作用させたい体の部分に送り込むことができる......> とある。
<自然の力を活用して薬にしている......> と <標的を目印に薬剤を送り込む>という点が、まさに<次世代の医薬品>と呼ぶにふさわしい......。
集中連載: 協和発酵キリン が描く未来図とは? -- VOL.1 「抗体医薬の可能性を求めて」/WIRED/2013.12.09 MON
2008年、協和発酵工業とキリンファーマの合併により誕生した協和発酵キリン。売り上げだけをみると国内第9位の製薬会社だが、この会社には、ひとつ大きなストロングポイントがある。抗体医薬である。その研究の牽引者のひとり桝田和宏(バイオ医薬研究所主任研究員)に、抗体医薬の可能性について話を訊いた。
TEXT BY TOMONARI COTANI
PHOTOGRAPHS BY MIYAKO TOYOTA
──まずは、ご自身のことからお聞かせいただければと思います。桝田さんは、どういった経緯で抗体医薬の研究に携わるようになったのでしょうか。わたしの父は大学で英米文学を研究しているのですが、その背中を見てきた反動なのか、「文系より、答えがひとつの理系の道に進みたい」と子ども心に思っていたんです。高校生のころ、砂漠を緑化する研究に興味をもって、それが学べる大学を選びました。ですから大学は農学部です。博士課程まで終えたのですが、大学で基礎研究を続けるよりも、世の中の役に立つ応用研究をやりたいと思い、企業に就職することに決めました。学内の博士研究員で企業に就職する学生はわたしひとりでしたが、そんなとき、旧協和発酵工業が抗体医薬の研究をしていることを知って、お世話になることにしました。
──抗体医薬とはどういったものなのか、教えていただけますか?
人間には、免疫という生体防御システムが備わっています。体内に病原菌などが侵入してくると、抗体をつくって病気になるのを防いでくれます。抗体医薬とは、この生体防御システムを医薬品として生かそうという取り組みです。
従来の薬は、分子量が小さい「低分子医薬品」がほとんどでしたが、1980年代に入り、遺伝子工学でつくられたタンパク質を薬として用いる「バイオ医薬品」が登場し始めます。抗体医薬も、そのバイオ医薬品のひとつです。例えばがんやリウマチなど、これまでは治療が難しいとされてきた病気に対する新しい治療法として期待されています。
──低分子医薬品の成分が化学合成されたものであるのに対し、抗体医薬はヒトがもとからもっている治癒メカニズムを利用するということで、自然の力を活用して薬にしているイメージです。次世代の医薬品、といういわれ方もされますね。
これまでの医薬品は、経口であれ注射であれ、投与したあと、ある一定の方向性はもっているものの、正直どこへ作用するかわからないものが多かったわけです。体の中で薬剤を届けたい場所にコントロールするということはできませんでした。一方で抗体というのは、標的に結合する能力が強いので、標的を目印に薬剤を作用させたい体の部分に送り込むことができるんです。
例えばがんなど、あるタンパク質とあるタンパク質が結合することで発病や進行する病気に対して、その結合を止めることが、従来の低分子薬品ではできませんでした。なぜかというと、タンパク質はすごく大きいので、大きいもの同士の結合を、小さい分子で止めることが不可能だからです。なので、結合してしまったタンパク質同士に「結合した」という情報を伝えないようにすることが、低分子薬品の役割でした。一方抗体の場合は、抗体自身もタンパク質なので、結合そのものを止められるんです。イメージとしては、従来、下流の方でせき止めていたものを、大元で止めている感じです。
──その「止められる分子」というのは、いまどれくらいあるのでしょうか?
具体的な数字は申し上げられませんが、そこはすごく重要なところで、世界中の製薬会社が競っているところです。簡単なターゲットはすでに発見されていますから、今後抗体のターゲットとなるタンパク質、つまり病気の原因となるタンパク質を発見し、抗体の効果を高める研究がわたしたちの役割だといえるでしょう。
......(中略)......
──研究者の立場から考えると、協和発酵キリンというのはどのような会社にみえているのでしょうか?
抗体医薬や核酸医薬だったり、新しいデヴァイスをつかって、新しい価値を患者さんに提供しようという挑戦をしていると思います。抗体医薬を断念しなかった点はすごいと思います。抗体医薬の研究は、1990年前後に一時期ブームになって日本でも多くの製薬会社で取り組まれたんです。でも、失敗しました。なぜかというと、そのころはマウスの抗体を使って薬をつくろうとしていたんです。それで何が起こったかというと、それをヒトに打つと、マウスの抗体なのでそれに対する抗体ができてしまって、薬にならないということがわかったんです。その時点で、日本のほとんどの製薬会社が抗体医薬から撤退しました。その後の技術革新で、抗体医薬は薬として応用できるようになったわけですが、当時撤退しなかった数少ない会社が、協和発酵工業とキリンファーマだったんです。
製薬会社の経営の難しいところは、そのときの判断が正しかったかどうかが判明するのが、10年後、20年後になってしまうという点だと思います。
──経営も難しいと思いますが、研究者も、ひとつの研究が実を結ぶまで長い時間がかかるので、忍耐力が必要ですね......。
そうですね。製薬の世界では、ものすごく努力したんだけど、結果として何も生まれませんでした、ということが往々にして起こりえます。そこは研究者として、すごく怖いところでもあります。こうやって取材を受けていますが、正直わたし自身、世の中のために役立つ結果を残したわけではありませんから。製薬の世界に身を置いた研究者の宿命ですね。それを真摯に受け止めてバネとするか、まったく逆に、プレッシャーを感じずに研究できるメンタリティのもち主じゃないと、この世界ではやっていけないかもしれません(笑)。
──なるほど(笑)。いずれにせよタフな人格が求められるんですね。最後に、桝田さんが思い描く抗体医薬の未来について、お聞かせください。
例えば、治療の前に患者さんのがん細胞を採取して、自分たちの抗体が実際に結合するかどうかを診断し、結合する患者さんだけに投与する、という個別医療はすでに始まっています。そういった意味では今後さらに、最適な治療法や薬の選択肢の幅を広げていくことができると思います。
あとは、抗体医薬の活性をさらに高めるような技術も実用化されつつあり、この分野の研究と医薬品応用がより一層進んでいくと思います。抗体医薬はいままでに治療法のなかった患者さんに新しい治療法を提供できる可能性をもった医薬品ですし、効果のある患者さんを標的の有無によって事前に選択できることもあるなどメリットの多い医薬品ですから、少しずつでも、抗体が狙うべきターゲットを見つけていきたいと思っています。
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( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
生体の "免疫(力)/免疫システム" に期待すべき最大のテーマは、何と言っても "がん治療" であるに違いない...... (2014.01.01)
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